家電製品ミニレビュー

パナソニック「電池がどれでもライト BF-BM10」

~どんな電池でも1本あれば明かりが灯る防災用LEDライト

「電池がどれでもライト」2代目登場

パナソニック「電池がどれでもライト BF-BM10」

 複数のサイズの乾電池に対応する製品は、最近増えているが、その元祖的存在として、パナソニックの「電池がどれでもライト BF-104F」という製品がある。

 これは、単一/単二/単三の乾電池をアダプタなしで使える懐中電灯で、どの電池も2本ずつのセットで使用できるというもの。本誌でも以前レビューしている。

 そして、このたび2代目の製品として「BF-BM10」が発売された。光源がLED化されただけではなく、電池1本からの給電や、単四形にも対応し、ランタン兼用など、魅力的な仕様となっている。ちょうど、明日25日が発売日だ。今回、発売前に試作機をお借りできたので、実機を紹介したい。

メーカーパナソニック
製品名電池がどれでもライト BF-BM10
価格
オープンプライス
購入場所
Amazon.co.jp
購入価格1,980円

取説を兼ねたパッケージ

 パッケージは紙箱で、一部が透明になって、本体が見えている。パッケージのサイズは縦横が13cm強、奥行きも8cm強しかない。乾電池をたくさん内蔵する仕様だが、想像していたよりもコンパクトな印象だ。

最近では珍しい箱型のパッケージ
裏面には特徴と基本的な使用方法がまとめられている
ともかく電池1本あれば点灯する
LEDライトとしてもランタンとしても使用できる

 このパッケージには面白い工夫がされている。箱の内蓋に、取扱説明書の内容が印刷されているのだ。つまり、この製品は防災用品として備蓄され、イザというときに初めて取り出されることを想定しているのだ。非常時に箱を開けると、重要なことが目に入るようにという工夫だ。

 箱型を吊り下げたときに目立ちやすいブリスターパックでなく、紙箱にしたのも、備蓄しておくときに積み重ねやすいからだろう。パッケージの段階から防災用品としてまじめに考え抜かれた製品だということが伝わってくる。

内蓋に使用上の注意がまとめられている
その下のフタにも書かれている

 取り出した本体もコンパクトだ。仕様によれば、135×80×125mm(幅×奥行き×高さ)となっている。男性の手のひらに乗る大きさだ。

本体正面。丸いカバーの直径は約8cmある
本体右側面。ハンドルの大きさが目立つ
本体左側面。電池ケースは電池の形に合わせた曲線の多い形
本体尾部
左は東芝製のLEDサーチライト(いわゆる強力ライト)、右は富士通FDKのLEDなんでもライト
太く短い形がよく分かる

 本体重量は、実測で210g、単一から単四まで電池4本を入れた状態で446gだった。

電池の入っていない状態では210g
4本電池を入れると446gと倍以上の重さになる。電池も4本になると、本体より重い
持ち歩くときはハンドルを握る

 外観の特徴は大きなハンドルで、がっしりと握れる大きさだ。LEDライト本体は、複数の乾電池を収納するために、複雑で太い形をしているので、ハンドルを握って持ってほしいという意図だろう。

 電池を入れるためには電池ケースを開ける。片手でハンドル、片手で本体後部の電池ケースを回すと、パカっと電池ケースが外れる。乾電池は、単一/単二/単三/単四が各1本ずつ入る。電池を入れる場所ははっきりしているし、方向もプラス極が上向きなので分かりやすい。

左側面にある電池ケースを開ける際のマーク
電池ケースを開けた状態
大きさの異なる4本の電池を収納できる
電池ケースの電極のようす

周囲を照らすので足元も明るい

 電源スイッチは、本体前部の半透明部分を回転させる。LEDライトを使う際は、セットしてある電池の種類のところに合わせれば点灯する。

右側面にあるスイッチの表示。白い部分が回る
LEDを点灯した状態
LEDを点灯すると半透明の部分も広く光る

 スイッチはロータリー式で、電池ケース中の電池の位置に合わせて、「単一→OFF→単三→OFF→単二→OFF→単四→OFF」という順番になっている。スイッチはどっち方向にも回るので、いま説明した方向とは逆に単三から単一に戻してもいい。また、360度以上回すこともできる。単四→OFFの次は、一回りして単一に戻るわけだ。

スイッチの構造。どっち方向にも回せる(パナソニック資料)

 LEDライトを点灯すると、本体前面の半透明の部分全体が光る。前面だけではなく、周囲を広く照らすので、ランタン代わりにもなる。

 LEDは、7.5mm径のスタンダード白色LED1個。LEDの前面は凸レンズになっていて、中央部に集光している。1m程度の距離だと、光の輪が見える。2m以上離れると光はきれいな円形になる。

LEDのカバーを開けた状態
LEDは白色が1つ
LEDが点灯した状態
カバーの中央は凸レンズになっている
下に置いた布が拡大されて、凸レンズであることがわかる

 このLEDライトは周囲も広く照らす。LEDライトで前方向を照らすと、足元の床面も照らしてくれるので歩きやすい。真っ暗な場所を歩くときには便利だった。

1mほど先の壁を照らす。中央が集光される部分
この状態で床を見ると、かなり明るく照らされている
2mほど先を照らすと、きれいな円になっている

簡易ランタンだが、実用性あり

 本機のランタン機能は、あくまでもLEDライトとしては広く周囲を照らすというものであり、本格的なものではない。基本は前を照らすための照明器具だ。

 ただ、上向きや下向きに置いてみると、本体前面の半透明の部分がすべて明るいので、暗い場所で日常生活を行なう程度なら、ほぼ用が足りる。たとえば、洗面台で脇に置くとか、浴室で入浴時に使うには十分だ。本体は、IPX1相当の防滴構造なので、こういう水回りでも安心して使用できる。ただし防滴といっても、小雨程度を想定しているので、シャワーや水没は避けよう。

ランタンとして使うときは上向きに置く
下向きに置いても使える
洗面台に置いたところ

 大きな取っ手は、ランタンとして吊るすときにも使える。ちょっと惜しいのは、取っ手の後ろ半分の部分が曲線になっているので、真下を照らすように吊るすことができないことだ。取っ手の形で工夫できないものだろうか。

浴室で下げてみたところ。真下に向けられないのが惜しい
壁面が白いタイルということもあって、入浴できる明るさはある

電池を選ばない雑食性LEDライト

 この製品の最大の特徴は、やはり乾電池の大きさや種類を選ばずに使えることだ。

 手元にあった、各種のアルカリ乾電池を始め、ニッケル水素充電池を試してみたが、なんでも使えてしまう。高価なので試していないが、リチウム電池にも対応するという。電池を選ばない雑食性のLEDライトなのだ。

 また、ヘタった電池にも強い。非常時にはリモコン/時計/玩具などの電池を使うように、とパッケージに書かれているが、確かにリモコンで使って電圧が少し下がってしまった電池でも十分に明るかった。

 なお、エボルタではない普通のアルカリ乾電池での使用可能時間は、単四で約1時間45分とされているが、富士通ブランドのアルカリ乾電池を使った手元の計測では2時間半以上持った。同様に単三が約6時間30分とされているが8時間は持つ。単一と単二は試せなかったが、単一の約40時間、単二の約18時間というカタログ値も余裕のある数字だろうと想像できる。

電池寿命の仕様(パナソニック資料)

 ただし、電池の寿命が尽きたときは、だんだん暗くなるのではなく、パタッと暗くなる。また、電池を1種類だけ入れて置くと、回転式スイッチをぐるぐる回すことになるので、4種類とも入れておいたほうが使い勝手が良い。また、4本入っていれば、4本分の寿命を足しただけ明かりが使用できる。つまり、本体の中に電池を備蓄しているのと同じだ。これは電池アダプタなどにはない特徴で、イザというときに頼りになる。

防災用品として良くできた製品

 「どんな電池でも、乾電池1本あれば明かりが灯る」という本機の特徴は、防災用品としてはとても重要だ。

 さらに、最大4本まで本体内に乾電池を収納できたり、ランタンとして周囲を照らしたりという特徴もある。本体だけではなく、箱にも工夫を凝らすなど、防災用品として磨き上げられた印象だ。

 気になる点といっても、本体がちょっと大きいとか、ランタンとして使うときにもう少し横方向を明るく照らして欲しいというぐらいしか要望がないし、これも無い物ねだりに近い。

 とりあえず、防災用に、家庭にLEDライトを備えておきたいという用途では、現時点ではこれを推薦する。

伊達 浩二