ぷーこの家電日記

第334回

自粛していたら母の日も父の日もぶっ飛んだ!

もう6月が終わるだって!? もう今年が半分過ぎるだって!? 年々時間が過ぎるのが早く感じるのは否めないが、余りにも早すぎるじゃないか! と、唖然としながら、驚きで混乱する。学生時代までは「何年生」「何学期」など細かい区切りがあるので、変化や時期を覚え易いけれど、社会人になってからはそういう分かり易い区切りがない上に、多感な時期はとっくに過ぎ去りかなり鈍感になっているはずで、「この前のあれ!」何て軽い気持ちで思い出したら10年とか経っていたりして驚くしダメージすごい。

自分の記憶や時間感覚はきっと曖昧どころか大きく狂っていて、常に客観視していかなきゃ、「わー! 若いですねぇ!」なぁんて社交辞令で言ってくれる若い方の言葉を本気にしちゃう危険性があるなと、鏡を見ながら「うん。ちゃんとしっかり中年だ!」とうなだれている悩める40代だ(笑)。

今年は特に春をずっと家で過ごしていて、通常だったら桜を見ながら色々思い出して懐かしんだり、街で見かける新入生や新社会人の方に「眩しくて輝かしいな!私も初心取り戻して頑張ろう!」とエネルギーを貰ったりしていたのに、外からの刺激や情報がほとんど無かったために、ズルッと何となくすぎて、特殊な期間だったはずなのに、何となくすっぽり抜けちゃってるような感覚にさえ陥る私。

春のあのウキウキそわそわした感覚も無かったし、春先に欲しくなる明るい服も結局買わずに終わったし、美容院だって行ってないし、そりゃ旅行や外食など直接外出に関わらなくても、全ては何かしらで繋がってるわけで、経済も滞るよなぁ......。としみじみと思った。

そして、自分でも「こんなところに影響が!?」と驚き反省しているのは、母の日と父の日だ。実家が離れている私は、母の日や父の日は毎年、宅配便で何かしらプレゼントを選んで送る。探すのも送るのも大体ネットを使ってするので、自粛はほぼ関係なかった。

プレゼントを探したりするのは結構好きなので、「何にしようかなぁー」と喜ぶ顔を想像しながらウキウキとネットの中を漂う。とは言っても、母の日はお花とお菓子、父の日は新鮮なお酒のおつまみというのが我が家の定番なのではあるが、それでも選ぶのがとても楽しい。

それがだ。今年は「母の日だ! やばい!」と直前まで何も選べず、さらに「今年は母の月って事で、配送集中させないように日をずらして……」と思ってたのに全く選べず、気付けば父の日もきて……。と、何も出来なかった自分がいた。どうやっても自分の心が動かないのだ。自分の気持ちが盛り上がらないというか、母の日の気分も父の日の気分も全くもって私に降りてこない。何でだろうかと考えたら、これも刺激や情報の欠如からだ! と気付いたのだ。

今まで特に刺激のないただの日常を送っていても、ものっすごい量の情報が目にも耳にも入って来ていた。電車に乗ると吊り革広告に目が行くし、買い物に行けば音楽やディスプレイなど目からも耳からも入ってくるし、同僚や友人との他愛ないお喋りから知る情報もあるし、ただ生活しているだけで、無意識にものっすごい量の情報の中に漂っているのだ。

そしてその膨大な情報を自分のアンテナを元に咀嚼してふるいに掛けベースが出来たところで、初めて自分が情報を探しに行っていたんだと思う。いつも自分で考え判断してると思いきや、まぁ完全に情報の波の中でまんまと踊っていたワケで、勝手に入ってきてた情報が遮断されると、こんな無関係と思っていたところにも影響が出てきてビックリだ。

情報にも色々あって、必要な事や興味のある事知りたい事などは、このネット社会探せば簡単に見つかる。だけど、潜在的な要望だけれど自分で気づいていないものとか、頭のかけらにもなかったけれど有益な情報とか、検索では出てこないものって、他人や社会の刺激を受けて初めて知れたりするもので、その触れる世界が多い程、いろんな観点に触れられる。

ただ耳障りだったり嘘や悪意に塗れた情報も嫌というほど溢れているので、闇雲に広ければ良いかというとそうでも無く、ノイズをどこまで取り除くかという別の問題が出てくる。

家にこもっていた間、人との関わりが減って、嫌なノイズが随分カットされた事でストレスが激減した人もいると思う。その代わり刺激や発見など自分の意識外の情報も入ってこない。良くも悪くも心にブレが無いわけですよ。なので、今後自分の成長やストレスを天秤にかけつつ、どうバランスを取りながら外部情報を扱っていくかって、とっても難しいけれど、大事な事なんだなぁと思ったりした父母の日。

そんな事考えてないで何かしなきゃー! って思ってはいるのだけれど、もう今年は諦めた。

特別な日じゃなくても、自粛期間にお取り寄せして美味しかった食材など、ちょこちょこ夫婦双方の実家に送ったりし始めていたので、「今年は離れていても一緒に美味しいものを食べよう。という方針に切り替えました!」と、後付けの言い訳をして、衰えない食いしん坊センサーで補っていこうとしているところであります。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まない30代後半。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。