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「ミライ人間洗濯機」体験したらすごかった!

大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」に展示されていた「ミライ人間洗濯機」。残念ながら、この時は実演を見ることができなかった

2025年開催の「大阪・関西万博」に出展された「ミライ人間洗濯機」。1970年開催の大阪万博に出展された「ウルトラソニック(通称:人間洗濯機)」から半世紀以上を経た進化という点でも大きな話題となりました。

ファインバブルのシャワーヘッドなどでおなじみのサイエンスが製造した今回のミライ人間洗濯機ですが、万博開催中から多く寄せられた購入希望に応えて一般販売も決定。しかし、その価格は6,000万円(ヤマダデンキ販売価格)とマンションが買えるほどのお値段です。体験を諦めていたところ、都内で無料体験できると聞き、さっそく行ってきました。

そのフォルムもミライ的!

というわけで訪れたのは、「ヤマダデンキ LABI池袋本店」。いつも朝に浴びるシャワーを、あえて浴びないでやって来ましたよ。冷蔵庫や洗濯機、リフォーム関連の商材を扱っている4階へとエスカレータで上ると、万博で見た「ミライ人間洗濯機」が鎮座しています。

その存在感と近未来的なフォルムは、SF映画に出てくる宇宙船のカプセルのよう。アニメ『AKIRA』に出てくる「金田のバイク」も思い出しましたね。クリアなハッチやシートが乗り物を連想させるのでしょうか。走ったり飛んだりはしませんが、「私をミライに連れてって」という気分にさせられます。

ヤマダデンキ LABI池袋本店4階に設置された「ミライ人間洗濯機」。今回の体験会は、抽選に当選した一般の方が対象。4月中のスケジュールの応募期間はすでに終了していますが、反響を見て今後の展開が検討されるそうです

ミライ人間洗濯機の裏側は一般公開されていませんが、少しだけ見せてもらったところ、ヒーターや浄水装置、ウルトラファインバブル発生機が収められた部屋や、着替えのための更衣室が設置されていました。

体験前にスタッフの方に説明を受け、禁止事項を確認。同意書にサインして、水着に着替えます。そして、ワイヤレスの軟骨伝導イヤホンを装着。このイヤホンを通じて、体験中にガイダンスやリラックスのための音楽が流れます。

ミライ人間洗濯機内部は、リゾート地のプールサイドに置かれているような椅子が備えられています。椅子に座り、ハッチが閉まると注水が開始します。胸の下あたりまでお湯が溜まると、マイクロバブルが発生し、このバブルがお湯に浸かっている部分の汚れを浮かせて落とします。上部、左右のノズルからウルトラファインバブルのシャワーで、お湯に浸かっていない頭や顔が洗われるという仕様です。

内部にはリクライニング姿勢で座れる椅子があり、両サイドには上半身を洗浄するためのノズルが備えられています
洗浄前にガイド音声や音楽が流れるワイヤレス軟骨伝導イヤホンを装着
期待と緊張が入り混じる。行ってきます

ハッチが閉じてお湯張り開始

いざミライ人間洗濯機を体験。椅子に座るとハッチを外からの操作で閉めてもらいますが、窓が広く、外の様子がうかがえるので、閉鎖感はあまり感じません(今回の体験会では閉所恐怖症の人は体験不可)。

足元から注水(お湯張り)が開始されると同時に、背中側に設置された心拍センサーが始動。しばらくすると、心拍から判定した心身の状態にあわせた映像が前方のスクリーンに映し出されます(私の時は、海の映像でした)。そしてイヤホンからはリラックスのための音楽が流れています。

ハッチが閉まると注水開始。足元からお湯が張られていきます
注水時にスクリーンに宇宙船のコクピットのようなかっこいい画面が表示されます
映像を映し出すプロジェクターは椅子の後方に搭載
椅子には心拍数を測定するセンサー

たまっていくお湯は、マイクロバブルの細かい泡が含まれているからか、肌で水のやわらかさを感じます。ぬるめの温泉に浸かっているような、足湯ならぬ腰湯で、普通に心地よいです。とは言うものの、緊張のせいか前面に表示された心拍数は100を超えています。小心さが知られているようで恥ずかしい。

ウルトラファインバブルを放出するノズル。方向は手動で変えられる
天井には、シャワーノズルと排気口
心拍数から判定された心身の状態にあわせた映像を表示(映像は3パターン用意されている)

ウルトラファインバブルの水流が心地よい

お湯張りが完了すると、いよいよ全身洗浄が始まりました。前方と上方からウルトラファインバブルを含むミラブル水流がトルネード状に噴射され、顔や上半身に当たります。最初は少し冷たく感じましたが、すぐに温かくなります。水が顔に当たって息が詰まりそうになったので、左右のノズルを手で動かし、顔に水が集中しないように変えました。そして前方の映像は、いつのまにかサンゴ礁が美しい海中へ。

ミラブル水流は、一般的なシャワーとは異なり、肌にピリピリとした刺激を感じます。ウルトラファインバブルが普段届かない毛穴まで洗浄しているからでしょうか。名前がお風呂ではなく、人間洗濯機であることを思い出させます。

ウルトラファインバブルを含むミラブル水流噴射がスタート。目の前は霧に包まれたように真っ白

慣れてくると、この刺激が爽快に感じられ、映像もいつのまにかアクティブなダンス映像に変わっており、「もっとこい!」「もっと強く!」みたいなテンションに。マッサージを受けて刺激がリラックスに変わっていくように、水流が心地よさへと変化していきます。

あー、いつまでもここにいたいと思った頃に、洗浄は完了。腰までたまったお湯が排水され、ドライヤーのように風が出てきて肌の水滴を吹き飛ばすと、ハッチが開いて終了。あっという間でした。

肌がしっとりサラサラに!

少し名残惜しい気持ちのまま外へ出て、タオルで体を拭きます(風による乾燥では大きな水滴しか除去できないためタオルは必要)。体験後すぐに気づいたのは、肌がサラサラかつしっとりしていることです。ボディーソープなどを使用しないのに、汚れや皮脂がしっかり除去されています。脂っぽくなりがちな鼻の頭もサラサラです。

そして、トータルでたった15分ほどなのにもかかわらず、温泉に入った後のように全身がぽかぽかと温かい。マイクロバブルが毛細血管を刺激したことにより、炭酸泉に近い効果が得られているのでしょう。

すべて終了してハッチが開く。短時間なのに体だけでなく心も洗われたようなリラックス感があります

全自動かつ所要時間15分なので長風呂にもならず、タイパ感があります。自分でやることと言えば、服を脱ぐこととタオルで体を拭くことぐらいという点も、全自動洗濯機に近いです。いわゆる「風呂キャン界隈」にもハードルは低いんじゃないでしょうか(金額はさておき)。

すでにホテルや個室サウナで導入されているミライ人間洗濯機ですが、本体や設備を少し小型化すれば、空港ラウンジや寝台列車のシャワー室への導入も可能かと思われます。

シャワーの気軽さと、お風呂の温浴効果の両方を兼ね備えたミライ人間洗濯機。低価格化されて広く普及するミライと、私が6,000万円をぱっと出せるミライ、どちらの可能性が高いのでしょうか(考えるまでもない?)。

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小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>