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延長コードから発火する事故も 自宅の電源まわりを見直そう

テーブルタップの誤った使い方で火災事故につながることがあります。写真のようなタコ足配線は事故リスクが高いため見直しを

年末年始は実家への帰省や旅行に出かけて留守にすることもありますが、そんなときにもし家が火事になってしまったら、せっかくの冬休みが台無しになってしまいます。

総務省消防庁による資料を見ると、2024年における建物火災の出火原因は、最も多い「こんろ」(12.7%)に続くのが「電気機器」の9.8%であり、4番目は「配線器具」で7%となっています。

配線器具といえば、多くの家庭で家電につながれているテーブルタップ(電源タップや延長コード)は、3年から5年が交換の目安とされています。「短くない?」と思う人も少なくないでしょうし、実際には10年~20年を超えて使用している家庭も多いと思われます。

では、テーブルタップを長く使い続けると、どうなるのでしょうか。起こりうる危険や、事故を避けるための点検方法などを、配線に関する調査・研究・啓発を行なっている一般社団法人 日本配線システム工業会(JEWA)に取材しました。

こんな誤った使い方をしていませんか?

――テーブルタップの交換目安は、なぜ「3年から5年」なのでしょうか?

日本配線システム工業会担当者(以下、担当者):テーブルタップは手荒に扱われがちで、使う人や状況によって寿命が大きく変わります。ですので、3年以内ならどんな扱いでも大丈夫なわけではありませんし、ケガや火災などを防ぐために3年から5年が経過する際に定期的に見直し・点検することを推奨しているのです。

――3年から5年で絶対に買い替えろという意味ではない。

担当者:はい。では、なぜ「3年から5年」かというと、テーブルタップを製造しているメーカーに、故障したと返品されてくる製品には、製造から3年~5年以内のものもあり、それを目安として使うことにしたのです。

――なるほど、そのくらいの期間でも使用環境によって危険が生じてしまう。では、事故につながるような悪い使われ方には、どのようなものがあるのでしょうか?

担当者:パンフレットでは、8つの例を案内しています。1つ目は「コードを押し付けない」。家具やカーペットの下敷きになっている、キャスター付きの椅子で踏みつけてしまう使い方、コード自体を壁に打ち付けて固定することもやめてください。

2番目は「高温になる場所で使わない」です。ストーブの正面で使っていると熱くなってコードの被覆が溶けてしまいます。

3番目は「コードを扉などで挟まない」。隣の部屋や廊下まで引き込もうとして扉に挟まれて被覆が破れることがあります。

家具や扉などでコードに負荷がかかると、半断線による発火を生じかねない(写真提供:NITE)

担当者:4番目は、「表示された容量を超えて使わない」です。例えばタップが1,500Wの定格であれば、その容量を超えて使ってはいけません。5番目は、「コードを引っ張らない」。6番目は「タコ足配線をしない」です。

タコ足配線とは、1つのコンセント差込口に対してタップを1つではなく複数接続して使うことですが、これが危険な理由は2つあります。まずは定格超過。延長を重ねると使用状況が分かりにくくなり、知らぬ間に定格オーバーする恐れがあります。

もう1つはタコ足によって接続部が増えることで、コードの自重や張力でプラグの栓刃が抜けかかった状態になりやすい。そこに手が触れると感電の恐れがありますし、ホコリが溜まるとトラッキング(火花が出る)の恐れ、抜けかかったまま使用すると接触不安定で発熱の恐れがあります。

――タコ足によって、様々なリスクを誘発してしまうのですね。

タコ足配線による異常発熱・発火(写真提供:NITE)

担当者:7番目は「コードを束ねて使わない」です。メーカーはコードを伸ばした状態での発熱を前提に設計しています。例えば1,500Wを流す場合、コード自体に若干の発熱がありますが、束ねてしまうとその部分に発熱が集中し、コードの被覆が溶けて芯線同士が短絡(ショート)するなどの問題につながります。

そして、最後が「水をかけない、濡れた手で触らない」です。盲点だったのが、熱帯魚用のヒーターでした。水槽の近くでテーブルタップを使っていたところ、魚が飛びはねた勢いで水がかかり、事故につながった事例も伺っています。

束ねたコードの発火(写真提供:NITE)

年1回は行ないたい安全点検のポイント

――では、3年から5年経ったテーブルタップを、このまま使っていいのか、よくないのかの判断基準を教えてください。

担当者:プラグの部分のホコリは発火の原因になるので、掃除することは大前提で、それ以外の6つの安全点検ポイントを案内しています。これらをチェックいただき、異常があれば使用を中止して、新しいテーブルタップに交換してください。

テーブルタップの安全点検のポイント(JEWAパンフレットより)

担当者:例えばタップの部分やコードの部分、プラグの部分などに熱を帯びているところがないか。また、焦げたような跡や、溶けた跡がないか、本体にひび割れなどがないか、プラグの刃自体が曲がっていないかを確認してください。また、タップに接続しているライトなどの電気製品がついたり消えたりするのも、テーブルタップの内部が断線している可能性を表しています。

――そうした点検は、どのぐらいの頻度で行なうべきでしょうか?

担当者:目安としては、年に1回です。

――自宅の場合は大掃除の際、離れて暮らしている実家などは、帰省したときに安全点検するのがよさそうですね。

テーブルタップのチェックシート(JEWAパンフレットより)

1,000Wまでのテーブルタップは10年以上が経過

――最近の製品では、シャッターによってホコリが入りにくい構造になっていたり、プラグに樹脂の皮膜があって、安全性も高められています。

担当者:そうですね。トラッキングを防ぐための構造なので、あった方が安全だと思います。とはいえ、ホコリが溜まっても使っていいということはありません。

製品自体の安全性の面では、平成24年(2012年)にテーブルタップが電気用品安全法の対象となり、定格(15Aまたは20A)や、コードの二重被膜などが基準化されています。

――定格が15Aもしくは20Aということは、最低でも容量が1,500Wになっている。かつては、800Wや1,000Wのテーブルタップもありましたが、それらはとうに10年以上が経っているということになります。単に古いだけでなく、容量自体が少ないわけだから、より容量を超えて使われる危険が高まるので買い替えた方がいいですね。

平成24年(2012年)にテーブルタップが電気用品安全法の対象となり、基準が高められた(JEWAパンフレットより)
自宅にあった古いテーブルタップ
定格が15A(1,500W)に満たない製品は、現在の電気用品安全法に満たない古いもの
コード部分に製造年が印刷されているテーブルタップも多い

事故事例でもっとも多いのがコードの半断線

では、テーブルタップにまつわる事故には、実際どのようなものが多いのでしょうか。独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)が2025年7月に発表した「2019年~2024年に発生したプラグ・コード・コンセント事故」は計219件で、その8割以上が火災につながったとあります。

内訳は、電源プラグの事故が53件、電源コードの事故が110件、コンセント・電源タップ(延長コード等)の事故が56件となっています。中でも、電源コードの「屈曲等の応力で半断線して異常発熱」が95件と際立って多く、テーブルタップに限らず、コードへの負担が事故につながりやすいことを示しています。

そして、2番目に多いのはコンセント・電源タップの「差し込まれたプラグとの接触不良(接続部の発熱)」(23件)で、電源プラグの異常やタコ足配線にも注意が必要だと分かります。

ちなみに、2021年から2023年のテーブルタップ・延長コードなどの事故は、2019年の約2倍に増加していますが、これはコロナ禍によって普及が進んだリモートワークが影響しているとみられています。

事故を未然に防ぐために、年末のこの機会にご自宅の配線器具まわりをチェックしてみてはいかがでしょうか。

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>