家電製品ミニレビュー

無印良品「LED角型懐中電灯 MJ1117」

~ヨーロッパ調で雰囲気のあるLEDライト

ここでしか買えないLEDライトが通販に

無印良品「LED角型懐中電灯 MJ1117」

 東京の青山に「Found MUJI 青山」という無印良品の店舗がある。

 このお店は、普通の無印良品のお店ではなく、「ものをつくるというよりは、探す、見つけ出す」という無印の基本に立ち返った「Found MUJI(見出されたMUJI)」というコンセプトによるお店だ。無印良品の1号店をリニューアルしたということでも、気合の入り方が分かる。

 Found MUJIのホームページを見てもらうと雰囲気がわかるが、店頭には伝統的な生活を見直し、そこから何かを汲み取ろうという趣旨の製品が多い。伝統的な布製品や小物が中心で、郷土玩具や縁起物まで並べられている。

 去年、ここで見つけたのが、今回レビューする「LED角型懐中電灯 MJ1117」だ。お店のコンセプトからすると、LEDライトは浮いてしまうと思うかもしれないが、意外なほどしっくりとなじんでいた。

 このLEDライトは、いわゆる棒状の懐中電灯型ではなく、無印が「ヨーロッパの蚤の市で見つけた懐中電灯を新しく仕様を変えてつくりました」と言っているように、懐かしさや暖かみを感じさせるデザインだからだろう。

 残念なことに、この製品はFound MUJI 青山でしか購入できず、Found MUJIの商品を扱っている一部の無印良品店舗でも販売されていなかった。無印良品の通販サイトでも製品は登録されているものの、ずっと品切れと表示されていたのだ。レビュー記事を掲載するには、入手性の面でためらってしまう状況だ。ところが、先日チェックしてみると、やっと通販サイトでも購入できるようになっていた。さっそく、レビューをお届けする。

メーカー無印良品
製品名LED角型懐中電灯 MJ1117
販売価格2,900円
購入場所無印良品ネットストア

四角くて角が丸いデザイン

 LED角型懐中電灯の本体は、金属製だ。素材はスチールとステンレスとされている。本体は、クリームがかったホワイトで塗装されている。

 本体の形は長方形だが、角が丸くなっているので、やさしい感じがする。金属製の取っ手がついていて、これが本体を立てるときのスタンドにもなる。鉄道員が使うカンテラを思わせるようなデザインだ。

正面。大きな反射板が特徴
右側面。電源スイッチと留め金具が見える
背面。すっきりと何もない
左側面。蝶番(ちょうつがい)だけ
電源スイッチ周辺のアップ
LEDを点灯した状態
付属品は取扱説明書1枚だけ。電池は別売だ

 本体サイズは66×36×107mm(幅×奥行き×高さ)で、手の平に乗る大きさだ。重量は約170g(電池含まず)。

 LEDの周囲は反射板になっている。この反射板の直径が5cm弱と大きめなので、一つ目小僧かゲゲゲの鬼太郎の親父のようでかわいい。ちょっと昔のムービーカメラのようにも見える。

点灯すると反射板全体が光る
反射板とLED
反射板を裏からみた状態

 本体の構造も独自で、電池交換の際はパカっと開く。留め金は、アルマイト製のお弁当箱に付いてくるおかず入れと同じ構造で、懐かしさを醸し出している。電池は単三型を3本使用する。電池は別売で、種別については指定がないのでアルカリ乾電池を入れている。エネループなどの充電池は使用できない。

本体を開ける。まず留め金具を開く
お弁当のおかず入れに似ている
単三形乾電池との大きさ比較
乾電池を入れた状態

 操作部分は、スライドスイッチが1つあるだけ。ONとOFFのみで、明るさの調整はない。スライドスイッチは、留め金側に引くのだが、これがどうしてもおぼえられず毎回間違ってしまう。スイッチの感触は、カチッとしたものではなく、すこしゆるい感じの遊びのある動きだ。

 LEDは1Wの白色LEDが1個。樹脂製のレンズは素通しだが、反射板が良くできていて、広い範囲に光が広がる。通常の懐中電灯型LEDライトの2倍近い範囲を照らす感じだ。1m先であれば、直径1.5mぐらいの範囲を照らす。

 LEDライトによくある強いビーム感がなく、まんべんなく照らされるので、徒歩の時に足元を照らすのに使いやすい配光だ。

照射範囲はきれいな円形だ。壁から50cmぐらいの距離
LEDの照射範囲はとても広い。1m先の壁を照らすと壁いっぱいに明るい
2m先の廊下を照らす。周囲の壁も明るい
4m先の廊下を照らす

 単三形アルカリ乾電池3本を使った場合の電池寿命は、10時間とされている。実測ではもう少し持つ。どこかに出かけるときも、予備の電池のことは考えなくて良いぐらいは持つ。電池が切れかかると徐々に暗くなる。電圧の変化が素直に明るさに出るタイプだ。

デザインも良いが実用性も高い

 このLEDライトは、最初はデザインに惚れて買ったのだけれど、使ってみると実用性も十分にあることがわかった。

 特に良いのはハンドルが付いている点と、照射範囲が広い点だ。

 持ち歩いて前を照らすときは、ハンドルを握ると持ちやすい。ハンドルは男性の太い指でも3本ひっかけられるだけの幅があり、ハンドルを上にした形で、片手で提げて歩くことができる。

取っ手の幅は、男の手でも指3本分あるのでしっかり持てる
前を照らしながら持ち歩く

 また、ハンドルの動く範囲が広く、スタンド代わりになるので、テーブルの上にLEDライトを置くときにも安定しているし、角度も調整できる。ただし、本体を斜めにしたときに、電池が入った本体の重みに負けて位置がずれてしまうことがある。ノッチはもう少し堅めにしてほしい。

スタンドを兼ねた、自由に動く取っ手が特徴
スタンドがあることで本体が安定する
スタンドの可動範囲。ここから
ここまで動く
スタンドを使った角度調整、その1。べったり置くのではなく角度がつけられる
その2
その3

 室内で使う場合、照射範囲が広いのは実用的だ。テーブルの隅に置けばランタン代わりになる。また、枕元にこのLEDライトを置き、天井に向けて照らすと、約7畳の天井全体が照らされる。天井からの反射で、室内全体が見渡せるのだ。とりあえず、真っ暗な中でも、天井さえ照らせば室内の様子が分かるというのはとてもありがたい。これが魅力で、枕元に常備する非常用のLEDライトを、このLED角型懐中電灯に換えてしまった。

照射範囲が広いのでランタンに近い使い方ができる。洗面台に置いた例
トイレに置いた例。天井を向けて置いている
フックがあれば、取っ手を使って下を照らすことができる
浴室を照らした例。浴槽全体が照らされる

 この製品は、防災用品として、部屋に1つLEDライトを備えておきたいが、インテリアにふさわしいデザインの製品がなくて困っているような方に、特にお勧めしたい。シンプルで懐かしい感じのデザインなので、どんな部屋にでも溶け込めると思う。実用性もちゃんとあるので、防災用品としても頼りになる。

伊達 浩二