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炊飯器にクッキングシートはNG? さつまいも炊飯は? 正しい使い方〇×

昨今の炊飯器には、様々な炊飯モードに加え調理機能も搭載されていている

日本人の主食といえば、お米。お米を手軽に美味しく炊いてくれる炊飯器は非常に便利で、ほとんどの家庭にある調理家電のひとつでしょう。お米を炊いたり、保温したり、機種によっては調理機能付きで炊飯以外にも役立ちます。

そんな炊飯器ですが、実は間違った使い方をしているかも……? 気になる炊飯器の使い方を、タイガー魔法瓶 炊飯器商品企画担当 辻本篤史さんに聞いてみました。

タイガー魔法瓶 炊飯器商品企画担当 辻本篤史さん

クッキングシートをかませた炊飯調理は〇×?

――クッキングシートを間にかませて、下で炊飯し、上でおかずの同時調理をする方法を見かけました。これって危なそうだなと思ったんですけど、どうなんでしょう?

辻本篤史さん(以下敬称略):×です。蒸気口にクッキングシートがくっついてしまうと、中の内圧が高まって、中身が吹き出してやけどやけがのおそれがあり非常に危険です。圧力式じゃないものでも吹きこぼれる危険性があります。

――クッキングシートを蒸気口に付かないようにすれば問題ないというわけでもない?

辻本:メーカー側としては、〇にはできませんね。

――クッキングシート以外で、ご飯とおかずの同時調理をする方法は何かないんでしょうか?

辻本:以前は、内なべの上に食材を載せて同時調理できる「クッキングプレート」を付属品として付けていたのですが、同時調理の需要が下火になったことで、2019年以降の機種には搭載しなくなりました。

――他社製品では、現在も同時調理できるプレート付きの炊飯器が出ていたりするので、もし同時調理をしたい場合はクッキングシートではなく、そのような製品の使用を検討するのが良さそうですね。

クッキングシートを使用するのはNG

さつまいもを普通の炊飯モードで調理するのは〇×?

――さつまいもを炊飯器で蒸す調理方法もよく見かけます。あれは普通の炊飯モードで行なっても良いものでしょうか?

辻本:弊社としては×です。調理機能付きの炊飯器での調理を推奨します。普通の炊飯モードは、あくまでもお米を美味しく炊くためのコースで、水がなくなるまで炊き上げるようなプログラムになっているんです。そのため、基準と異なる水の量や材料を入れると、水が早く蒸発して内なべが焦げる恐れがあります。

また芋の入れ方にもよりますが、芋の成分が溶け出すことで鍋が焦げ付き破損したり、吹きこぼれてしまうなどして危険なことになりかねません。

――調理機能付きの炊飯器であれば良いんですね。ちなみに玄米モードで炊くと美味しくなるという話も聞いたことがあるのですが……。

辻本:玄米に関しても白米と同様、水がなくなるまで炊きあげるものなので、調理には使用しないでください。

――なるほど。ちなみに調理機能付きの炊飯器に、さつまいもの調理レシピとかが搭載されているんでしょうか?

辻本:はい。弊社は炊飯器レシピで「おやついも」を用意しています。輪切りにしたさつまいもを調理メニューで10分加熱し、1時間保温しておけば出来上がりです。

――簡単だし、甘くてみずみずしくて美味しい……! これが炊飯器で作れたら結構嬉しいですね。

「おやついも」は輪切りにして調理します
水をたっぷり使用したレシピだからか焦げ付きもなく、みずみずしくて美味しいです

夜に炊いて翌朝まで保温しっぱなしは〇×?

――最近はご飯をまとめて炊いて、小分けにして冷凍保存する人が増えたように感じます。炊飯後、冷凍せずそのまま朝まで保温しっぱなしというのはアリなのでしょうか?

辻本:〇です。弊社ではIHタイプの機種で24時間まで保温OKを謳っていますので、全く問題ないです。ただ結構気にされるのは電気代とか、あとどうしても炊きたてと比べると味の劣化はあるので、毎回炊いたり小分けに冷凍保存するのが面倒な時に、保温機能を上手く活用していただけたらと思います。

――夏場とか特にですけど、中のご飯って傷んでしまったりしないんですか?

辻本:菌が発生しにくい70℃前後で保温しているので、そこは大丈夫ですよ。

ただやはり、味だけで言うと冷凍したほうが美味しいですね。弊社の炊飯器にも機種によって「冷凍ご飯メニュー」というのを搭載しています。炊きたてをすぐに冷凍するのが、保存としては一番美味しいです。

――美味しさは、炊きたて>冷凍>保温の順なんですね!

菌が発生しにくい70℃で24時間保温できる

内ぶたを汚れている時だけ洗うのは〇×?

――内ぶたって、見た目そんなに汚れていないから洗うのは毎回じゃなくてもいいのかなって思ってしまうのですが、どうなんでしょう。

辻本:×です。毎回洗ってください。炊飯時に上がってくる水蒸気は、ご飯の成分(デンプン)を含んでいるので見た目以上に汚れています。また汚れが付着すると、蒸気が漏れたり、炊飯の性能も落ちてきてしまうほか、酷い場合には蒸気口の穴を塞いでしまうことになりかねないので、毎回洗っていただきたいです。

――洗うと必ずと言っていいほど、パッキンのところに水が溜まって、乾かした後いざ取り付けるぞって時に水滴がぽたぽたと落ちてくるのが嫌で、洗うのが億劫になっているところもあるんですよね。

辻本:正直に言うと、我々もそこは課題に思っているところです。特に圧力式は、各社水が入っていきやすく、抜けにくい構造になっていると思います。

ただ、多少の水が残っている程度であれば、故障の原因にはなりにくいですが、衛生的には気になる点かと思いますので、頑張って拭くようにしてほしいです。

――今更ですが、タイガーさんの内ぶたには「使用後は必ず洗浄」と書いてありますね。我が家は他社製品を使用していますが、もしかしたら同じように書いてあったのかも……(帰宅後確認したら、同様の注意書きがしっかり印字されていました)。

タイガーの内ぶたには「使用後は必ず洗浄」と書かれています

サポートへの相談で多い事例は「内なべの破損」「炊き込みご飯が炊けない」

――最後に、お客様サポートに届く相談で特に多い事例などがあれば、教えてください。

辻本:内なべのトラブルなんですけど、洗い物の時に桶代わりにちょうど良いみたいで、そこに洗い物をどんどん放り込んで内なべを傷つけてしまうという事例が多いです。ナイフやフォークなどの先の尖ったもので傷がついて、中のコーティングが剥がれてしまうと、内なべがダメになってしまいます。

――私もそれは身に覚えがありますね……(笑)。内なべ、もっと繊細に扱います。

辻本:中は基本的には強く作っているので、そこで洗米をしていただく分には問題ないですけどね。先端が尖っている金属には気を付けていただければいいかと思います。

あとは炊き込みご飯を作る際に、具の入れすぎに注意っていうところですね。うまく炊けないという問い合わせがあった時は、具材をたくさん入れられていて、容量をオーバーしてしまっていることが多いです。

――容量の決まりはどのくらいなんですか?

辻本:一応1合あたり具材は70gまでという決まりがあります。それ以上具材が入ってきてしまうと、お米が炊けなかったり、具材に火が通り切らなくなってしまったりの原因にもなってきます。

――つい具沢山にしたくなってしまいますが、自分が使用している炊飯器の最大容量を確認した上で使用する必要があるんですね。

内なべにフォークやスプーンなどの先の尖った金属類を入れて使用するのはNG

取材を終えて感じたのは、炊飯器を壊さないのももちろん大切ですが、よりお米を美味しく食べるためにも、炊飯器の使い方に気を付けるとよさそうということです。

メディアやショート動画などで紹介されたレシピや方法を試したくなることもあるかと思いますが、まずはお使いの炊飯器の取扱説明書にある「安全上の注意」などを必ず読んで、問題がないかを確認するようにしましょう。

左からJRV-G100、JRI-A100
松川 叶実