e-bike試乗レビュー

e-bikeで夜景撮影へ。BESV「CF1 LINO」の機動力で作品撮りに幅が出る!!

カメラマンである私の仕事の大半は都内のスタジオや取材先での撮影。そして、自分の作品撮りやトラベル Watchでの連載など、どうしても機材が多いためクルマ移動の毎日だ。都内やロケ先を走っているときに「この景色を撮りたい!」と思うことが多々ある。しかし、その場にすぐに路駐するわけにはいかず、いつか来ようと思うのだが、結局行くことはない。

すぐに停車できる自転車なら……と考えることもあるが、機材も多いし、何よりも体力に自信がない。そんな私のスマホのニュースサイトでは、実はe-bikeのコマーシャルがよく載っている。e-bikeの情報が出ているとついついクリックしてしまい、ますます気になっているのは確かだ。

e-bikeがあれば作品撮りの際にクルマで入れない場所でも移動がラクになるのでは!? と妄想を膨らませていた。クルマだと何カ所も撮影したいポイントがあると、駐車場に停めて歩いて撮影。クルマに戻って移動して、また歩いて撮影……その繰り返しで、実に面倒だ。

そして、クルマが入れない場所も自転車なら入って行ける。たとえば遊歩道上からの撮影ポイントへのアクセスがしやすいはず。しかも自転車でもe-bikeならば、もっと快適に行けるに違いない!! 日々そんな妄想をしていたら、実際にe-bikeを試してみる機会をいただいた。やった~!! 初心者の私でも扱いやすそうなBESV「CF-1 LINO(シーエフワン リノ)」だ。

BESV「CF-1 LINO」。価格は248,600円

BESV「CF-1 LINO」はどんなe-bike?

BESV「CF-1 LINO」は、トップチューブがなく女性でも乗りやすそうなe-bikeだ。アルミ製のフレームで重量は22.5kgだが、我が家の電動アシスト自転車(折りたたみ式)よりは軽い。そして、100km近くアシストしてくれるそうだから期待が高まる。自宅にはもう1台古くて重たい自転車(3速ギア)もあるのだが、電動アシスト自転車も含めて、ほぼ近所の買い物に使っている。自宅のある三鷹市から都内まで行くのは無謀行為でしかないが(体力的に不可&バッテリーも持たない)、このe-bikeなら行けるかもしれない。

バッテリーが内蔵されているのでスッキリしたデザイン

フレーム(ダウンチューブ)内には378Wh(36V/10.5Ah)のリチウムイオンバッテリーを内蔵する。「完全に入っている」ためバッテリーを取り外せないので、ガレージで充電することに。スペックを見ると、アシストモードは3段階で1充電あたりの走行距離はエコモード/90km、ノーマルモード/60km、パワーモード/50kmとなっている。後述するが、実際は倍近く走れて驚いた。

充電はガレージでも屋内でもコンセントがあればOKだ。4~5時間あればフル充電できる
ノートPCの充電器みたいにコンパクト
プラグをフレームにある電源ポートに差し込んで充電する
ガレージ内ならば壁にでもぶら下げて充電するといいかもしれない
充電が50%超えると電源ボタンのパイロットランプが赤から青に、100%で緑色になる。スマホのアプリでも充電状態を確認できる

操作スイッチは左ハンドルにあり、アシストの切り替えやフロントライトの明るさ調整などを行なう。3段階のアシストモードとスマートモード(自動的にアシストを調整してくれる)は、+-ボタンでアップダウンする。モードの状態はアシストモードランプの数で分かり、オリジナルアプリ「BESV SMART APP」でも確認ができる。ただし、厚めのグローブをしていると操作がしにくいかもしれない。

左ハンドルにアシストなどを切り替える操作スイッチ

タイヤサイズは26インチで、前後に機械式ディスクブレーキを搭載する。自転車のディスクブレーキは初体験だが、雨の日などには効果絶大だろう。外装10段変速も初体験だが、ギアチェンジが滑らかで使いやすい。

前後に機械式ディスクブレーキ
外装10段変速。後輪の中央に見えるのはオリジナルのドライブユニット
ギアチェンジのシフトレバーは右ハンドルにあり、人差し指と親指で操作する
エルゴグリップは手のひらの親指の付け根の部位(母指球)でしっかり体重を乗せることができ、自分に合った角度に変えられるので長時間でも疲れにくい仕様だ

安全性や使い勝手の良いさりげない装備も充実している。フロントライトは明るさが2段階で調整でき、リアライトはブレーキ時には連動して点灯するので追突防止に効果絶大だろう。簡単に高さを調整できるサドルには取っ手がついており、車体を持ち上げるときに役立つ。個人的に便利でお気に入りだったのが、可変式ハンドルシステム。レバーを持ち上げて上下や回転でき、目盛りに合わせてお好みのセッティングができる。

フロントライトはフレームと一体化しており、ハンドルがフラついても前照灯に影響しない
ブレーキに連動するリアライト
サドルの高さ調整も工具不要で簡単。取っ手がついているのも便利
お気に入りの可変式ハンドルシステム。家族や夫婦でもシェアしやすいだろう

慣らし運転で市内や周辺を走ってみる

e-bikeで夜景を撮りに行こうと思っていたが、私は自転車ド素人なので、まずは自宅周辺や市内で慣らし運転することに。公園や多摩川沿いのサイクリングロードを走ってみた。

いつもクルマを運転していると自転車を怖く感じている。逆に自転車に乗るとクルマはめちゃくちゃ怖い。万が一の事故や転倒などに備えるためにもヘルメットはやはり必須アイテムだ。

安全のためにグローブも装着

クルマ移動ではないので機材もコンパクトに。デイパックには70×200mmの望遠レンズと24-70mmを装着したカメラ、飲み物やコンパクトなレインコートを入れた。約8kgの重量だ。さらにリアキャリアには小さな三脚をゴムロープで縛りつける。紐を引っかける突起が欲しいな~と感じるが、突起がないほうが見た目はスッキリする。

デイパックには70×200mmの望遠レンズと24-70mmを装着したカメラなど
小さな三脚はリアキャリアに縛る
スマホホルダーも装着。iPhone Xに入れたアプリでスピードやアシストレベルがひと目で分かって便利だが、地図を開いたまま走ったら電池の消耗が激しい

いざ出陣!! まだ慣れていないのでサドルは適切な高さではないだろうが、アシストパワーで快適に走ることができる。坂道でもスイスイ進み、撮影のベストポジションを探して歩いたり、予想どおり機動力は抜群だ。クルマだと橋の入り口付近の駐車場から歩いて撮りに行く。長い橋の場合はめげるし、そもそも駐車できないと撮りにすら行けない。e-bikeだと長い橋の中央でも撮影できるのは、やっぱり最高だ!!

撮影のベストポジションを探す
撮影のベストポジションが見つかればe-bikeはちょっとお休み
多摩川はサイクリングロードが両岸にある。サイクリングやジョギング、そして犬と散歩の人が利用している。見通しも景色も良く快適だ
長い橋の中央で撮影。風が強い日でもe-bikeなら問題ない

準備は整った!! 夜景スポットを目指して長距離ライドに挑戦だ!!

「CF-1 LINO」にもだいぶ慣れてきたので、長距離ライドに挑戦だ。私の体力は持つだろうか……きっと大丈夫だろう!?

バッテリーも満タン!!

三鷹市の自宅から数カ所寄り道しながら隅田川を目指す。ライトアップされた橋の夜景をいくつか撮影するのが目的だ。のんびり走る予定なので正午に出発。距離が10km過ぎた頃から、やたらお尻が痛い……。お尻が痛くなるのは初心者にはよくあることらしいが、お尻の痛さばかりが気になってくる……。まずい、行きでこんな状態では帰ってこれないかも……と不安がよぎる。

いろいろ寄り道しながらお尻も休ませ、秋葉原に到着した頃には17時を過ぎていた。ここまで約30km走っていた。お尻の痛みも軽減されてきたが、撮影に向かう前に食事休憩。お店まで歩くと足がつりそうに……日頃の不摂生がたたっている……。

ゆっくり休んで足をマッサージしてから隅田川の橋へ。うろうろしながら撮影スポットを探す。ここでも車道から川沿いの遊歩道に入れたり、予想どおりe-bikeは撮影にすごい威力を発揮していく。

夜景撮影のベストスポットを探す
橋の上から念願の夜景を撮影できた
ほかにもいろいろ撮影
e-bikeだと撮影が捗る
走行ルートはこんな感じ。距離は40km近く走っていた
バッテリーも6割ほど残っている

撮影を終えたら寄り道せずに真っ直ぐ帰る。操作スイッチでライトを点灯できるのも便利だ。バッテリーも6割ほど残っているので心配ないだろう。途中で市ヶ谷にある事務所に寄って休憩し再出発すると、笹塚付近で電源ボタンが赤く光った。ちょっと驚いたがバッテリー残量が半分になったサインだった。

帰りのルート

自宅に到着すると走行距離は約70kmになっていた。アシストはパワーモード中心で走っていたが、バッテリーはまだまだ余裕がある。スペック表よりも走行距離が長いのは、下り坂が多かったからか、自転車の慣性によるものなのか。とにかくバッテリーが十分に持つことが分かった。

パワーモード中心で約70km走ってもバッテリーは残っている

初めてのe-bike「CF-1 LINO」に乗ってみて

自転車の長距離ライドは学生時代以来の軟弱な私が、約8kgのカメラ機材を背負いながら約70kmもの距離を走ることができて、ちょっとした自信になった。もちろん、e-bikeとはいえ疲労はあったが、リハビリで市内や自宅周辺を乗り回してみると、最初の頃よりも「CF-1 LINO」が体にフィットした乗り心地を感じた。

サイクリングロードが多く整備されているのも発見だった

私のような初心者でもe-bikeなら長距離ライドにも耐えうるし、少しずつ乗り慣れて体力もつけば、作品撮りの幅がさらに広がることは間違いないはず!!

「CF-1 LINO」を試乗してe-bikeでの撮影に夢はますます膨らんだのだ!!
文&写真:若林直樹(STUDIO海童)

雑誌、広告等の仕事の傍ら、ライフワークとして自然や癒される空間を求めて国内外を旅している。撮影対象はICチップからアフリカ象まで幅広い。デジタルカメラは1995年からコンパクトからプロ機までテストレビューに携わる。自宅ではフェレットをこよなく愛し、現在2匹と暮らしている。いつかフェレットの写真集を出そうと企み中。HPはhttp://kaido.sub.jp/

写真:井上勝也(STUDIO海童)