e-bike試乗レビュー

猛暑なら気温の低い高所へ行けばいい♪ e-bikeで富士山サイクリング&周辺観光へ

 今年の夏はものすご~く暑いですね~。e-bikeがメインの自転車となった筆者の場合、涼を求めて奥多摩方面へサイクリングに行っています。奥多摩湖に近づくと徐々に風が涼しくなってイイ感じ……なんですが、首都圏で気温が35℃くらいになると、奥多摩でもやっぱり30℃オーバー。山間部なので若干は涼しいものの、やっぱり暑~い!

8月の東京・奥多摩町付近の道路。標高が高めなので風が涼しいけれど、真夏はやっぱり30℃オーバー
奥多摩湖(おくたまこ)。左にチラリと見えるのは小河内(おごうち)ダム。涼しそうに見えますが、しっかり暑いのでした

 むむむ~、ここまで暑くなると、奥多摩サイクリングでもなかなか「涼」が得られない。どこか涼しく気持ちいいサイクリングスポットはないものか? と思った瞬間に頭に浮かんだのが、↓ココです。富士山~♪

静岡県側から見た富士山。写真は1月のものですが、日本一高い山ですから、ちょっと上のほうは夏でも涼しいハズ!

 例えば静岡県富士宮市から富士山に上る場合、富士山スカイラインをずーっと走ります。富士宮市市街地の標高は約100m、富士山スカイラインの一合目が標高約1,000m、五合目(富士宮口登山口)は標高約2,400m。

 標高が100m上がると気温が0.6℃下がると言われていますので、富士宮市街が35℃でも、一合目で29℃。五合目まで行けば23℃くらいになる計算です。下が猛暑でも上は涼しい♪ やはりこれは、富士山の上のほうをe-bikeで走るしかない!

 富士宮市街から富士山五合目までe-bikeでヒルクライムというのもあります。我らがe-bike部の清水氏が以前にトライしています。実は清水氏から「富士山ヒルクライムしましょうよ~!!」って誘われたんですけど、筆者は丁重にお断りを。

 というのは、富士宮市市街地から五合目(登山口・富士宮口)までは、距離約36km・獲得標高約2,300m。e-bikeで予備バッテリーがあれば行けちゃうと思いますが、このヒルクライムルートはほぼ下りのない「絶えず上り坂が続く道」なんです。ずーっとペダリング。ずーっと低速クライム。負荷かかりっぱなし。そんなの真夏にやったら筆者はガッツリ死ねます。無理!!

 筆者的スタンスではそーゆー過酷なチャレンジはパスし、e-bikeを使って涼しい富士山のオイシイところだけ堪能したい。例えばですね、一合目あたりまでトランポ(自転車をクルマで運搬)してですね、そこから涼しい富士山スカイラインを走る。そのあたりの標高でも十分涼しいハズですし、近くには「森の駅 富士山」というレストランや土産店があるパーキングエリアもあります。気分的には富士山ポタリング(散歩感覚サイクリング)ができるハズです♪

 また、気が向いたら一合目から五合目までヒルクライムして、超涼しい五合目で景色を眺めたりするのもいいですね~。五合目まで行けばレストランもありますし、上っていく途中で森が森林限界を迎え、風景がダイナミックに変化していく様子も楽しそうです。

 よし、やってみよう富士山サイクリング。涼しいぞ~、ウヒヒ♪

涼しく軽快にヒルクライム!!

 今回使ったe-bikeは、メリダ「eBIG.SEVEN 600」。シマノSTEPS「E8080シリーズ」を搭載する電動アシストMTBです。愛用中のミヤタ「RIDGE-RUNNER(リッジランナー)」で行こうかなと思いましたが、アップライトなハンドルへと換装しているため、急坂登坂にはちょっと向かないかな、と。そこで、たまたま編集部にeBIG.SEVEN 600があったので、それをお借りしました。

 それからトランポ。使ったクルマは愛車のホンダ「N-VAN」。富士山スカイラインの途中にある西臼塚駐車場まで一気に上がります。標高約1,250m地点。そこから富士山サイクリングをスタートです!!

今回は愛車のホンダN-VANに、e-bikeのメリダeBIG.SEVEN 600を乗せ、富士山一合目あたりまでトランポです。標高の高い涼しいコースでサイクリングという目論見
富士山スカイラインの途中にある西臼塚駐車場にクルマを駐め、そこからサイクリング開始。標高は約1,250m。気温27℃前後。既に涼しい~♪
最初のルート予定。西臼塚駐車場から走り始め、新五合目(御殿場口)を目指します。距離は約11.5km。序盤約3.5kmは6%くらいの上り坂で、そこから約6.5kmは緩い下り。e-bikeなので軽やかにサイクリングできる感覚です。最後の新五合目への上りは平均勾配が15%くらいになりますが、距離は2km弱と短いヒルクライムです。※画像はルートラボより抜粋
最初はちょっと上ります。でも涼しいしe-bikeだしで、とても快適にサイクリングを楽しめます
30分くらい走ると新五合目への登り口に到着
2km弱のヒルクライムで、距離的にはすぐって感じですが、なかなかの勾配があります
このあたりの勾配は15%前後でしょうか。実はe-bikeをこの向きにしないと自立しないくらいの勾配。道と平行にするとe-bikeが坂を下っていってしまい、横向きにして山側にスタンドが来ると倒れてしまいます
でもe-bikeなので、フツーに上って間もなく新五合目駐車場に到着。写真を撮りながら上って15分くらいでしょうか。あいにく霧が出てしまいました。晴れていれば富士山を間近に見られます
新五合目・御殿場口登山口です。標高は約1,400m。とっても涼しい! ちなみにショップや自販機もありますので、補給ポイントとしても使えます

 クルマに自転車を積んで首都圏を出発した朝方は、気温が32℃くらいありました。ですが、富士山一合目付近に到着すると26℃。高度を増すと25℃へと下がったり。エアコンの設定温度みたいな感じで、かなり涼しいサイクリングとなりました。

 ん~、涼しいしまだ全然疲れていないしで、じゃあ、もう1つの五合目へ行ってみよう! いったん水ヶ塚公園の駐車場まで下り、そこで小休止。そこから富士宮口の五合目へ上ってみることにしました。ちなみに、水ヶ塚公園の駐車場には「森の駅 富士山」があり、レストランや土産店があります。ちょっとした観光スポット。ここも補給ポイントとして使えますね。

水ヶ塚公園の駐車場で一休みした後は、富士宮口の五合目へ向けてヒルクライムです。駐車場の標高は約1,300m。富士宮口五合目の標高は約2,400m。ルートの距離は約15.5km。平均勾配は6.8%。……なかなかキツいかも!? でも涼しいから大丈夫!? ※画像はルートラボより抜粋
五合目まで6.9kmの地点に上ってきました。どんどん涼しくなる! e-bikeだし登坂も快適。絶好調~♪ 富士山サイコー!!
しかも晴れてきた! このまま快晴になれば絶景が拝めるハズ! 行くぜ行くぜ行くゼ~っ!!
そして調子よく上っていったんですが、四合目手前でバッテリー残量が12%に。なんか急激にアシスト力が弱まって来た気が……!? でも大丈夫だぜ~! 予備バッテリーを背負ってきたのダ!! ミヤタRIDGE-RUNNERのバッテリーを、メリダeBIG.SEVEN 600に装着。バッテリー自体は同じシマノ製の同型なので、互換性があります。ステッカーの色がちょっと違うけど
四合目まで到着。スマートフォンでの撮影ですが、ナゼか背景にボケが……コラージュっぽく見えますが、ホ、ホントに上ったんですよ
そして五合目に到着。ニコニコしておりますが、四合目あたりから五合目までの登坂は、e-bikeでもちょっとキツいものがありました。人によってバッテリー消費に差が出ると思いますが、予備バッテリーを用意しつつ十分な休憩を取って走れば、初心者でも一合目→五合目へヒルクライムできると思います!
五合目到着。かな~り涼しい! ただ、残念ながら霧が出てしまって絶景は見られませんでした。また天気のいい日にリベンジですね♪
この五合目は富士宮口の登山口。最も標高の高い登山口なので、短距離で富士登山できる登山口として人気があります。これから登る人のザックがたくさん
こんな売店・食堂も。さすがにこういう場所の飲み物・食べ物は高いんですが、標高約2,400mで食事しつつ休めるのはありがたいですね~!
下りは凄いスピードが出ちゃいますので、丁寧なブレーキングを心がけましょう。そして風に体温を奪われて寒い! 標高が高いエリアでのダウンヒルは、真夏でもウインドブレーカーが必須です

 あー涼しかった~爽やかだった~♪ ちょっと危惧したのは、一合目あたりから五合目までの登坂で、高山病にならないかな? ということ。標高1,000m→2,400mへ上がるので、人によっては高山病になったりすることもあるそうです。クルマで上がっても、なっちゃう人はなっちゃうらしい。

 でも自転車の場合、上りはスピードが出ず必然的にゆっくり進むことになり、また運動しながらなので呼吸する回数も多い。そんな条件から高山病にはなりにくいんだとか。e-bikeだとさらに心拍数をある程度抑えられますので、体にやさしい富士山ヒルクライムができるのだと思います。

夜は富士宮グルメに舌鼓♪

 大満足の富士山サイクリング後は、お宿に直行。富士山ヒルクライム挑戦時に清水氏が前泊して景色がとても良かったと聞いていたので、この日の宿は富士宮の「掬水(きくすい)」にしました。世界遺産の構成資産である浅間大社近くにある、古い旅館をリノベーションしたゲストハウスです。目の前に富士の伏流水がつくる「湧玉池(わくたまいけ)」がある、ちょっと絶景の宿。

富士宮市の富士山本宮浅間大社のすぐ近くにある「掬水」。歴史ある旅館をリノベーションしたゲストハウスです
部屋から浅間大社の湧玉池を一望できます。伏流水を撫でた涼風が吹き抜ける~♪
こちらは離れの個室
ドミトリーも利用できます
落ち着いた雰囲気のラウンジ。ここからも湧玉池が見えます
e-bikeのレンタルサービスも行なっています。料金は2,500円から。また、富士宮市が首都圏シティセールス推進事業として実施するガイド付き富士山ツアーも検討中です。清水氏が特別に参加させてもらったツアーで、予備バッテリーを持って安心して行けるヒルクライムですね

 掬水にチェックインしてシャワーで汗を流したら、ゆるりと夕ごはん。掬水のすぐ近くにブルワリーレストラン「Mt. Fuji Brewing」があり、独自のクラフトビールが飲めるらしい! 料理もおいしいらしい! じゅるるる。

ここがMt. Fuji Brewing。現代的な雰囲気のレストランです
開放的でありつつも、落ち着いた空気感で居心地が良い店内
独自のクラフトビールが何種類も楽しめます
やっべぇ! 超うめえ!! サイクリング後だから5割増しで美味い!!!
まずはカラフル野菜のピクルスから
料理もおいしい~♪
どれも美味
充実の食事を楽しめました!

翌日はまったり富士宮ポタリング

 富士山サイクリングの翌日は、まったりゆっくりな感じで富士宮市内をポタリング(散歩感覚サイクリング)です。富士宮市内はけっこー観光スポットが多く、食べ歩きなんかもできたりするんですが、意外に坂が多い。富士山の麓ですから街全体が坂、みたいな雰囲気。

 なので、歩いて回るとけっこう疲れます。でもe-bikeなら無問題。ラクなのはもちろん、夏でもあまり汗をかかずに街中を観光して回れます。

 で、まず朝イチは掬水の真ん前にある湧玉池を通り、富士山本宮浅間大社でお参り。その後10kmくらい朝のサイクリングを楽しみつつ白糸の滝へ向かいます。

 朝から10km? と思われるかもしれませんが、ゆるい坂があるくらいのエリアなら、e-bikeだと20km/hくらいで走り続けられます。なので10kmと言っても30分程度。30分自転車に乗っていられる人ならきっと誰でもイケますよ♪

ゲストハウス掬水から数十メートル行くと、もう富士山本宮浅間大社の湧玉池。この場所の風はいつも爽やか。ちょっと冷たい風が吹くんです
富士の伏流水が生み出した池。全部湧き水で、その透明度が凄い
湧玉池を通り過ぎると、富士山本宮浅間大社が見えてきます
湧玉池からの水は「神田川」となって流れています。泳いでいる人も。それほど澄んだ川です
富士山本宮浅間大社
朝のサイクリングは富士山本宮浅間大社を北上して白糸の滝へ
30分ほど走って到着~♪
ここにも凄く澄んだ大量の水が流れています。富士の麓は水が豊かですね~
川面から涼しい風が吹き上げてきます
白糸の滝。瀑風がまた涼しく爽やか!

 朝の観光サイクリングをひととおり終えると、小腹がすいてきました。ということで、富士宮市街に戻り、そろそろお昼ご飯に。あっ、富士宮といえばアレだ、富士宮やきそば! B級グルメの人気決定戦「B-1グランプリ」で、トップを取って有名になったご当地名物。これを食わねば!

白糸の滝から再び富士宮市街地へ。このエリアには美味しい「富士宮やきそば」があるらしい!
誰に聞いてもオススメされるのがココ。「富士宮やきそば学会」直営の「富士宮やきそば学会アンテナショップ」です。学会!? なんか凄そう!
作りたての富士宮やきそばをいただけます
これが富士宮やきそば。麺にコシがあり、イワシの削り粉がかかっていて、キャベツも細切りで歯ごたえアリ。独特の食べごたえと食感、そして風味が「なるほど美味しい!」と言わしめる一品でした
思わず大盛りを注文しましたが、しっかりした食べごたえがあるので、一気に満腹に! うまかった~
その後は腹ごなしのポタリング。富士宮市内を見て回ります
こちらは「静岡県富士山世界遺産センター」。建物自体が「逆さ富士」の形状で、水面には富士山のようなカタチが映ります
南下して高台へ。快晴だと富士山とともに富士宮市街を一望できるポイントです。でもちょっとガスってしまってスッキリしない眺望でした
自転車で走って気持ちがいい道があると聞いたので、そこへ。富士宮ゴルフクラブへ上っていく道ですが、林のなかのワインディングになっていました
またもや富士山と富士宮市街を一望できるポイントに……来ましたが、さっきよりガスが濃くなってる~。それでも、広がる茶畑と市街は、なかなかの景観です
ぐる~りと富士宮市を回り、一休み。真夏、ポタリング、そしてソフトクリーム! 充実した一日。たっぷり楽しめました

 いや~、やっぱりe-bikeイイっすわ~。今回はメリダeBIG.SEVEN 600で走りましたが、富士山の一合目→五合目のヒルクライムもできるし、ゆる~いポタリングにも向いています。真夏にけっこう走ったわけですが、まあ暑いので汗はかくものの、大汗をかくとかバテるとかいった苦難がないのがアシストのありがたみ。スポーツにも観光にもツカエル! ということで、e-bikeの価値を再認識した次第です。

 それと、e-bikeで一泊しつつのサイクリングってのも良かったです。一泊挟んでのサイクリングだと、走った後の「自宅までの移動」を考えなくて済むのがイイです。ゆっくり休めますし、お酒も飲めちゃいますネ♪ そして、翌日もちょっとサイクリングして散策することができ、かなりの充実感です。

 最近ではe-bikeをレンタルしているショップも増えてきました。次の休みにe-bikeを借りて、一泊しつつのサイクリングなんかどうですか? きっと充実すると思いますっ!

スタパ齋藤