家電ミニレビュー

日立の「冷蔵庫カメラ」本当に便利? 3カ月使ってわかった

日立グローバルライフソリューションズ「R-HXCC62V」定格内容積617Lの冷凍冷蔵庫

カメラを搭載する冷蔵庫が増えている。冷蔵庫の中を撮影して食材があるか記録するのが目的だ。仕事帰りにスーパーなどに寄った時に、「あの食材、冷蔵庫にまだあったっけ?」と記憶をたぐったことは誰でもあるだろう。冷蔵庫にカメラがついていれば、その写真を見るだけで確認の手間を省けるわけだ。買い忘れが防げるだけでなく、重複買いも防ぐことができる。

便利そうなイメージはわかるが、実際に使ってみたらどうなのか。日立グローバルライフソリューションズに最新のカメラ付き冷蔵庫「R-HXCC62V」をお借りすることができたので、約3カ月間使ってみた。

冷蔵庫ドア開けた時の庫内が写真で分かる

試用した日立の「R-HXCC62V」は本体上部にカメラを搭載するモデルだ。本体前面から10cmほどカメラユニットが飛び出しており、底面に広角カメラを搭載。ドアを開けると冷蔵室庫内と、左右のドアを撮影。見やすいように補正した上で、クラウドに転送して「日立冷蔵庫」アプリで表示できる仕組みとなっている。

冷蔵室のドアを開けると5秒後に自動で撮影。 冷蔵室と左右ドアに入った食品が見える

野菜室と冷凍室は、冷蔵庫カメラでは撮影できずアプリで手動撮影する仕組み。ちなみに上位モデル「R-GXCC67V」(容量607L)のみ、 野菜室と冷凍室の自動撮影機能も搭載している。

冷蔵庫をWi-Fiに接続して、アプリと連携させたら初期設定は終了。あとはドアをオープンするたびにピッという音が鳴って庫内の撮影が行なわれる。もし音が気になるなら、アプリ設定で撮影タイミングの消音も可能だ。

本体上部から広角カメラを使って撮るため、冷蔵室の奥まですべてが写るわけではない。写るのは冷蔵室の各棚の手前部分だ。このため、写真で在庫確認したい食材は意図的に写る位置に置く必要があった。また、普段使いしている食材をぐちゃっと入れてしまうことがあるか、それもそのまま写ってしまうので、ちゃんと写真で分かるようにするには、できるだけ整理しておきたい。

冷凍室のカメラ画像。上から撮影するため手前に置いた食材が写る。できるだけラベルなどを前に向けておきたい

さらに、この春2024年3月に「日立冷蔵庫」アプリがアップデートされた。ただ庫内の写真を撮るだけでなく、撮影した画像から食材リストへの自動登録や食材消費のリマインド通知ができるようになったのだ。この機能により、食材管理がさらにしやすくなった」

これまでは撮影した庫内の画像を見るだけだった。画像は拡大縮小ができ、さらに過去の画像にも表示できて、写っている範囲の食材なら確認できる。

カメラ画像から食材を検出して自動的に切り抜いてリスト化。 リストに追加する食材の名前は手動で入力。リストに登録しない食材はスワイプで削除

アップデートで追加された食材の自動登録機能は、画像を認識して小分けする機能だ。食材の名前などが自動的に入るわけではないが、食材管理画面で名前を付けたり、使いきり目標日などが設定できる。さらにプッシュ通知を許可しておけばスマホに通知も表示できるというわけだ。

冷蔵庫整理のきっかけにも。今後の進化に期待

実際に約3カ月間。カメラ付きの冷蔵庫を使ってみて感じたのはまだ過渡期の機能ではあるが便利だということだ。

最初はカメラに映りやすいように食材を置く必要があるなど、人が家電の機能に合わせる手間にやや戸惑いも感じた。しかし、しばらくするとそれも慣れてくる。自然と頻繁に購入する卵や牛乳といった食材を「これは写る位置に置こう」と思うようになった。また、以前より冷蔵庫を整理するようにもなってきた。

食材名を入力すると食品カテゴリー名などが自動的に入力される。 ここで使いきり目標日などが設定できる

個人的に改善してほしいと感じるのは撮影時に庫内照明が一瞬消灯する点やアプリの細かな使い勝手だ。例えば冷蔵室と左右ドアの画像は、スワイプで切り替えられると見やすい。

アップデートで追加された食材のリストの自動登録機能は、食材名まで自動で入れてくれたらよりスマートだな、とは感じたが、登録が必要な食材の入力だけならそれほど手間もかからない。このあたりは今後のアップデートに期待したい。

アプリを立ち上げると 使いきり目標日が近い食材が表示された。 さらに気づかず 迫ると通知もくる

冷蔵庫カメラではドアの開閉の度に自動で庫内を撮影するため「実は家族が食べちゃった」というような場面は後からでも確認できる。最大6枚の画像がさかのぼれるので、使った食材がわかるのだ。外出先からでも冷蔵庫の最新の状態が見られる。

もし冷蔵庫の食材を触るのが家族で一人だけだったら、ある程度、記憶で管理できる。しかし現在は、夫婦が交代で料理をしたり、子供たちもおのおの勝手に何かを食べたりもする。そういったライフスタイルでは特に、冷蔵庫カメラが在庫管理に活躍できそうだ。

コヤマタカヒロ

フリーランスライター。1973年生まれ。学生時代より雑誌ライターとして活動を開始。PC、IT関連から家電製品全般までに造詣が深く、製品やビジネスを専門的ではなく一般の方がわかるように解説するスタンスで執筆活動を展開している。近年は、デジタルとアナログ、IT機器と家電が交差、融合するエリアを中心に取材活動を行なっている。雑誌やWebに連載多数。企業のアドバイザー活動なども行なっている。 Twitter: @takh0120