老師オグチの家電カンフー

サブスクはデジタル税金? 33年間お世話になったATOKを卒業しました

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
デジタルは乗り換えてナンボの世界です

サブスクって最近なんだか税金みたいになっていませんか、悪い意味で。

デジタル方面では音楽ストリーミングや動画配信が登場し、CDやDVDの購入より圧倒的に高コスパなことが衝撃的だったサブスク。そのお得なイメージから、洋服や家具、飲食店、自動車など、他のジャンルへと一気に広まったわけですが、最近はむしろ「サブスク貧乏」のようになっている人も多いのではないでしょうか。

パソコンのアプリも、かつては「買い切り」が当たり前で、パッケージを購入すれば追加料金なしに使い続けられました(OSのアップグレードなどで使えなくなることは多々ありましたが)。ところが、サブスクに移行するアプリも増え、長期間使うほどサブスクの方が損じゃねぇかと思うことも増えてきました。

こんな話をしているのはタイトルの通り、ジャストシステムの日本語入力システム「ATOK」を卒業したからです。かつてATOKは、パソコンソフトの「一太郎」に含まれていました。最初に購入したのはNECの「98ノート」を使っていた頃で(MS-DOSの時代)、そこからWindowsがアップデートするたびに買い替え、2010年からはサブスクの「ATOK for Mac 月額版(現ATOK Passport)」を使ってきました。計算すると、かれこれ33年ぐらい。結婚なら「ストロベリー婚式」です。

ATOK卒業のきっかけとなったのは、例の値上げです。月額330円のベーシックプランが廃止され、月額660円のプレミアムプランへ強制移行されると告知され、「いきなり2倍の値上げはなくない?」と思うとともに、変換がおかしいことが増えた、定期的にログインを求められるのがウザいといった、ATOKへの不満が改めて意識されたのです。

PCの歴史的にマトモな日本語入力環境を開発してくれたジャストシステムへの感謝もあり、ほぼ年貢のような感覚で支払い続けてきましたが、百姓一揆のような心持ちで解約へ至りました。

そしてATOKの替わりとして無料の「Google 日本語入力」を使い始めたのですが、ローマ字やカタカナへの変換がファンクションキーでうまく変換されないことが多々あり、ストレスと後悔が高まりました(Macのみの現象かもですが)。また、ATOKに戻ろうかと弱気になりかけたときに存在を知ったのが、物書堂の「かわせみ4」です。

macOS用の日本語入力なので、Windowsユーザーの方には参考になりませんが、「かわせみ4」かなり使いやすい。変換もキビキビしていて、余計なことをしない良かった頃のATOKを彷彿とさせます。何といっても、3台までインストール可能な「ファミリーパック」が買い切りの6,600円。ATOK Passportプレミアムプラン1年分より1,320円安くて、その後ずっと無料。30日間の試用期間が終わるとともに購入しました。

物書堂「かわせみ4」1ライセンス3,300円、3ライセンス6,600円。動作環境:macOS Ventura以降
辞書機能も使いやすく、ATOKやGoogle 日本語入力の辞書の読み込みに対応している。とはいえ、ATOKのユーザー辞書が肥大化していたので、1から作り直すことにしました

ほんと、キーボードを使う日本語入力はこれで必要十分。今、精度を高めてほしいのは、音声入力のほうですね。

家電製品もIoTがらみで月額料金がかかるサービスが増えつつありますが、これが購入のハードルを上げている側面もあると思います。バランスが難しいところですが、悪い意味で税金化しないことを祈ります。

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>