家電レビュー

ピント合わせは「メガネ」にお任せ オートフォーカスアイウェアが快適!

オートフォーカスアイウェア「ViXion 2」

先日、発表会にてViXion(ヴィクシオン)のオートフォーカスアイウェア「ViXion 2」を試したところ、「これは凄い!」と思った。そこで同品を借りて、自宅で改めて試してみた。

「ViXion 2」は、液体レンズを採用したオートフォーカスメガネの2世代機。2024年3月発売の初代モデルに比べて、レンズ部が2.4倍に大きくなっている。レンズの中には、電気を通す液体(水)と電気を通さない液体(油)が入っていて、そこに電気を通すことでレンズの形状を変化させて、焦点が合うようにしているという。

そのため液体レンズのほかに、フレームの眉間の位置に距離を測るためのセンサーを内蔵する。

液体レンズを採用
眉間部にセンサーを内蔵

装着すると自動で起動するので、本体フレームの左右に配置されているレバーを操作して、自分の視力に合わせた調整を行なう。あとは見たいものを見ると、内蔵センサーが対象物との距離を測定し、5cmから無限遠まで、レンズの形状を変化させてピントを合わせる。

乱視の場合は、アウターフレームを乱視対応レンズにしたり、偏光レンズやブルーライトカットレンズなどに交換することもできるそうだ(別売)。購入時には透明なアウターフレームが付属し、メガネっぽさを演出してくれる。なお、アウターフレームは工具不要で3点で本体に留められ、簡単に着脱可能だ。

視力を合わせる調整レバー
充電はUSB Type-Cで行なう。貸し出し用のために青いシールが貼ってある
本体とアウターフレーム(アウターレンズ)

目の疲れが少ない気がする

同機のポイントは、目ではなくメガネがピントを合わせてくれること。

オートフォーカスのカメラを使うと分かりやすいが、シャッターボタンを半押しすると、「ジジィ〜」や「ギュッ……ギュッ……」などと駆動音がする。これはピントを合わせている音。人間の目も、少なくとも目を開いている状態では、常に視線の先にある対象物に合焦させている。人の場合は、目の周辺の筋肉を使って水晶体の厚みを変化させてピントを合わせているそうだ。そのためもあり、特に動いている小さな物を見続けていると筆者は目に疲れを感じる。

筆者は、近視のため自動車の運転用にメガネを持っているが、普段はよく見えないまま生活している。道を歩いていて向かいから知り合いが近づいてきても、気が付かないこともよくある(たいてい雰囲気と体のシルエットで判断している)。テレビで映画を鑑賞していて字幕が読めないということはないが、映画館で字幕が見えにくいと感じることはある。ただし、パソコンやスマートフォンの文字は大きめに表示することで問題なく読めるし、メガネを掛けていなくても困ることは少ないと思っている。運転時のほか、テレビでサッカー観戦したり同じくテレビで映画鑑賞する時には、サッカーボールや映画字幕が見えにくいため、眼鏡を掛けることがあるが、度付きのメガネをすると目が異常に疲れ、劣化を早めるような気がして、できるだけ使わないようにしている。

先日、パソコンの作業をしながらテレビを見ていた。その際に、ViXion 2を使ってみた。パソコンを凝視しつつ、時折チラッチラッと部屋の端にあるテレビに目を向けた。パソコンとテレビに視線を移した時に、一瞬だけボヤケていた対象物が、ニュルっと液体レンズの形が変わって、ピントがスッキリと合うのが分かる。

度付きレンズのメガネの場合も、同じく焦点が合うが、合焦させているのは人の目の方。見ているものに合わせて常に目の周辺の筋肉を微妙に動かしつつ、水晶体の形を変えてピントを合わせているのだ。一方で、ViXion 2の使用時にはViXion 2がピントを合わせている。合焦のために、人の目はほとんど筋肉を使っていないはずだ。そのためか、テレビを見たあとにViXion 2を外すと、目の疲れを感じない。

もしかすると近視の筆者の場合は、裸眼で生活するよりも、ViXion 2を掛けていたほうが、目と周辺筋肉に関してはラクなのかもしれない。きちんと度をフィットさせたメガネを作れば、同じように感じるのかもしれないが、過去約20年に4〜5本のメガネを作っているが、ViXion 2ほど負担の少ないレンズはなかった。

またViXion 2は、ピントの合い方が絶妙だなと感じた。デジカメのように、「ジジィ〜」というように、なかなかピントが合わないことはない、かといって「ギュッ」というようにいきなりピントが合うわけでもない。どちらかといえば、デジカメよりも動画撮影用のムービーで撮影している時のピントの合い方に近い。どちらも同じ速さで合焦するのだけれど、ムービーの方が「ニュル〜ッ」という感じでピントが合う。ViXion 2の合焦の仕方も、ムービーのそれに近い気がする。感覚的な話だが、人間の目の合焦時に近い印象がある(ただし、近いだけで人の目の合焦と比べて優れていると感じたわけではない)。もちろん、「ジジィ〜」や「ギュッ」、「ニュル〜ッ」といった音も皆無だ。

ちなみに筆者の場合は、本体の重さが気にならなかった。ただし仕様表によれば、付属のアウターフレームを付けた場合の重さが54gと、一般的なメガネやサングラス(20〜30gくらいか?)と比べると、やはり重い。そのため、日中のほとんどの時間、ViXion 2を装着して生活した場合には、重いと感じるのかもしれない。

内蔵バッテリーは、1度の充電で最大約15時間の連続使用が可能だとしている。毎日充電すれば、日中にバッテリーが切れることはなさそうだ。充電時間は3時間なので、就寝時などに充電すれば十分だろう。

「目の筋肉を使わない」という新感覚

ここまで絶賛に近い気持ちで書いたが、やはり視界の中に丸い液体レンズの枠があるのは気になる。そこまでではないが、双メガネなどで対象物を覗いているような感覚が付きまとう。

液体レンズがあることで、はたから見られた時の印象も気になる。自宅で使う分には、他人の目を気にする必要はないが、ViXion 2を掛けて外出するのは、勇気が必要な気がする。他人はそれほど自分のことを見ていない……とはいえ、やはり気になりそうだ。人が掛けた姿を見ると、個人の感想としては、時計技師やマッドサイエンティストっぽいような気もする。

はたから見られた時の印象が気になるけれど、どうしてもViXion 2を掛けて外出したいという場合には、前述したアウターフレームを、色の濃いめのサングラスにすると、もしかすると液体レンズが目立たず、違和感を払拭できるかもしれない。

アウターフレームを付けることで、全体のシルエットはメガネっぽくなるのだが、違和感は払拭できない。アウターフレームをサングラスにすると目立たなくなるかもしれない

いずれにしても、メガネレンズのように疲れることがなく、それでいて対象物がクッキリと見られるのは気持ちがいい。医療機器ではないため、車や自転車の運転時に、度付きメガネの代わりに使うことはできないものの、普段の生活で本や資料を読んだり、テレビを見るのにも便利だ。

この視界がクッキリとしつつ、メガネのように疲れない感覚、多くの人に体験してもらいたい。相性が合う合わないは人それぞれだが、こういうのもあるのだと、知っておくだけでも良いと思う。

河原塚 英信