老師オグチの家電カンフー

臭いものには、フタ自動開閉&袋自動密閉のスマートゴミ箱

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
シナジートレーディング「townew スマートトラッシュボックス T Air X」15,980円(税込)

生ゴミのニオイでオエッってなりませんか?

自分がニオイに敏感なのかもしれませんが、悪臭は「ここにいてはいけない」という生理的な反応を引き起こします。ドラマでも新米刑事が遺体のニオイで吐くシーンがあるじゃないですか。視覚よりも嗅覚はダイレクト。いくら映像コンテンツが高精細になり、3Dになったとしても、リアリティーが一線を越えないのは、ニオイがないせいでしょう。戦争映画でもゾンビものでもニオイ付きだったら耐えられないはずです(ゾンビのニオイってどんなだよと言われても知りませんが)。

まぁ感覚はマヒするものなので、悪臭もいずれは慣れるのでしょうが、現代日本の清潔な環境に慣れきった人間には生ゴミのニオイですらオエッとなってしまうのです。

相変わらず前置きが長いですが、そんなひ弱な民の救世主が、自動でフタが開閉し、ゴミ袋を自動密閉してくれるゴミ箱「townew(トーニュー) スマートトラッシュボックス」です。昨年、クラウドファンディングで公開されていた「T1」を試用する機会があり、「こりゃ画期的」「文明開化じゃい」と思ってたので、新製品の「T Air X」をわが家にお迎えしました。容量は13.5Lで、台所で発生する生ゴミを捨てるにはちょうど良いサイズです。

開けゴマ、じゃなく手などをかざすとフタが開く。3秒ほどで閉まるので、その間にゴミを投入!

便座のフタが自動開閉するトイレのように、人体を検知して開き、3秒後に閉まります。手をかざすより、足の方が楽かもしれません(見た目のお行儀が良くないですが)。そして、ゴミがいっぱいになったら、ボタンを押してゴミ袋を密閉。ゴミ袋を外に出し、カバーを元に戻せば、次のゴミ袋が自動でセットされます。ニオイが漏れないし、小バエの発生源となりにくいのもメリットですね。キッチンの生ゴミだけでなく、ペットの排泄物、赤ちゃんのオムツなど、ニオイが気になるゴミ全般に使えます。

前面のボタンを長押しすると、ゴミ袋が密閉される

気になるランニングコストですが、筒状のゴミ袋が収納された「リフィル」は3個セットで1,990円。1つにつき約25回の密閉が可能だそうで、計算すると1回あたり約26.5円。商品ページには、1個のリフィルで2カ月持つと書かれていますが、わが家の場合は夫婦とも自宅勤務かつ10代の子どもが2人いるせいか、1日1回ゴミ袋を密閉しています。なので、1カ月あたりのコストは800円弱。市販のゴミ袋よりは当然に高くなりますが、清潔さが保たれ生ゴミのいやなニオイを嗅がずに済むと思えば安いものです。

ゴミ袋を取り出してカバーを閉じると、新しくゴミ袋がセットされる

なにせ快適さには、公衆便所と自宅のトイレぐらいの差があります。水洗トイレは水道代がかかるから嫌だって人がかなり少数派なように、いずれはこのタイプのゴミ箱がどの家庭でも当たり前になっているんじゃないでしょうか。そんな気、いやニオイがしますね。

バッテリー内蔵なので置き場所を選ばない。充電はUSB(micro USB端子)で行なう。1回の充電で約1カ月半(45日)使用可能

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>