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高級炊飯器5機種で炊き比べ! 編集部員がおいしいと感じたのは?

高級炊飯器5機種で炊き比べを実施

お米が値上がりしている昨今、炊き上がりの品質にこだわる人は増えているでしょう。特に2024年は一時期“コメ不足”が話題となり、改めてごはん食のよさを認識した人もいるのではないでしょうか。

家電メーカー各社は毎年のように炊飯器の新モデルを発売し、味の特徴や炊き上げのこだわりを謳っています。毎年のように進化し続けているのはすごいことですが、実際に食べてみなければ味の違いはわかりません。

そこで今回、家電 Watch編集部では5社の最上位機種を食べ比べ、味や食感などの違いを検証しました。比較したのは5.5合炊きの5機種です。

メーカー名製品名実売価格発売時期
パナソニックビストロ SR-V10BB99,000円2024年9月
日立ふっくら御膳 RZ-W100GM78,950円2023年7月
三菱本炭釜 紬 NJ-BW10G120,790円2024年5月
象印炎舞炊き NW-FC10121,000円2024年6月
タイガー土鍋ご泡火炊き JRX-G100110,000円2024年10月
炊飯器によるごはんの味わいの違いを検証

パナソニック「可変圧力IHジャー炊飯器 ビストロ SR-V10BB」

パナソニック「可変圧力IHジャー炊飯器 ビストロ SR-V10BB」

約9,600通りの中から季節や保存状態などによって変わるお米の状態を見極めて炊き分ける「ビストロ匠技AI」機能が特徴の可変圧力IHジャー炊飯器。3つのセンサーにより、炊飯中のお米の水分量の変化を感知し、乾燥したお米も火加減や圧力を調整して、ふっくら粒立ちよく炊き上げるそう。日本全国73銘柄のお米の炊き分けも可能です。

日立グローバルライフソリューションズ「ふっくら御膳 RZ-W100GM」

日立グローバルライフソリューションズ「ふっくら御膳 RZ-W100GM」

京都の老舗米屋「八代目儀兵衛」の炊飯技術を取り入れた圧力IH炊飯器。「圧騰甘み炊き」を採用し、お米に負担をかけずにじっくり浸水させながら、最高1.3気圧まで一気に沸騰させて高温で加熱。余分な水分は飛ばしながらも、最高107℃のスチームを用いた「高温蒸らし」で、ごはんの中に甘みを閉じ込めます。これにより、噛むと甘みがじわっと広がり、まるで土鍋で炊いたかのような粒立ちの良さを実現しているそうです。

三菱電機「本炭釜 紬 NJ-BW10G」

三菱電機「本炭釜 紬 NJ-BW10G」

「本炭釜」と呼ばれる本物の炭を使用した内釜を採用しており、IHとの相性が良く、内釜全体が均一に発熱し、お米の芯まで熱が伝わるのが特徴。さらに、圧力をかけないことで米粒表面の「保水膜」が維持され、うまみを閉じ込めます。この炊飯方法により、粒感がありながらも噛むともちっとした食感で、甘みのあるご飯が実現しているそう。また、冷めても冷凍してもおいしさを保つことも魅力としています。

象印マホービン「炎舞炊き NW-FC10」

象印マホービン「炎舞炊き NW-FC10」

独自の火力構造「3Dローテーション IH構造」を採用した圧力IH炊飯器。従来は1つだった底IHヒーターを6つにすることで、激しい対流を生み出し、釜の中心部までかき混ぜます。フタや底に搭載された複数のセンサーが温度や圧力を管理し、ふきこぼれる寸前まで大火力で炊き上げます。内釜には発熱効率と蓄熱性の高い鉄を使用。大火力を活かし、熱が伝わりやすい工夫を施すことで、お米の甘みやふっくらとした粒感を引き出すことを特徴としています。

タイガー魔法瓶「土鍋ご泡火炊き JRX-G100」

タイガー魔法瓶「土鍋ご泡火炊き JRX-G100」

一流料亭の土鍋ごはんの味を再現することを目指した土鍋圧力IHジャー炊飯器。同社史上最高となる約300度の高温炊き上げを実現。本体の土鍋は蓄熱性が高く、新開発の釉薬を塗布することで、遠赤効果も向上しています。さらに、ゆっくりと熱が伝わる土鍋の特性を再現するため、底面コイルを2層に増強。これにより、お米の芯までじっくり加熱し、甘みと弾力のある炊き上がりを実現するといいます。

全5モデルを実食!食感・硬さ・味わいを比較

全5機種で炊いた「炊きたてのご飯」と「冷めたご飯」を実食し、以下の3つの観点で比較しました。

  • 食感:しゃっきり⇔もちもち
  • かたさ:かため⇔やわらかめ
  • 味わい:あっさり⇔甘い

炊飯方法は、洗米による差が出ないように無洗米を選び、4合炊きました。各機種付属のカップで計量し、内釜の目盛りに合わせて浄水を投入。「無洗米」モードを選択し、銘柄炊き分け機能がある機種では銘柄も指定。その他の設定は、かたさを「ふつう」にするなど標準設定で炊飯しました。編集部のアンケートをもとにした全体の印象は以下の通りです。

パナソニック:中間的
日立:やわらかめ、甘い
三菱:しゃっきり、かため、あっさり
象印:もっちり、甘い
タイガー:やわらかい

味の傾向は、あくまでフラッグシップ5機種で食べ比べした時の違いです。これまで何度か食べ比べに参加している編集部員から、「明確な差を感じにくかった」という意見も聞かれました。そのため、単体で食べた場合、例えばパナソニック製でも甘いと感じるなど、印象が異なる可能性があります。

編集部員の好みの違いはどうしても出てくるのはもちろん、米の種類や水などによっても炊き上がりや味に差が出てきます。今回はなるべく標準的なモードを使用しましたが、炊飯モードは多く用意されているため、例えば「硬い」と感じた機種でも設定で柔らかめに炊くことはできます。今回は編集部が特定の条件下で実施した一例として、参考にしていただけると幸いです。

以下に、機種ごとの特徴や感想をまとめました。食べ比べには、編集部6名と筆者が参加しています。

「新潟県産コシヒカリ 無洗米 令和6年産 お米のたかさか」を使用
同時に炊き上がるようにして食べ比べ
器には見分けがつくように目印のシールを貼っている

パナソニック:バランスの良さ際立つ

5機種の中でバランスの良さが際立って評価されたのが、パナソニック。好き嫌いが分かれにくい印象がある一方で、「お米の個性を感じにくい」という意見も。これまでパナソニックの炊飯器で炊いたごはんを食べたことのある編集部員からは「(これまでは“もっちり”の印象が強かったが)思ったより硬い」という意見が目立ちました。冷めた時は、「時間が経つと甘さが際立つ」「もっちり感が強調されて好み」と肯定的な感想が見られました。

日立:冷めてもやわらかさキープ

やわらかめで甘みの評価が高かったのが、日立。突出して甘いというよりは、「噛むたびに甘みを感じ、おかずが欲しくなる」という好印象の声が目立ちました。冷めるとやわらかさが際立つ印象で、「やわらかめで冷めても食べやすく、粘りも控えめでお弁当に適している」という肯定的な評価がある一方で、「やわらかいため粒同士がくっつくのが気になる」との意見もありました。

三菱:食べごたえのあるしゃっきりごはん

5機種の中で最も硬めで、あっさりとしゃっきりの印象もひと際強かったのが、三菱。これらの製品のなかでは“圧力をあえてかけない”ことを特徴とする唯一のモデルであり、「歯ごたえや食べごたえがある」「チャーハンや寿司に合いそう」という食感を評価する声もありますが、個性がある分、好みが分かれそうな味わいでした。

これまで何度か三菱のフラッグシップモデルを試食してきた編集部員からは、「相変わらず硬いが、以前ほどではない」といった感想も。さらに、「以前は冷めた時にパサつきがあったが、今は冷めてもしっとりとしておいしい」という評価もありました。

象印:もっちり感と甘さが高評価

「もっちり感」と「甘み」が最も強いと評価されたのが象印。編集部内でも、最もおいしいと評価した人の数は2番目に多い結果に。「やわらかめでもっちり感が強く、高齢の方にも好まれそう」「おかずの味を受け止めてくれる」と高評価が目立ちました。冷めた後も評価が高く、「冷めても変わらずふっくらしている」「冷めてもパサつかない」という声が聞かれました。

タイガー:「一合料亭炊き」が1ランク上のおいしさ

5機種の中でも、やわらかいと感じる人が多かったのが、タイガー。粒立ちの良さや甘みに対して肯定的な意見がある一方で、「やわらかさの好み次第で意見が分かれるかもしれない」という指摘も。

また、専用の中ぶたを使用する一合料亭炊きモードも試しました。一合料亭炊きの評価は非常に高く、やわらかすぎず甘みを感じる味わいで、「4合炊きよりもおいしい」という感想が多く聞かれました。

専用の中ぶたを使用する一合料亭炊きモード

冷めた時も「ベタつかない」「もちもちとした食感でやわらかく食べやすい」と高評価。今回、最もおいしいとする人が一番多かったのがタイガーでした。

メンテナンス性や使い勝手をチェック

最上位機種は特徴が異なるものの、どれも高品質な味わいでした。購入を迷う際は、味の質に加えて、メンテナンス性や使い勝手にも注目するとよいでしょう。

おいしさを重視したモデルほど内釜が重くなる傾向があり、特に最上位機種でその傾向が顕著です。三菱、タイガー、象印の内釜は重量が1kgを超えるため、持ち上げるとずっしりとした重さを感じ、腕への負担も大きいです。

一方、日立やパナソニックの内釜は軽量で取り扱いやすく、毎日のお手入れも楽にできる印象でした。以下には、各機種の内釜の重量と食洗機が使用できるパーツも記載しましたので、お手入れのしやすさの参考にしてみてください。

メーカー名内釜の種類内釜の重量食洗機
パナソニックダイヤモンド竃釜787g内フタOK
日立大火力 沸騰鉄釜776g内フタOK
三菱本炭釜 紬1,116gNG
象印豪炎かまど釜1,132gNG
タイガー本土鍋1,099g内フタOK
内釜の重量は編集部計測によるもの

パネルの視認性に関して、タイガーは「文字が大きくて使いやすい」という高評価が目立ちました。一方で、「三菱は情報量が多いものの、見にくい」という意見も。パナソニックは炊飯後の消費電力表示など独自の特徴があり、表示される情報は好みが分かれるところでしょう。

銘柄炊きといった炊飯を行なう場合、ボタン式では十字キーでカーソルを合わせるために何度もボタンを押す必要があり、タッチパネル式のほうが操作性に優れていると感じました。炊き分けを頻繁に行なう予定がある方は、この点を考慮に入れるとよいでしょう。ただし、主に標準モードを使用する場合はこの違いはそれほど気にならないかもしれません。

メーカー名入力方法銘柄炊き分け機能
パナソニックタッチパネル
日立ボタン
三菱ボタン
象印ボタンとタッチパネル
タイガーボタンとタッチパネル
パナソニック ビストロ SR-V10BB
日立 ふっくら御膳 RZ-W100GM
三菱 本炭釜 紬 NJ-BW10G
象印 炎舞炊き NW-FC10
タイガー 土鍋ご泡火炊き JRX-G100

最上位機種の場合、炊飯以外の調理メニューを搭載していないことが多いです。今回紹介した機種の中では、三菱のみが低温調理機能を搭載しており、他のメーカーは非搭載でした。炊飯以外の調理機能も重視する場合は、必ず最上位機というよりは、もっと手頃な普及価格帯モデルの炊飯器を選ぶのもよいかもしれません。

福永 太郎

フリーランスの編集者・ライター。ライフスタイル系メディアの家電記事の担当を経て独立。現在は複数のWebメディアに寄稿。