家電製品ミニレビュー

DCモーター採用のパワフルな気化式加湿器

パナソニック「気化式加湿器 FE-KXK05」

 これから春先まで、喉や肌が乾燥する。肌はまだしも、喉が乾燥すると風邪をひく可能性があるので、加湿器を導入することにした。今回導入した加湿器は、パナソニック「気化式加湿器 FE-KXK05」。DCモーターを採用し、ハイパワーながらも、静音性や省エネ性に優れる製品だ。

メーカー名パナソニック
製品名気化式加湿器 FE-KXK05
購入場所Amazon.co.jp
購入価格20,320円

 加湿器内部のフィルターに染み込ませた水を、ファンによる送風で気化させて加湿する気化式加湿器で、加湿能力は約500ml/h。適用床面積はプレハブ洋室で14畳、木造和室だと8.5畳となっている。

 FE-KXK05の特徴は、電力を効率よくパワーに変換するDCモーターを搭載した点だ。これにより、小型のファンでも強い風を起こせるため、短時間で快適な湿度まで加湿できる。ほかにも、静音性や省エネ性も優れており、まさに良いことずくしだ。

 気化式の弱点である水やフィルターの清潔性については、FE-KXK05では、交換不要なイオン除菌ユニットで加湿する水を除菌するほか、運転停止中には、フィルターが設置されている空間にナノイーを充満させて清潔さを保つという。

加湿フィルター。このフィルターに吸わせた水をファンの送風で気化させる
「フィルター枠」の底にはめ込まれているのがイオン除菌ユニット。トレーの水を除菌する

 操作は簡単。「運転 切/入ボタン」を押すだけで、運転を開始、終了できる。運転モードは、「自動運転」「連続運転」「お急ぎ運転」の3種類。自動運転では、湿度約60%を目安に運転する「おまかせ」、湿度約60%~65%を目安に運転する「のど・肌」、湿度約60%を目安に風量弱で運転する「おやすみ」の3種類から選べる。

 連続運転は風量を「弱/中/強」の3段階から選んで運転させ、お急ぎ運転は部屋の湿度をいち早く高めたいときに利用する。

操作パネル。ボタンが大きく文字も見やすい。運転中に自動と連続を同時に押すとナノイーが切れる
左側面。プレフィルターの右上に湿度センサーが搭載されている
背面にもプレフィルターを備える
上面。操作パネルの左側に吹き出し口を、右側に水タンクを入れるスペースがある

パワフルな加湿力なのに運転音が静かで快適!

 さっそく使ってみた。睡眠時以外は、約15畳のLDKに設置。LDKでは、常に「おまかせ」で運転させた。初めて電源を入れた時の湿度は30%~40%の間。それから約20分で60%に達した。

 気化式ではスチーム式や超音波式のように水蒸気が出ないので、効果を見て確認することはできないが、DCモーターによる加湿力は予想していたよりも強力だった。

 運転音は、終始静か。湿度が低い状態から30分くらいは、近くに居ると「動いてるなぁ」と存在を感じるが、湿度が60%~70%の間で安定すると、動いているのに気づかないくらい存在感がなくなる。実際、使用中に水切れで運転が止まったことに気がつかず(おやすみ・弱運転だと警告音が鳴らない)、放置していたことが4、5回あった。

 寝室では、のどがいがいがしたり、肌がかさついているときは「のど・肌」で、それ以外は「おやすみ」で運転した。どちらも、運転音が静かで朝までぐっすりと眠れた。「のど・肌」、「おやすみ」ともに、起きたときに喉は乾燥していなかった。ランプの明るさを調整できるのも便利だ。

 気化式では、水蒸気は出ないので窓が結露することはない。ただし水を温めないため、吹き出し口からは冷たい空気が出てくる。設置場所は工夫した方が良さそうだ。

「明るさ控えめボタン」でランプを暗くすることができる

 タンクの容量は約4.2L。仕様では室温20℃/湿度30%の環境で強運転した場合、約8.4時間加湿できるという。約3週間使い続けたが、実際には、湿度が40%前後の状態でおまかせ運転をはじめると約10時間、連続運転できた。

 時間に差があるのが気になったので取説を読んでみると、部屋の湿度を60%前後に保つために、自動的に運転を開始・停止するそうだ。

タンクは、どちら向きでも入れられる
約4.2Lの水が入るだけあり、かなり大きい

約1カ月に1回手入れするだけで清潔に保てる

手入れが面倒そうだった気化式加湿器の心臓部。実際はとても簡単だった

 加湿器は手入れが面倒という先入観を持っていたが、FE-KXK05の手入れはとても楽だった。毎回水洗いするのは、水を入れるタンクだけ。水がなくなったときに水洗いすればOKだ。ただし、カルキなどのしつこい汚れが付着した時は、クエン酸液を使って取り除く。

 もっとも頻繁に手入れしなければならないと思っていた加湿フィルターは、約1カ月に1回、水かぬるま湯で押し洗いするだけで良いという。しかも、1日に8時間運転させる程度なら、1カ月に1回の手入れを欠かさなければ、約10年交換不要だという。一人暮らしのときに気化式加湿器を使っていたが、その頃の加湿フィルターは1カ月ほど放っておくとすぐにカビが発生し、その都度フィルターを交換していたのを考えると、すごい進化だ。

 加湿フィルターをセットするトレーとフィルター枠は、約1カ月に1回、水洗いする。いずれも、しつこい汚れやニオイが気になったら、クエン酸液を使って手入れする。加湿フィルターの手入れには、酵素系の漂白剤も使えるそうだ。クエン酸液は3Lの水、またはぬるま湯で20gのクエン酸を溶かす。

 本体の側面と背面についているプレフィルターは、付着しているホコリが気になったときにハンディーワイパーや掃除機で除去するだけでOK。最低でも1カ月に1回で良いという。水洗いは禁止。プレフィルターは破損したら交換する。

本体の持ち運びと給水が難点

 加湿器の性能では、文句なしのFE-KXK05だが、本体の持ち運びと給水が面倒だった。

 持ち運びでは、持ち手が本体の底部にあるので、しっかり持つには一度かがまなければならない。約5.2kgの重さが体全体にかかるので、より重く感じる。毎日、リビングから寝室に移動させるのが正直大変だった。

 給水については、水を入れるタンクが大きすぎる。キッチンや洗面所、浴室の水栓では高さが合わず、1回でタンクを満タンするには、シャワーを使うしかなかった。

 気化式の場合、加湿フィルターをセットするトレーが必要になるため、タンクが縦長になりやすいのかもしれないが、ユーザー目線で考えると正方形や横長のもののほうが、一般家庭にある水栓で給水しやすいと思う。ぜひ改善して欲しいところだ。

本体の重さをズシッと感じる
毎回シャワーを使って給水するのが面倒だった

 3週間強使ってみたが、加湿性能はパワフルなのに、運転音が静かで1カ月の電気代も約52円(強モード運転時。実際にはほぼ弱モードでの運転となるのでもっと安くなる)と、気化式加湿器の弱点をほぼ克服したと言えるFE-KXK05。自動運転にするだけで、湿度を常に60%~65%に保ってくれるので、機械が苦手な人にも簡単に使える。

中野 信二