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青切符制度導入でe-bikeのメリットが大きくなる!? ルールどおり都内を走ってみた

自転車の交通違反に対しても「青切符」の対象とする交通反則通告制度が導入されました。青切符が交付されると反則金が科されるため"厳罰化"というイメージで語られることも多いですが、交通ルールが大きく変わるわけではありません。普段からルールを守って走行していれば、何も恐れることはないのです。どんなところに気をつけて走ればいいのか? 実際に都内をe-bikeで走りながら整理してみました。

自転車は車道の左端を走るのが原則

今回の制度導入で一番話題になっているのが「歩道が走れなくなる」というものではないでしょうか。確かに歩道通行や逆走などの通行区分違反には6,000円の反則金が科されることになりました。ただ、自転車は軽車両という車両の一種なので、以前から車道を走ることが原則で歩道走行は"例外"として認められている状態です。

ちなみに自転車が歩道を走ることが認められているのは、次の3つのような場合とされています。

1,道路標識・道路標示で歩道を通行することができるとされているとき
2.13歳未満若しくは70歳以上の方又は一定の身体障害を有する方が運転するとき
3.車道又は交通の状況に照らして、自転車の通行の安全を確保するため、自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき(著しく自動車の交通量が多い、車道の幅が狭いなど、事故の危険がある場合)

このような「普通自転車歩道通行可」の標識があり、自転車の通行が認められている歩道は走行が可能
ただ、普通自転車として認められるのは幅が60cm以下とされているため、MTBのような幅の広いハンドルだと通れません

自転車の通行が認められている場合でも、歩道の中央から車道寄りの部分を徐行するという規定があります。e-bikeやスポーツタイプの自転車に乗っているのなら、わざわざ歩道を走るよりも車道を走るほうがスムーズで、機動力を活かすこともできるでしょう。

写真のように歩道に「普通自転車通行指定部分」が設けられている場合にはここを走らなければなりません。こちらも徐行が原則です

歩道通行について警察庁は「悪質・危険な行為」が取り締まりの対象としていて、歩道を通行しているだけで取り締まることはないとしていますが、基本的に車道を走っていれば心配はありません。ドキドキしながら歩道を走るよりも、車道を走るようにしましょう。

車道を走る場合は左側の端が原則。最近は「自転車ナビライン」と呼ばれる自転車が通る場所を示す矢印が路面に描かれている場所が増えましたので、これに従っていれば間違いありません。

自転車ナビラインの表示。この矢印と逆に走ると逆走になるので注意しましょう

また、自転車レーン(普通自転車専用通行帯)や自転車道(柵などで区切られた自転車用の道路)が設けられているときは、自転車はここを通行しなければならないとされています。ただし、自転車レーンに駐車や停車しているクルマがあったりするのが悩みどころ。自転車レーンは基本的に駐停車が禁止されているのですが、そうしたクルマがあったら後ろに注意しながら車道にはみ出して追い越すしかありません。その際には、後方だけでなく停まっているクルマが動き出したりドアが開いたりすることもあるので注意しましょう。

路面にブルーでペイントされているのがいわゆる自転車レーン。これがある場合はここを走りましょう
最近はポールなどで駐停車ができないようになっている自転車レーンも増えてきました。もっと増えてほしい! というか、すべてこの作りにしてほしい

信号や一時停止はきちんと守る

当たり前のことですが、自転車も車両の一種ですから信号に従う義務があります。車道を走っている場合は車両用の信号、横断歩道を渡る場合は歩行者用信号に従いましょう。たまに信号の設けられているT字路で「T」の上辺を走っている自転車が赤信号でも止まらずに走っているのを見ることもありますが、これはもちろん違反。信号無視の反則金は6,000円ですのでしっかり止まりましょう。

T字路の信号にもしっかり従う義務があります

また、一時停止の標識がある場所でも停止する必要があります。停止線がある場合は、その直前で、なければ交差点の直前で停止します。指定場所一時不停止の反則金は5.000円です。自転車は停止すると再び漕ぎ出すのに体力を使うので、止まりたくない気持ちもわかりますが、e-bikeであればアシストがあるので停止して再発進するのが苦にならないのがメリットです。

一時停止の標識がある場所は見逃さずに停止すること。危ないから一時停止になっているのです

自転車だとあまり意識しないかもしれませんが、横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいる場合も横断歩道の手前で停止しなければなりません。通行を妨げると横断歩行者等妨害等の反則行為(反則金は6,000円)となります。気を付けたいのは横断歩道の直前で停止しているクルマがいた場合。歩行者を優先するために停車していることが多いので、追い抜かずにいるのが賢明です。追い抜く場合は一時停止する必要があります。

横断歩道を渡っている歩行者がいる場合は自転車も停止が必要。歩行者がいなくても徐行です

見落としがちな徐行と並進に注意

自転車に乗っているとあまり意識しないルールの1つが徐行するポイントでしょう。信号機のない見通しの悪い交差点や曲がり角の直前は徐行しなければなりません。徐行というのは「すぐに止まれる速度」のことなので、慎重な自転車乗りならみんなやっていることだともいえますが、こういう場所をスピードを落とさずに通過するのは危険でもあります。徐行場所違反の反則金は3,000円ですが、自分の身を守るためにも徐行するようにしましょう。

見通しの悪い交差点や曲がり角の直前は徐行するポイント。安全のためにもゆっくり通行したい

もう1つ意外と知られていないのが並進の禁止です。並進とは2台以上の自転車で横に並んで走る行為。これは並進禁止違反という反則行為とされていて、反則金は3,000円です。ほかの自転車や歩行者の邪魔になるだけでなく、他者を巻き込んだ事故につながるおそれもあるのでやめましょう。

走行中のスマホの使用は厳禁

今回の青切符の導入に"厳罰化"のイメージが持たれているのは、走行中のスマホ使用に対する反則金が高額なことがあるかもしれません。自転車に乗りながらスマホを手に持って画面を注視していると携帯電話使用等(保持)の反則行為となり、反則金は12,000円。結構な高額です。また、走行中に通話や操作をしていて事故や歩行者の妨害につながった場合は、携帯電話使用等(交通の危険)として、1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金が科されます。こちらは刑事罰(赤切符)なので、より厳しいですがこれは2024年の法改正で導入されたものなので、今回厳しくなったわけではありません。

スマホのナビゲーション機能を利用している自転車乗りも少なくないでしょうが、その場合はホルダーなどを利用して自転車に取り付け、走行中は画面を注視しないようにしましょう。

ホルダーを使ってスマホを取り付けていて、走行中に注視や操作をしなければ違反にはなりません

そのほかに赤切符の対象となる違反は、飲酒運転とあおり運転です。自転車であっても飲酒運転をしてはいけないことは、もう周知が進んでいると思われますが、アルコールの影響で正常な運転ができない「酒酔い運転」は年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、血中濃度が0.3mg/mlまたは呼気中濃度が0.15mg/l以上の「酒気帯び運転」は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されます。

ほかの車両の通行を妨害する目的で、急ブレーキや急な割り込み、幅寄せ、蛇行運転などをして交通の危険を生じさせると、自転車でもあおり運転として3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金となります。

交通ルールを守りながら楽しむにはe-bikeがおすすめ!?

ここまで見てきたように、青切符が導入されたといっても交通ルールを守って自転車を楽しんでいる分には萎縮する必要はありません。ただ、運転免許のない自転車の交通ルールは教習所のように学ぶ機会がないのも事実。この機会に交通ルールを学んでおくのがおすすめです。「自転車ルールブック」は少し長いですが、青切符対象の反則から赤切符の違反に当たる行為まで網羅しているので一度目を通しておくといいでしょう。

そのうえで、前述したように停止からの再発進が苦にならないe-bikeは、遵法走行がしやすい自転車といえるかもしれません。例えば坂道の途中にある信号や一時停止の標識など、アシストのない自転車だと「停まりたくない」と思ってしまう気持ちはよくわかります。でも、e-bikeならストレスなく停まれることは、さまざまなシーンでe-bikeに乗ってきて実感していることです。

自転車に乗る際にはライトやベルの装備も忘れずに。e-bikeなら車体のバッテリーから給電できるライトもあります
付けていなくても違反にはなりませんが、安全のためにはテールライトも取り付けておくのがおすすめです
制動力とコントロール性の高いディスクブレーキを装備しているものが多く、停まりやすいのもe-bikeのメリット

もう1つ停車のストレスを軽減してくれる装備がドロッパーシートポストです。これはサドルに座ったまま、シートポストを上げ下げできるものでMTBで一般的になった装備ですが、近年はグラベルバイクやロードバイクにも広がってきています。停止する際に着座位置を下げて足をつきやすくし、走り始めたら元の位置まで上げられるので、実は街乗りでも便利な装備です。

座ったまま手元で高さが変えられるドロッパーシートポストは街乗りでも便利。e-bikeだと標準装備されているモデルも結構あります
今回走っていて出会った減速のために段差が設けられている路面。学校などの近くに設置されるようになってきています
e-MTBだと、こういう段差があっても苦になりませんでした

青切符制度の導入で「自転車が楽しめなくなるかも」と感じている人もいるかもしれませんが、交通ルールを学んで守っていれば恐れる必要はありません。むしろ、逆走や信号無視などルールを守らない走行をする人が減れば、より自転車が安全に楽しみやすくなると考えることもできます。この機会に交通ルールを学んで、安全に自転車を楽しみ続けましょう。

増谷茂樹

乗り物ライター 1975年生まれ。自転車・オートバイ・クルマなどタイヤが付いている乗り物なら何でも好きだが、自転車はどちらかというと土の上を走るのが好み。e-bikeという言葉が一般的になる前から電動アシスト自転車を取材してきたほか、電気自動車や電動オートバイについても追いかけている。