e-bike試乗レビュー
e-bikeって楽しい! オシャレなミニベロ「Q3」は初心者にピッタリだった
2021年11月10日 08:00
筆者はママチャリユーザー。「初心者目線でe-bikeをレビューしてみませんか?」と編集部からお話をいただいたものの、いくつか心配ごとがあり、即決できませんでした。賃貸マンション住まいで駐輪場は屋外。電動アシスト自転車のバッテリーが盗難されるというニュースも聞きます。レビュー中に盗難されたらどうしよう? そもそも155cmと低身長の筆者でも乗り降りしやすいe-bikeってあるの? そんな不安を一つひとつ解決しながらお借りしたe-bike。返す頃には、すっかり欲しくなってしまったので、初心者視点で体験レポをお届けします。
ゴツくない、オシャレなデザインに好印象
今回お借りするモデルは、e-bike専門ブランドBESVが扱うセカンドブランド「VOTANI(ヴォターニ) by BESV」が発売している「Q3(キュースリー)」。ミニベロというカテゴリーのe-bikeで、価格は151,800円。充電時間は約3.5時間。アシストモードと走行距離はエコモードが80km、ノーマルモードが60km、パワーモードが45km。タイヤサイズは20インチ。
Q3の第一印象は「オシャレ!」。筆者の中の電動アシスト自転車のイメージは、チャイルドシート付きのゴツい自転車。スポーツタイプe-bikeのイメージは、フレームが高くて前傾姿勢で乗る本格的なデザイン。
その点Q3は、オシャレなデザインで乗る前からテンションが上がりますね。カラーは、今回お借りしたスノーホワイトのほか、カッパーゴールド、ミルキーベージュをラインナップ。個人的にはスノーホワイトがシンプルで素敵だと思います。
フレームはU字型。適応身長は144cm～の設計で、身長が低い筆者にも乗り降りしやすい高さです。スカートの時にも、これなら問題ないですね。
スッキリしたデザインは狭い駐輪場でも安心
車体サイズは1,530×595×1,045mm(全長×全幅×全高)。スッキリしたデザインで、タイヤも細めなので賃貸マンションの狭い駐輪場スペースでも安心して停められます。
車体重量は20.4kg。マンションの駐輪場のサイクルスタンドに持ち上げる時や、駅前駐輪場の2段式ラックに乗せる場合なども、自分で持ち上げられる重さです。方向転換や転んだ時、押し歩く時なども取り回しに問題はありませんでした。
以前、チャイルドシート付きの電動アシスト自転車を倒した時は、持ち上げるのが大変だったので、「バッテリー搭載の自転車は重そうだな」と思っていたのですが、本機の取り回しのしやすさは優秀ではないでしょうか。
内装ギアで初心者に優しい
e-bikeをレビューするにあたり、「10kmくらいは軽々ですよ!」と編集部から説明されましたが、心配していたのはギアのメンテナンス。
筆者はずっと内装ギアのママチャリに乗っているため、スポーツタイプに多い外装ギアに慣れていません。外装ギアは油をさすなどメンテナンスが必要だし、何より外れた時に自分で修理をする自信がありません。でも、Q3は初心者に優しい、内装の3段ギアでチェーンカバーもついています。いつものママチャリ感覚で乗れて助かる!
サドルのグリップが便利
バッテリーはシートの後方に内蔵されています。バッテリーだけが飛び出しているデザインと違い、バッテリーケースそのものが自転車のデザインの一部になっているので、目立ちません。防犯面を考えると、バッテリ－が目立たないデザインは心理的に安心感があります。
バッテリーの出し入れの際、便利だったのがサドル後部のグリップです。というのも、筆者は背が低いためサドルをかなり下げて乗車します。すると、バッテリーケースのフタが丁度サドルにひっかかってしまうという問題が。サドルをぐるっと左右にずらして出し入れをしているのですが、この時に便利なのがサドル後部に搭載されているグリップ。
グッとつかんで動かせるので操作がラクなんです。地味なポイントかもしれませんが、サドルを下げて乗る場合の充電や両立スタンドを立てる際に便利で、こういうところは見逃せません。
ライトは標準装備。サドルが柔らかめで快適
さっそく10～12kmくらいの距離を乗ってみました。実は以前、10kmほど先の取材先に何度かママチャリで行ったことがあるのですが、サドルが硬めだったため座っている部分がだんだん痛くなったんですよね。一方、Q3はどうかというと、クッションの効いた柔らかめのサドルで大きめ。10km乗ってもお尻は痛くなりません。また、サスペンションが効いているからか、ちょっとした段差を乗り越えても衝撃を和らげるため、ガンガン乗っていけます。
筆者の自宅近所は平らな道路が多いので普段は感じなかったのですが、自転車であちこち走ってみると、起伏のある道路、砂利のある道路、苔のある道路、道路の乗り上げ部分など、結構ガタガタすることがありました。もちろん、まったく衝撃がないというわけではありませんが、お尻が痛くなりにくいだけでも快適です。遠くまで自転車を使う時には、サドルの乗り心地やサスペンションの性能は大事なのだな、とあらためて思いました。
ハンドルは若干内側に入り込んだデザイン。持ちやすい位置にあるため、前傾姿勢にならずにすみます。個人的にはハンドルが握りやすく、ブレーキの距離もちょうど良く楽な位置でしっかり握れるところが気に入りました。普段のママチャリと同じ姿勢と感覚で10km前後走って行けちゃいます。
ペダルを踏むとグインと進むアシスト機能
何年か前にほかの電動アシスト自転車を試乗したことがあるのですが、その時は自転車が予想以上に進みすぎて「アシスト機能こわい!」と思ってしまいました。強制的に引っ張られていくような感覚は慣れれば問題ないのかもしれませんが、最初はちょっとこわいなと思ったものです。
そんな経験があったため、Q3に乗りはじめたときは恐る恐るでした。オートモードに設定してスタート。BESV独自のペダルを踏みこむ力を感知するアシスト機能は、体験してみると自然な動きで、個人的には恐怖心は感じませんでした。
強く踏み込むとそれに合わせて調節してアシストが強くなるので、他の自転車を追い越す時などにも便利です。アシスト機能は、坂を上るときに便利なものというイメージを勝手に持っていたのですが、実際に乗ってみると、むしろ軽やかに追い越しできる点が安心で爽快だと思いました。
長めの坂の途中で一度止まり、こぎ出すときにはちょっと安定しませんが、それでも坂道をスイスイ上れるので楽しいです。
個人的にはパワフルモードにすると進みすぎてちょっと怖かったので、基本的にオートモードで乗っていました。
サークル錠を標準装備だけど、不安すぎてロックもお借りしました
サークル錠が標準装備ですが。屋外に駐輪することを考え、別途BESVオリジナルのブレードロックをお借りました。これがちょっとユニークでくるくると巻きつけて収納できるんです。走っている間はフレームに取り付けたケースに入れておけばいいので持ち運びが簡単でした。
ディスプレイの使いこなしは初心者には難しい
1カ月近くお借りして、毎回片道10km前後乗っていました。運動不足から身体を動かさなくては! と思っていたものの、なかなか長続きしなかった筆者ですが、Q3では楽しく身体を動かせました。
「取り回しがしやすいこと」「基本的にメンテナンスが少ないこと」「坂道や段差などもスムーズに乗れること」などが、自転車に乗る意欲を後押ししたと思います。
あえて不満点を上げるとすると、フロントキャリアと市販バスケット取付用のブラケットがオプションで用意されていますが、前カゴがないことでしょうか。ママチャリから乗り換えようと思うと、大きめの前カゴはどうしても欲しくなります。オリジナルの専用カゴは開発中だと聞いているので期待したいと思います。
また、不満というよりは使い方が難しかったのがディスプレイです。ディスプレイではSPEED/RANGE/TRIPを表示するほか、ライトの点灯、バッテリー残量を確認できます。
ママチャリ感覚でちょっとした買い物や、遠乗りしても10km前後しか乗らない初心者の筆者はあまり表示される情報を使いこなせていませんでした。ライトの点灯、バッテリー、時計表示などのシンプルな表示でも十分だったと思います。このへんはたくさん乗るようになると使いこなせるのでしょうか。
毎日乗りたくなる気軽さと楽しさに満足
乗り心地や取り回し、賃貸マンションの狭い駐輪場にも置けるのかなど、当初心配していた点をあっさりクリアしたQ3。難しいことを考えずに気軽に使えるe-bikeとして、とても魅力的だと思いました。何よりデザインが素敵なので毎日乗りたくなりますね。
あくまで初心者目線になりますが、Q3は「購入を検討しようかな?」と思えるくらい満足度の高い1台でした。自転車で遠出する楽しさを教えてくれてありがとう!(返却したあとの運動不足を密かに心配しています)
