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【始めよう薬膳レシピ1】寒さ・疲れに効く、雑穀で作る「松の実のお粥」

寒さが体に堪えたり、忙しさで疲れたとき、手軽に滋養を補えるのが「松の実のお粥」です。今回は、白米と混ぜるだけで栄養素を1度に摂れて、食習慣も改善しやすい「雑穀」を使ったお粥のレシピをご紹介します。お粥へ添える「松の実」は、調理しなくてもそのまま食べられる便利な食材で、スタミナが付きますよ。さらに、一緒にご紹介する「長ネギ」の煮付けは煮汁をお粥に混ぜても美味しく、風邪や感染症予防にもなるので、今の時季にピッタリ。お好みで加えてみてくださいね。

 

「松の実のお粥」の食材効果

基本は炊飯器の「おかゆモード」にお任せの、ラクラクお粥です。トッピングする「松の実(海松子)」は、寒さや忙しさなどで疲れたとき、手軽に滋養を補えます。加熱しなくても、そのまま食べられるので、おやつとしてもピッタリの、便利な食材です。さらに「ビタミンE」を含むので、老化(【旬の薬膳17】でモロヘイヤを紹介)の予防も。白米(お粥)に和える「雑穀」は、さまざまな栄養素を摂れるだけでなく、食習慣を立て直すのにも使えるので、主な雑穀とその効能を、レシピのあとにご紹介しますね。またお粥へ「赤米」や「黒米」を加えると、抗酸化作用で美肌に期待でき、含まれる「食物繊維」で便秘を解消するほか、炊き上がりがお赤飯のようなきれいな色合いに仕上がりますよ。それではまず、材料と作り方を見ていきましょう。

 

「松の実のお粥」と「長ネギの煮付け」の材料(2人分)

<お粥>

お米:1.5合
雑穀:20~30g
(もち麦、もちきび、ハト麦、押麦、黒大豆、赤米などを合わせた分量)
水:約800ml
塩:少々
松の実:小さじ1
梅干し:2粒

 

<長ネギの煮付け>

長ネギ:1/2本
カツオ節:5g
醤油:大さじ1
みりん:小さじ2

 

「松の実のお粥」の作り方

1.お米だけを研いで、炊飯器へセットします
2.炊飯器の「おかゆ」表示より少し多めに水を入れて、雑穀、塩を加え炊き上げましょう
3.器へ盛り、松の実を添えたら出来上がり

 

<お鍋を使う場合>

研いだお米、水、雑穀、塩を鍋へ入れ、沸騰したら、鍋底が焦げないように弱火にして、ときどき混ぜます

 

<炊き上がっている雑穀ごはんを使う場合>

ごはん2膳分と水800ml弱を鍋へ入れて、ときどき混ぜながら炊きます

 

食欲がなかったり、胃の働きを高めて消化を促進したいときは、梅干しと一緒にどうぞ。またお粥へ「長ネギの煮付け」を添えたり、その煮汁をお粥の炊き上げに使っても美味しくいただけます。その場合は、炊飯器に入れる水の半量を煮汁にして、お粥を作りましょう。

 

「長ネギの煮付け」の作り方

1.400mlのお湯を沸かし、カツオ節5gを加えて、ダシを取ります
2.カツオ節を取り出し、ザク切りにした長ネギを入れて煮ます
3.醤油、みりんを加え煮詰めたら、お粥に添えていただきましょう

 

「長ネギ」は、含まれる香り成分「アリシン」で免疫力を付けられるので、今の時季にしっかり食べると、風邪や感染症の予防になりますよ。火を通しても、効力が変わらないのも便利です。

 

薬効1「雑穀全般」

「もち麦」「もちきび」「ハト麦」「押麦」「黒豆(黒大豆)」(【不調の薬膳30】レシピ紹介)などの食材は、まとめて「雑穀」と呼ばれていますね。「雑穀」全般が体に良いと言われるのは、「ビタミン類」「ミネラル」「食物繊維」や、量は多くないですが「タンパク質」も入っているので、ごはん(【不調の薬膳18】で紹介)に混ぜて食べるだけで、1度にたくさんの栄養素を取り入れられるためです。白米へ混ぜるだけなので、体調や気分に合わせて「これを入れてみたいな」と思ったもの手軽に摂れるのも便利ですね。麦やきびだけを食べるのは大変なので、白米と混ぜたり、パスタやサラダに混ぜて、メニューに取り入れてみましょう!

 

薬効2「もち麦」

「もち麦」は最近よく耳にする「低GI」食品で、血糖値の上がり方がゆっくりになるので、血圧が気になる方や、生活習慣病を予防する目的で食べる方が増えています。粘り気があるため、ごはんに混ぜやすく、おにぎりにもしやすいですよ。

 

薬効3「もちきび(黍・黄米)」

「もちきび」は、疲労回復や美容に効果があります。雑穀のなかでも、小さなく粒状で、甘みがあり食べやすい穀物です。「平性」なので、どの体質の方にも当てはまりやすい食材ですよ。

 

薬効4「ハト麦」

「ハト麦」は、これまで「むくみ」対策(「水毒」「津液虚」に効果のある食べ物で紹介)でときどきご紹介してきた食材ですね。白くてふっくら、うっすら茶色の筋が入っています。代謝を促して、「五情」の「思」「悲」の情に働きかけ、体を軽くしてくれますよ。またハト麦の漢方名は「ヨクイニン(薏苡仁)」で、肌バランスを調整するのに使われる生薬(しょうやく・漢方の原料)です。

 

薬効5「押麦」

「押麦」は、加工されて平たいですが、麦らしく茶色の筋が入り、やや細長い形をした穀物です。実は「押麦」も「もち麦」も大麦の仲間。それぞれが「水溶性食物繊維」を含むので便秘を解消したり、しっかり噛んで食べるとドカ食い防止になって、ダイエットにも効果的です。「押麦」は大麦の名称で、シリアルに入っていることもあるので、食習慣を改善したい方にもおすすめですよ。なお「ストレス太り」でお困りの方は、【不調の薬膳16】の食事改善法もお試ししてみてくださいね!

 

日常に使える便利な「お粥」

1回目の【始めよう薬膳レシピ】では、雑穀で作る「松の実のお粥」をお送りしました。「お粥」は、【不調の薬膳11】のメニューでご紹介した通り、それぞれの食材が柔らかく消化しやすくなり、胃腸に優しくなります。さらに吸収も穏やかで、どの体質(「五性」)の方も、無理なく食べられるという利点があります。日本でお粥と言うと、風邪のときに食べたり、病中食のイメージが強いですが、中国や韓国では朝食を始め、頻繁に食卓に登場して種類も豊富です。「食欲がないな」と感じたときや、お疲れ気味のときは、疲労を回復して体にスタミナが付く「松の実」と一緒に、ぜひお粥をお試しくださいね!

 

 

A's Pumpkin(薬膳マイスター)

日々健やかに過ごしたいと考える、おばちゃまライターです。
薬膳マイスター資格を取得、自然由来食材のエネルギーをよりよく活かすことで、ひとりでも多くの方が健やかに過ごせるお手伝いが出来ればと思っております。国際薬膳食育師3級。