家電トレンドチェッカー

今年の加湿器のトレンドは“除菌”と“特化型”

 乾燥が気になる季節になってきた。室内の湿度が30%を下回るようになってくると、喉がいがいがしたり、肌がピリピリしたり……乾燥した状態は風邪の菌が繁殖しやすく、健康にもよくない。そこで今回紹介するのは加湿器だ。

 加湿器と一口にいっても、実は色々な方式がある。今回はそれぞれの方式の違いやメリット/デメリットを説明した後に、今年発売の新製品を紹介する。

お湯を沸騰するため菌が少ないが、消費電力が高いスチーム式

スチーム式加湿器。蒸気が温かいので、乾燥が気になる寒い季節に向く

 スチーム式は、最もオーソドックスな加湿方式の1つで、お湯を沸かして、その蒸気で室内を加湿する。一度沸かしたお湯を使うので、清潔性が高く、加湿能力が高いというメリットがある。

 その一方、吹き出し口が熱くなるので安全性が不安、お湯を沸かすためのヒーターを使うので消費電力が高いという点がデメリットとして挙げられるだろう。

清潔性
省エネ×
安全性×
加湿能力

パワフルで省エネだけど、清潔性が気になる超音波式

超音波式加湿器。スイッチを入れるとすぐにミストが出てくるが、清潔性に不安も

 小型の加湿器などにもよく搭載されている超音波式加湿器。超音波を発生する小型部品を水に浸すことで、水を超音波で細かく砕いて、ミスト状にして室内に拡散するというもの。スチーム式のようにお湯を沸かさないので、省エネという観点から見ると優れているが、実は水に含まれる雑菌という意味では、不安が大きい。

 超音波式は、水道水の殺菌をする塩素が超音波で蒸発してしまうため、後には殺菌成分のない水が残り、菌が繁殖しやすい。しかも、超音波式のミストは水滴が比較的大きく、そのまま身体に吸い込んでしまうと、「加湿器病」と言われる病気にかかってしまうことも。こまめなメンテナンスが必要となる。

清潔性×
省エネ
安全性×
加湿能力

低消費電力だけど、まめな手入れが必要な気化式

 加湿器内部のスポンジフィルターに水を通し、ファンで送風することで加湿する気化式。送風で加湿するため、使用電力が少ないのが特徴。ファンを使うため、運転音は比較的大きめ。

 デメリットとしては、手入れをまめにしなければならないこと。スポンジフィルターは常に常温の水に浸っている状態なので、カビが発生しやすい。定期的にスポンジフィルターを水洗いする必要がある。

清潔性×
省エネ
安全性
加湿能力×

気化式とスチーム式を組み合わせたハイブリッド式

ハイブリッド式のフィルターも定期的な手入れが必須

 水を含んだフィルターに温風を通して加湿するハイブリッド式。気化式とスチーム式を組み合わせたような機構だ。熱を使用するため、消費電力はやや高めだが、スチーム式のように熱湯を使うわけではないので、安全性は高い。

 デメリットは、気化式同様にスポンジフィルターを使うので、マメな手入れが必要な点。

清潔性×
省エネ
安全性
加湿能力

空気清浄機の加湿機能は?

 最近の空気清浄機は、加湿機能を搭載しているものも多いが、その多くは消費電力が低い気化式を採用している。ここで問題になるのがやはり内部のフィルター。空気清浄機は今や季節を問わず、年中使う家電になりつつあるが、加湿器は夏には使わない。その間、きちんとメンテナンスをしていますか? という話だ。

 メンテナンスを怠って、タンクに水を入れっぱなしにしておくと、空気が乾燥するようになって「そろそろ加湿機能をつかおう」と思ったら、給水タンクがカビでピンク色にとか、フィルターにキノコが生えていたなんて話もある。それをきっかけに空気清浄機自体を使わなくなってしまう人も。

定期的な手入れを怠ると、フィルターや水タンクに水アカやカビなどが発生するので注意

 できれば、シーズンが終わったら加湿フィルター自体を空気清浄機から取り外して、別に保管しておきたいところだが、最近の空気清浄機は加湿フィルターを含む全ての部品がきちんと所定の位置に納まっていないと、スイッチが入らなかったりする。清潔性を考えるとやはり空気清浄機と加湿器は別々のものを用意するのがオススメだ。

今年の加湿器は除菌&特化型がトレンド

 ここまで加湿方式の違いをまとめてきたが、どの方式も一長一短でパーフェクトな加湿方式というのはこれまでなかなかなかった(各方式の更に詳しい検証についてはこちらの記事をどうぞ)。しかし、今年の新製品は違う。加湿器の弱点だった清潔性や結露などをカバーした新モデルが登場。それが以下の3製品だ。

・UV-Cライト搭載で除菌率99.9%のダイソン

 今年11月に発売になった「Dyson Hygienic Mist (ダイソン ハイジェニック ミスト) 加湿器 AM10」は、UV-Cライトを搭載した超音波式加湿器。超音波式加湿器は、衛生面において問題があったが、UV-Cライトで水を除菌することによってその問題をクリアした。

Dyson Hygienic Mist (ダイソン ハイジェニック ミスト) 加湿器 AM10
給水タンクの水は小さな水路に入り、そこでUV-Cライトを照射、その後、圧電変換室でも再度UV-Cライトが照射される
ダイソンが行なった実験によると、市販の超音波加湿器がわずが5分で測定限定値の2,500個の菌を放出した一方、Hygienic Mistでは、2時間経過しても試験用の大腸菌を放出することはなかった
メーカーダイソン
製品名Dyson Hygienic Mist (ダイソン ハイジェニック ミスト) 加湿器 AM10
希望小売価格オープンプライス
販売価格63,150円(Amazon.co.jp)

 羽根のない扇風機でもおなじみの特許技術AirMultiplierテクノロジーにより、室内を均一にムラなく加湿できるという点も魅力。室温に応じた湿度を自動で感知するインテリジェントサーモスタットも備えており、快適で衛生的な室内環境を保つことができる。

 最大18時間の連続運転が可能で、一晩中水を切らすことなく使い続けられる。気になる運転音は最小36dB/最大57dB(いずれも加湿モード)。ダイソンの本国である英国では運転音が静かな製品に付与される「QUIET MARK」を取得しており、静かな運転も実現。

 1時間あたりの加湿能力は300mlで、タンク容量は3L。適用床面積の目安は5~8畳。

 5万円を超す価格は加湿器としてはかなり高額だが、ダイソンならではの技術性の高さと、デザインを実現した魅力的なモデルとなっている。

ダイソン
http://www.dyson.co.jp/
製品情報
http://www.dyson.co.jp/fans-and-heaters/humidifiers.aspx

・銀イオンで除菌するカドーの加湿器

タンク内の水と室内の空気を除菌するという「ゼオクレア・抗菌カートリッジ」をタンク内部に備えるカドーの「加湿器 HM-C600S」

 カドーの「加湿器 HM-C600S」も独自の機構で超音波の清潔性の問題をクリアしている。タンク内の水と室内の空気を除菌するという「ゼオクレア・抗菌カートリッジ」をタンク内部に備える。ゼオクレアとは、鉱物の一種で水質を改善するイオン交換剤や脱臭などの吸着剤に使われている。同カートリッジは半年に1回程度交換が必要で、交換用カートリッジの価格は6,151円(税込)。

メーカーカドー
製品名加湿器 HM-C600S
希望小売価格44,800円
販売価格44,800円(yodobashi.com)

 新モデルでは、バラの香りを調合したオリジナルのフレグランスも同時リリース。加湿しながら香りも一緒に楽しむことができる。オリジナルフレグランスは3種類展開しており、価格は1本2,484円。

 1時間あたりの加湿能力は600ml。適用床面積は洋室で約17畳、和室で約10畳。連続加湿時間は最大24時間。タンク容量は2.4L。

カドー
http://cado.co.jp/
加湿器
http://cado.co.jp/products/hm/c600s.html

・“就寝時”に特化した三菱の保湿機

就寝時の機能に特化した三菱電機の「パーソナル保湿機 SH-JX1」

 三菱電機とオムロン ヘルスケアが共同で開発した「パーソナル保湿機 SH-JX1」は、就寝時専用の加湿器。衛生面を考慮して、加湿方式はスチーム式を採用するが、温かいスチームと常温風を混合させる独自の機構を採用。これにより、吹き出し口のスチーム温度は約45℃となり、スチームが上昇しにくく安全性も確保した。

メーカー三菱電機
製品名パーソナル保湿機 SH-JX1
希望小売価格オープンプライス
販売価格32,184円(Amazon.co.jp)

 ほかの加湿器と大きく異なるのが、スチームの吹き出し口が真横であるという点。これは横になった状態で使うというのが前提になっているためで、就寝時に使うことで、寝具を濡らしたり、窓を結露させることなく、顔周りだけを効率的に加湿するという。

 1時間あたりの加湿能力は600mlで、タンク容量は1L。運転温は約27dBで、8時間の連続運転可能。

 “就寝時”にフォーカスすることで、これまでにない機能を備えたユニークな製品だ。

三菱電機
http://www.mitsubishielectric.co.jp/
製品情報
http://www.mitsubishielectric.co.jp/home/hoshitsuki/

編集部