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【基本の薬膳2】「疲れやすい」「だるい」…病気前の不調に着目する薬膳

「明日は大事な打ち合わせがある!」と思って緊張すると、脳では緊張を感じているのに「おなかがゴロゴロしてきた」…なんていう身体症状が現れた経験は、どなたにでもあるはずです。今回は心と体の繋がりを中心に、薬膳による対処法をご紹介します。先ほどの打ち合わせの例を見ても、心と体は密に繋がっていることが理解できますね 薬膳には、香りの力を借りて不安な気持ちを和らげたり、根菜を食べることで気力を充実させる方法もあります。薬膳で体にアプローチしながら、気持ちを楽にしてみませんか。

 

「病は気から」が示すこと

「病気」という言葉には、「気」の文字が付いていますし、「病は『気』から」なんていう、ことわざもあります。また例えば、悩みごとを延々と考え続ければ、何となく息苦しく、気づまりが生じてきます。東洋医学や薬膳では、体内のエネルギーを「気」と呼び、「気」が不足したり、バランスが崩れることで不調が引き起こされると考えます。ですので、薬膳の世界では、自分の体調を知り、足りないものを食材などで補えば健康に繋がると説いているのです。

 

ケンカしたらどこが痛い?病院で治らない症状

家族や友人とケンカをすると、「悲しい」気持ちになったり落ち込んだりします。ケンカなら仲直りをすれば「悲しい」気持ちは軽減されますが、日々の仕事やストレスともなれば、逃げ出すわけにはいかず、仕事を簡単に休めることもないですね。だからといって、病院で「喧嘩したので辛いです」「何となく体が冷えます」と申し出たところで、薬を出してもらうことはできないでしょう。東洋医学や薬膳では、病気に至っていない、体や心が感じる不調にアクセスできる場合が数多くあります。

 

細胞をつくるものは何?

人は、およそ60兆という細胞から成り立つそうです。そして、体に悪い腫瘍や病気が見付かると、それを取り除いたり、薬物療法に頼るのが一般的です。薬膳では、人は自然界のうちの1つと見なされ、食べたものにより創られていると考えます。ですので、東洋医学では舌の状態を診たり、証(しょう)と呼ばれる個々の体質を見極めながら、症状が出ている部分(痛みやつらいと感じる箇所)もさることながら、バランスに偏りがないかも診断します。そのなかで薬膳は、旬の野菜などを材料としながら、可能な範囲でその人に合った料理によって、健康を目指そうと努めます。

 

気持ちを建て直すハーブ、考え方は同じです。

アロマオイルやヒーリングといった「癒しワード」が、ずいぶん当たり前に使用されるようになりました。現代は速いサイクルで稼動しているので、疲労感を抱えた人がそれだけ多いという証なのかもしれません。疲労感や倦怠感は病気ではありませんが、その症状に効果のあるアロマを用いることで、リラックス効果を期待します。薬膳も考え方は同じです。特に、薬膳の効果は急性ではありません。日々の食事や、場合によってはお茶の香りなども使い、体バランスを整えようとします。それだけ緩やかで、やさしいのが薬膳の力です。

 

穏やかな効き目

「今までは甘い香りが好きだったのに、最近は爽やかな香りに惹かれるようになった」、そんな経験のある方はいますか?一概に言えない部分もありますが、爽快感のある香りを好むということは、もしかしたら疲労が蓄積しているのかもしれません。連載【不調の薬膳】のレシピでもご紹介しているシソは、βカロテンなどの栄養価の高さのほかに、精神安定のために香りを楽しむこともあるそうです。強い効果ではありませんが、アロマテラピーと似ている箇所がありますね。少しずつ、少しずつ、薬膳を知ってみませんか。

 

 

A's Pumpkin(薬膳マイスター)

日々健やかに過ごしたいと考える、おばちゃまライターです。
薬膳マイスター資格を取得、自然由来食材のエネルギーをよりよく活かすことで、ひとりでも多くの方が健やかに過ごせるお手伝いが出来ればと思っております。国際薬膳食育師3級。