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【基本の薬膳19】季節ごとの「身体の変化」に効く薬膳~「春」「夏」編

【基本の薬膳】は今回と次回で最後になりますので、2回に分けて「1年の体の変化と薬膳での対処法」をお伝えしたいと思います。まずは、春や夏にどのように体が変化するか見ていきましょう!体と季節の関わりは密接で、季節の変わり目に体調が崩れる場合は薬膳(食べ物)で補いながら体を調えていきます。それぞれの旬食材が、その季節の体を建て直してバランスを取ってくれますよ。

 

「春の体」の特徴は?

春は気温が上がり、「陽」が増して「肝」の働きが強まる季節です。そうすると、行動的になる一方、のぼせ症状や何となく落ち着かずに気分がイライラすることがあります。「五月病」や不定愁訴(ふていしゅうそ)など、冬から春へ体を変化させていきたいのにうまく順応できないと、体のだるさや頭痛、風邪に似た症状が出てきてしまうのです。またちょうど花粉の季節でもあり、肌がむずがゆいと感じたり、鼻のムズムズが出たりもします。

 

「春の体」に適した薬膳(食べ物)とは

春は、行き過ぎた「肝」の働きを適度に抑える食材が良いと言われ、五味にある「酸」の食材を摂ったり、春ならではの「ウド(独活)」「フキノトウ」「タラの芽」など旬の苦み食材が、だるさやむくみを抱えた春の体によく効きますよ。サラダにお酢を使ったり、酢の物を食べるのもおすすめです。イライラして怒りっぽくなったときは、「セロリ」や「セリ」、「ソバ」、「豆腐」、「緑茶」などで冷ましていきます。喉の乾燥などの粘膜の渇きには、「ダイコン」(【不調の薬膳11】)を試してみましょう!

 

「夏の体」の特徴は?

夏は体に活力が満ちている季節なので、うまく発散させると体の循環が良くなります。「五行」で言うと、五臓のなかの「心」の働きが活発になり、行き過ぎると心身ともに弱ってしまいます。また梅雨や暑さで冷たいものを摂りすぎて「水毒」になったり、熱負けが心配な季節でもあるほか、常にエアコンが効いた室内もバランスを崩します。適度に汗をかきながら、必要な水分を補い、熱バランスを整える食材で体を整えていくといいですね。

 

「夏の体」に適した薬膳(食べ物)とは

まず、暑さで熱くなった体を冷ますには、「ゴーヤ」、「冬瓜」、「キュウリ」、「レタス」、「スイカ」などの夏野菜を摂って、利尿の作用を取り入れます。また便通を良くする「海藻類」もたくさん食べましょう。夏バテや夏バテ対策には、消化がよく免疫力を高める「カボチャ」や「シソ」がおすすめです。また汗をかくと「血」を失うので、「ホウレン草」や「パプリカ」、「レバー」など「血」を補う食材でエネルギーを補給します。そして、ちょっと頑張りすぎて気持ちに元気が足りないと思ったら、「トマト」や「ユリ根」、「ジャスミン茶」を試してみてくださいね!

 

季節ごとの体に合った、旬の食べ物

春の山菜「蕨(わらび)」は、みなさんご存知のとおり天ぷらにしても美味しく、見るだけで春を連想してしまいますね。薬膳でも蕨は春に食べるとよく、「肝」に働きかけて不眠やイライラを和らげるとされ、「食物繊維」も豊富で下痢を治します。こう考えると、旬の食材はその季節の体を建て直してバランスを取るのに、ぴったりなのだと改めて感じます。それでは、来週は「秋」「冬」編をお送りしますので、お楽しみに!いつもお読み頂き、本当にありがとうございます。

 

 

A's Pumpkin(薬膳マイスター)

日々健やかに過ごしたいと考える、おばちゃまライターです。
薬膳マイスター資格を取得、自然由来食材のエネルギーをよりよく活かすことで、ひとりでも多くの方が健やかに過ごせるお手伝いが出来ればと思っております。国際薬膳食育師3級。