老師オグチの家電カンフー

「普通の男性」は鼻毛カッターを使っているのか?

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
鼻毛カッターで鼻毛を処理する51歳男性(既婚)

少し前、「普通の男性」問題がネットで話題になりました。婚活女性が考える「普通の男性」が、身長165cm以上・体重60~80kg、都内在住なら年収500万円以上、地方在住なら銀行員か公務員などとテレビの情報番組で報じられ、「理想が高すぎ」「その程度が普通じゃないなんて日本おかしい、死ね」の真っ向勝負が見られました。さらに議論があさっての方向に行く要素となったのが、「タレントでいうなら星野源のイメージ」と「鼻毛が出ていない」の項目です。「星野源に失礼」「高畑充希が普通というのと同じ」「鼻毛が出ていないのが普通なのか?」「いやいや、結構出ている男性は多い」など、異論反論オブジェクションがあふれました。くだらない議論は暴動とかに発展しないので平和ですね。

さて、鼻毛が出ていない男性は「普通」なのでしょうか。刃物メーカーの貝印が2019年に実施した調査によると、普段から鼻毛ケアをしている男性は6割以上(62.6%)と、女性(31.1%)の約2倍。男性の7割は週に1回以上お手入れをしているそうです。ただ、恋人や配偶者の鼻毛が出ていることに気づいたことのある女性は54.1%とあるので、多くの男性は気をつかっていても、出ちゃうときは出ちゃうのが現実なのでしょう。そうだ、スマホの顔認証に、鼻毛が出ていることをお知らせしてくれる機能を搭載したらいいんじゃないですかね。

鼻毛も加齢とともに太く長くなり、じゃじゃ馬のように飛び出やすくなる傾向があります。若い頃はハサミで簡単に切れていた鼻毛も、切ろうとすると奥に引っ込んで切りにくく、切ったつもりの鼻毛がまた出てくる現象が生じやすくなります。そこで有効なのが電動の鼻毛カッターです。あまり目立つことのないカテゴリーですが、貝印、パナソニック、フィリップス、ブラウン、イズミ、コイズミ、ヤザワ、テスコム、オーム電機と参入しているメーカーは多いです。個人的にはパナソニックを使っていますが、正直どのメーカーを選んでも大差はないです。持ち運びするなら単四形電池のスリムなタイプが良いと思います。

で、普通の男性は鼻毛カッターを使っているのか? 一部の意識高い系だけじゃないのか? 迷ったときはドンキ(ドン・キホーテ)へGOです。思った以上に、鼻毛カッターの品揃えは多く、ヒゲ剃り用の電動シェーバーと変わらないスペースが確保されておりました。しかも、ドンキオリジナルの鼻毛カッターは500円(税込550円)。普通とされる年収500万円の1万分の1です。

勝手に結論づけますが、ドンキで鼻毛カッターを売ってるぐらいだから、婚活の対象となるような世代で鼻毛が出ていないのは普通の男性として認定してOKじゃないでしょうか。逆に自分の観測範囲では、エリート官僚や、大学教授など仕事ができて年収も高い男性ほど自分の見た目に無頓着で、鼻毛も飛び出ている傾向がありますね。結婚相手としては、むしろ鼻毛が出ている人が狙い目では? 結婚してから鼻毛カッターをプレゼントすれば済む話ですし。

ドンキの鼻毛カッターコーナー。500円のオリジナル製品はエレベーター前の好立地にも陳列されていました
ドンキオリジナル「CB108-08」。鼻毛だけでなく耳の毛のケアにも使える
電源は単三形乾電池1本。さすがに電池は別売りです
パナソニックの「ER-GN20/21」(左)と比較すると、鼻に入る部分の径は若干大きめ。飛び出るような鼻毛を切るという目的には問題ありません。長期間使用していないので刃の持ちなどはわかりませんが、安いので会社や彼女の家に置いておく用には良いのではないでしょうか

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>