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今のオーブンレンジ、ラクしておいしく作れる? 4機種で使いやすさ検証

食欲の秋を満喫! 大作戦

秋が到来し、これから冬にかけて食が進むおいしい食材がどんどん市場に並ぶ季節。そんな秋の気配がし始めた9月某日、編集部では「食欲を満たしまくれ!」とばかりに、最新オーブンレンジの「おまかせ機能」や時短メニューなどを活用して、どれだけ手間なく、しかもおいしく料理を楽しめるのか、試してみた。

オーブンレンジを使うメリットの一つは、材料を用意した後、火を使わずオーブンにおまかせしておくことで、その間に他の料理を作ったり家事をできる手軽さ。忙しい朝や帰宅後にサッと一品作る、週末にごちそう感のある大皿料理を作るなど、様々なニーズに応えてくれる。一方で、機能が充実しているゆえに、逆に何を作ったらいいか迷ったり、機能を使いきれないと思う人もいるかもしれない。

最新のオーブンは、センサーなどを活用して、ある程度ほったらかしにしてもムラなどを抑えて均一においしく仕上げてくれる製品が充実。焼きすぎなどの失敗が少なく、食感や色合いを保ちながら誰でも料理上手になれるように助けてくれる存在ともいえる。

今回は筆者を除く編集部メンバー4名とライターの伊森ちづるさん(以下敬称略)が、料理を作って作って作りまくった。その様子と結果をお伝えする。

使用したオーブンレンジのラインナップは、以下の4機種。

・パナソニック「スチームオーブンレンジ ビストロ NE-UBS10C」(直販価格:138,600円)
・シャープ「ウォーターオーブン ヘルシオ AX-LSX3B」(実売価格:201,000円前後)
・東芝ライフスタイル「石窯ドーム ER-D7000A」(実売価格:132,000円前後)
・日立グローバルライフソリューションズ「ヘルシーシェフ MRO-W1C」(実売価格:77,000円前後)

冷凍・冷蔵の食材を同時に絶妙に焼き上げるパナソニック「ビストロ」

6月上旬に発売されたパナソニックの、総庫内容量が30Lの「スチームオーブンレンジ ビストロ NE-UBS10C」。

パナソニック「スチームオーブンレンジ ビストロ NE-UBS10C」

冷凍・冷蔵の食材をヒートグリル皿にのせるだけで自動で調理できる「おまかせグリル」メニューを備える。高精細・64眼スピードセンサーが食品が冷凍か常温かを瞬時に判別し、冷凍の場合は高火力のヒーターで解凍しながら一気に焼き上げることが可能。下面はヒートグリル皿のフェライトがマイクロ波を吸収して加熱するため、裏返さずに裏面まで焼き上げられる。

本体サイズは494×435×370mm(幅×奥行き×高さ)で、庫内サイズは394×309×235mm(同)。重量は約20kg。角皿2枚、グリル皿1枚を付属。

冷凍ハンバーグがジューシーに! ……「おまかせグリル」

パナソニック「スチームオーブンレンジ ビストロ」では、冷凍ハンバーグと冷凍野菜を付属のヒートグリル皿に並べて、一気にグリルしてみた。使用メニューは、裏返しも焼き網も不要で手軽に調理可能だという「おまかせグリル」。今回はどちらも冷凍を使用したが、例えば冷蔵のハンバーグと冷凍の野菜といった組み合わせでもおまかせで仕上げてくれる。

調理担当の伊森は「冷凍ハンバーグも野菜も、そのままのせていくだけなので準備は簡単でした。面倒な加熱設定も、食材を並べたヒートグリル皿の全体をアプリでスキャンするだけ。自動で加熱を調節してくれました」と、手間なく準備ができたと証言する。

実際、専用アプリで食材をスキャンして「Bistroに送信」をタップすると、本体のディスプレイに「グリル皿/上段/強め/25分」と表示される。あとは「あたためスタート」を押して待つだけ。待つこと約20分、少し早めに焼き上がった。

食材をヒートグリル皿に並べたら、専用アプリで食材全体を撮影
解析が終わったら、食材を指定の場所にセットしつつアプリ画面の「Bistroに送信」ボタンをタップ
専用アプリから送信した内容が、本体ディスプレイに一瞬で反映される

試食した鄭は「ハンバーグはしっとりジューシー、野菜もカピカピになることなく、適度な焦げ目が付いていて見た目もいい」とうれしそう。筆者も試食したが、はじめこそ「やっぱり冷凍だよね」と感じたものの、食べ進むうちにおいしく感じ、もりもりと食べてしまった。なにより鄭が言うように、ブロッコリーやカボチャなどの野菜が、焦げたりカッサカサになったりせず、ほどよく温められていたため、「なにこれ? これが主食でぜんぜんいける!」と感じた。

編集部のメンバー全員が「これは絶対に家で作ってみたい」もしくは「予想外においしかった」とコメント。再現しやすく、かなりおすすめのメニューだ。

約20分、ほったらかしで完成
なにこれ? 冷凍なのにおいしい! という仕上がり。野菜も程よくしっとりしていて、野菜本来の味がしっかりと味わえた

「ハンバーグと焼き野菜」のレシピはこちら

冷凍食材でササッと上手に「麻婆なす(冷凍)」

ビストロで次に作ったのは、「凍ったままワンボウル」メニューの1つで、冷凍の揚げナスと冷凍の豚ひき肉で作る「麻婆なす(冷凍)」。2つの食材を耐熱ガラス製のボウルに入れて、醤油や生姜、豆板醤などを混ぜたタレを上からかけるという料理だ。

調理担当の鄭は「冷凍食品を入れて、味付けするだけでした。とにかく手軽なので、包丁すら使いたくない時にいいですね。ぜひ自宅でも試してみたい料理の1つ」という。あとはだいたい15分くらい待つだけで完成。もちろん冷凍のナスではなく、生のナスから作るレシピもある。

ザクザク切った冷凍ナスと冷凍豚ひき肉を耐熱ボウルに入れて、その上から豆板醤などを混ぜたタレをかける
アプリの「麻婆なす(冷凍)」ページから「Bistroへ送信」をタップすると、ビストロ本体のディスプレイに「麻婆なす(冷凍)」と表示される。これで設定は完了で、あとは「あたためスタート」ボタンを押すだけ

一方で中林が指摘するように「豆板醤などを常備していない人もいるでしょうから、調味料を揃えるのが面倒に感じる人もかもしれません(私は常備派ですが)。でも、市販の素で代用するのもアリかもしれません」

味はといえば「麻婆ナスのとろみがしっかりとついていて、本格的な味わいだった」と、おおむね好評。普段も料理する中林も「ナスにもいい感じで火が通っていて、冷凍だったとは思えない仕上がりでした」と、自宅で試してみたそうだった。

よく味がしみこんでおいしかった「麻婆なす(冷凍)」

「麻婆なす(冷凍)」のレシピはこちら

複数食材が簡単に調理できる! ……「あじのガーリックハーブマリネ焼き」

パナソニックの公式メニューには、食品メーカーや有名インフルエンサーなどとのコラボレシピが多いのも特徴。次はタサン志麻さんが監修した「あじのガーリックハーブマリネ焼き」。レシピでは「あじ」の三枚おろしが指定されているが、たまたまスーパーに売っていた「あじ」が少なかったため「さんま」で代用した。

そのさんまをバットに並べて、にんにくやタイム、ローズマリーをのせ、オリーブオイルを回しかけたら、冷蔵庫で15〜30分置いておく。その間に、玉ねぎやトマト、ピーマンなどを切り、そのほか色々と混ぜたソースを作っておく。あとは冷蔵庫に寝かせていたさんまを取り出し、マリネにしていたにんにくやタイム、ローズマリーをのせてビストロで温める。

アジの代用として生食用のサンマを並べて、色々とのせてグリルで焼く
グリル時間は10分ほど。皿に移して、作っておいたソースをかけたら完成だ

調理を担当した伊森は「使う材料が多いため、食材の準備に手間がかかる」との感想。ハーブなどの食材がいつも冷蔵庫にあるかどうかで、意見は分かれるかもしれない。

できあがった料理に中林は「オシャレな感じが良かった。いろんな魚で作ってみたくなった」とコメント。最後にかけた、トマトやピーマンなどのソースで、彩りが豊かなため華やかな印象と、ハーブを豊富に使ってさわやかに仕上げた味わいが好評。一方で調理の手間を考えると、子供が多い家族向けではなく、おもてなし時や家飲みの時に雰囲気を引き立てるのに向いていそうだ。

彩り豊かで、見た目はオシャレな感じ! 今回は魚の切り身がやや小さめだったせいか少しパサついていたという指摘もあったものの、ソースとあわせて食べるとおいしかった

「あじのガーリックハーブマリネ焼き」のレシピはこちら

試用を終えて……

今回は、料理が大好きな人のためというよりも、料理についてはできるだけ考えず、手間をかけずに、しかもおいしく仕上げてほしい……という、超ワガママなユーザー視点で試用している。

その点、「ビストロの『おまかせグリル』は、冷凍でも冷蔵でも、肉でも魚でも野菜でも、なんでも入れていいというのが分かりやすい」と好評だ。レシピなどを見ずに、手元にある食材をバサッとトレイなどにのせて、あとは「任せたよ! ピッ!」とほったらかしにできるからだ。

こうしたお任せ機能は多くの機種が搭載しているが、鄭の場合は、ビストロが一番使いやすかったという。

また、アプリ連携機能については「アプリ内蔵カメラで食材を撮れば、それを自動で解析して最適な設定を割り出してくれるのはありがたいです。分かりやすくて迷わず操作ができました」と伊森。一方で、鄭は「アプリで写真を撮るのは面倒……。本体の操作でも分量を選べるので、わたしは本体での操作をしちゃいそうです」という。いずれにしても、どちらでも自分が便利だと感じる操作方法が選べるのはとてもいい。

そのほか中林は「タサン志麻さんなど、コラボレシピが多く、調理してみたいと思わせてくれる」と、収録レシピについて気に入ったようだ。また松川は「オーブン使用後に、庫内を冷ます機能があるので、次の料理に移りやすそう」と、実用的な機能を搭載していることを評価していた。

絶品のロースト肉へと焼き上げたシャープ「ヘルシオ」

6月下旬に発売されたシャープの、総庫内容量が30Lの「ウォーターオーブン ヘルシオ AX-LSX3B」。

シャープ「ウォーターオーブン ヘルシオ AX-LSX3B」

過熱水蒸気により、オーブン加熱の約8倍の高い熱量で食材を焼き上げるオーブンレンジ。冷凍・冷蔵・常温の食材が混在していても、自動でそれぞれを食べごろに仕上げる「まかせて調理」を搭載する。この「まかせて調理」に保温機能、少量調理が手間なくできる小型トレーを採用し、より使いやすさを向上した。

本体サイズは490×430×420mm(幅×奥行き×高さ)で、庫内サイズは395×305×240mm(同)。重量は約23kg。角皿2枚、調理網2枚、それに「らくグリ! 調理」で使うヘルシオトレーが1枚、付属する。

あぶり豚バラ低温ロースト

今回の調理&試食会で非常に評価が高かったレシピが「あぶり豚バラ低温ロースト」。食べるだけ担当の筆者は「え? 家でこんなにおいしく作れるの!?」と、正直驚いた。

見るからにおいしそうな「あぶり豚バラ低温ロースト」

下準備は、豚肉に塩と粗びきブラックペッパーをすり込んで、少し置いておく。あとは角皿にアミをのせて、庫内にセッティングしてメニュー番号「2202」→「決定」→「スタート」と進むだけ。

調理担当の鄭は「今回試したレシピの中でダントツで準備がラクでした。調理時間は1時間30分と長かったけれど、特にすることもなくひたすら待つだけだなのでラク」と、とにかく手を動かす必要があまりない点を強調する。

食材の準備は豚肉に塩と粗びきブラックペッパーをすり込むだけ
付属のアミの上にのせてセッティング
メニュー番号「2202」を入力すると、レシピ名が表示されるので「決定」を選択してスタート

おいしさについては絶賛の嵐だった。「調理時間が1時間半かかるので、特別な日のメニューという感じになりそう」だと、少し辛口コメントが目立つ伊森は言うが、実際に食べた時の感想については「おいしい……とてもおいしい……もうみんなに食べてほしい!」と、感動を隠さない。ほかのメンバーも調理時間の長さに懸念を示すものの「スチームのおかげか、ジューシーで満足感ある。待った甲斐があった」と中林は言い、「レシピが一番シンプルなのに一番感動するとは」と松川は絶句するように、全員が大満足する味だった。

1時間半後には、思わず「おいしそう!」と言ってしまいたくなる姿へ

味について具体的に記すと、肉を噛んだ瞬間に豚肉特有の甘さを含んだ肉汁が、ジュワ〜ッと口全体に広がっていった。さらに口の中で噛むほどに、甘さと香ばしさが絡みあって、いつまでも口の中に残しておきたい感じ。さらに鄭が言うように「調理時に適度に油が落ちた」点も大きいだろう。ジューシーなのに「胃がもたれそう」な脂はなく、味に奥行きがあるのに意外とさっぱりとしているのだ。

肉汁がジュワァ〜と口全体に広がっていくおいしさ

もちろん使用した肉が上質で、歯ごたえが絶妙だったのも、おいしさにつながっているだろう。だがヘルシオの過熱水蒸気オーブンだからこそ、肉塊の奥までしっかりと熱を通して、十分なジューシーさを残して肉の甘味を引き出していったようにも思える。

一方、調理に1時間半かかるので、空腹時に「すぐ食べたい!」時には向かない。また片付けについていえば「網の汚れが若干落としにくいかも」と、鄭がコメントした通り、少しだけ手間がかかるのかもしれない。とはいえ、「作りたい! 作りすぎて太りそう!」と松川が叫ぶように、ヘルシオユーザーであれば「我慢できずに作ってしまった……」というレシピになるはずだ。

「あぶり豚バラ低温ロースト」のレシピはこちら

「ムニエル&添え野菜」

サケや白身魚に薄力粉をまぶしてバターをのせる。角皿にクッキングシートを敷き、魚を中央にセット。ほかキノコやジャガイモをバターなどと一緒に、それぞれ別のアルミホイルで包んで、余ったスペースにのせる。本体に入れたら、メニュー番号「1061」を押してスタートさせる。

調理担当の鄭は、「クッキングシートなどで仕切りを作るのが面倒」だと感じたようだ。隣で見ていても「なんだか忙しそうだな……」と思ってしまった。ただし、伊森が言うように「仕切りがあることで味付けを食材ごとに変えられる」というメリットも捨てがたい。耐熱性の小皿などで代用できないものか? それ以外の準備については、並べるだけなので簡単だ。

「ムニエル&添え野菜」のセッティング
40分ほどで完成

待つこと40分ほどで完成。厚みのあるサケが、ふっくらと仕上がっていた。中林が「手間をかけた分の満足感はあった」と言うように、出来上がりは好評。また、松川はサケやポテトを持ち帰り、温め直して食べたところ、サケがパサパサせず程よくしっとりとしておいしかったという。一方で、伊森や鄭が指摘するように「味は良いのだけれど、焼き目がないのが寂しい」という意見もちらほら。

サケのムニエルを含む3品を一気に調理。サケもポテトもしっとりしつつホックホクに仕上がっていた

「できるだけラクしておいしいものを作りたい」人には、クッキングシートで区分けするという、ちょっとした手間がネックとなりかねないが、味は保証付き。自宅に友達を招いた時に「料理が上手だね」と言われたい時などに作ってみたいメニューだ。

「ムニエル&添え野菜」のレシピはこちら

ごろごろ野菜焼き(らくグリ!調理)

「ごろごろ野菜焼き」は、野菜や鶏もも肉、ウインナーなど好みの食材をザクザクと一口大に切り、塩やこしょうなどで下味を付ける。それらの食材を付属の角皿に広げたら、メニュー番号「2278」を押して「決定」→「スタート」ボタンを押して、15〜25分待つだけ。

調理担当の中林は「分量がだいたいで良いのと、小さめの角皿で作れるので簡単です。とにかく野菜を摂りたい時や、もう一品足したいなぁという時にいい。これはヘビロテ必至!」と絶賛! 鄭も「個人的に副菜に悩む&副菜まで手が回らないことが多いです。適当に野菜をトレーにのせて入れればいい感じに仕上げてくれる、このレシピはすごく助かると思いました。野菜不足が解消されそう」と好印象だった。

野菜をザクザクと切って下味を付けて、手際よく準備を進める中林
食材を庫内に入れたら、あとはメニュー番号を入力して、スタートするだけ

日ごろの野菜不足を気にする中林は「トレーニング食として、ブロッコリーをたっぷりにして作ってみたい」とコメント。伊森も「野菜の甘味を感じられておいしかった」。松川は「家に持って帰って家族に食べさせたら『おいしい!』と感激していた」とのこと。

時間の関係でその場では試食できなかったが、持ち帰って食したメンバーの評価が高かった

総じて、レシピに悩むポイントが少なく、手軽に作れるのに野菜たっぷりでヘルシーさを感じながらおいしい点が高評価へとつながった。

「ごろごろ野菜焼き(らくグリ! 調理)」のレシピはこちら

試用を終えて……

料理が得意ではない人にとって、やはり頼りになるのが、メーカーが用意した料理レシピ。レシピの写真を眺めた後に、「これが作りたい!」と思ったら、食材を用意して簡単に加熱し始められるのが理想だ。

シャープの場合は、下ごしらえした食材を庫内にセットしたら、アプリなどに掲載されているレシピの「メニュー番号」を入力するだけで設定が完了する。中林は「設定が簡単ですぐに作れる」と高評価。一方で、「メニュー番号を(調べて)入力する」というのが手間だと考えるメンバーもいて、本当に人それぞれだ。なお、メニュー番号入力以外にも、本体画面で料理のカテゴリーや食材からの検索ができるほか、音声認識でもメニューが探せるようになっている。

【追記】記事初出時、操作について「メニュー番号の入力」のみ触れていましたが、それ以外の方法でも検索可能なため追記しました(16時01分)

そのほか、ヘルシオに限らないが、角皿や焼網などの付属品が多いと、キッチンに保管しておくのが難しそうと伊森は心配する。こうした付属品の管理法は、購入前に収納場所などを想定しておいた方が良いだろう。

肉も野菜もジューシーさを残して焼き上げた東芝「石窯ドーム」

東芝ライフスタイルが6月に発売した、総庫内容量30Lの過熱水蒸気オーブンレンジ「石窯ドーム ER-D7000A」。

東芝ライフスタイル「石窯ドーム ER-D7000A」

耐熱ガラス製ボウルに材料を入れて、コースを選んでスタートするだけで、パスタ、カレー、中華、煮物が手軽にできる「おまかせレンジ調理」を搭載。赤外線センサーと温度センサーが食材の温度上昇を検知し、分量に合わせて自動制御する。味付けは市販品(パスタソース、カレールウ、おかずの素など)を活用できるため、簡単に調理ができるという。

本体サイズは498×399×396mm(幅×奥行き×高さ)で、庫内サイズは394×314×232mm(同)。重量は約21kg。角皿2枚、深皿(鉄板ホーロー)1枚、焼網1枚を付属。

牛肩ロースステーキ~和風ソース~(石窯おまかせ焼き)

牛肉と野菜をバランスよく食べられるうえ、彩り鮮やかで目でも楽しめる料理に仕上がったのが「牛肩ロースステーキ~和風ソース~(石窯おまかせ焼き)」。

簡単に色鮮やかな映える料理ができあがった

作り方は、牛肉のほかタマネギやニンジン、パプリカなどの食材を程よい大きさに切り、塩コショウなどをかけて角皿に並べたら庫内に入れる。あとは「石窯おまかせ焼き・牛肉」を選択してスタート。20分前後待つと完成!

担当した松川は「なんのストレスもなかったです!」と最高評価をつける。特に食材をチャッチャと切るだけなうえに、食材の分量がテキトーでもOKという点を気に入ったよう。また同機との相性が良かったようで、「ほぼ直感的に使えました」という。ただし「石窯おまかせ焼き・牛肉」を選択した後に、焼き加減なのかを、標準で良いのか、それとも強めや弱めにする設定が出てくる点に戸惑ったとも。だが、それも慣れの問題だろうとし、ぜひ自宅でも作りたいとも言っていた。

ザクザクと切った食材を付属の角皿にまんべんなく広げる
本体にセッティング
「石窯おまかせ焼き・牛肉」を選択してスタートボタンを押せばいいのだが……焼き加減? も調整できそう……
待つこと20分ほどで完成

完成した時には、試食会で一番早く出来上がったこともあるが、その彩りが鮮やかな出来栄えに「わぁ!」と歓声が上がった。食べてみると……調理した松川は「超おいしかった!」と大満足だったほか、伊森も「牛肉はしっかりと焼き目がついた仕上がりでありながら、パプリカやニンジンはちょうど良い火の通り具合。タマネギも甘くておいしかった。広げて焼いたのに真ん中もオーブン皿の端も同じように焼けているのはさすが」と惜しみない評価を付けた。さらに中林も「見た目にも大皿料理感があって、もし自分で買ってたら、オーブン買ってよかったと思えそう」という。

見た目からしておいしそうだが、味もバツグン

やはり料理に「見栄え」は重要だなと改めて感じた一品。食べる前から「おいしい!」と言いそうになったし、硬さの残ったタマネギが苦手な筆者も、追加で食べたくらいにパプリカなども含めて甘みのあるおいしさだった。伊森も「ゴロゴロしたお肉を香ばしく焼くのはオーブン調理って感じでいいですね」と、同機を使うならレパートリーに加えたいという。

「牛肩ロースステーキ~和風ソース~(石窯おまかせ焼き)」のレシピはこちら

しらすと枝豆のクイックジェノベーゼ

「しらすと枝豆のクイックジェノベーゼ」は、手軽にジェノベーゼのパスタが作れる。まず冷凍枝豆を解凍し、さやから豆を取り出す。耐熱ガラス製のボウルに水を入れて、油と塩を投入して混ぜ合わせる。半分に折ったパスタを入れて水に馴染ませたら、枝豆を加えてラップをかける。ボウルのまま本体に入れたら「おまかせレンジ調理 パスタ・ソースなし」で加熱。15分前後で加熱が終了するので、本体からボウルを取り出し、市販のジェノベーゼソースをかけて、よく混ぜたら完成だ。

バジルの香りが食欲をそそるジェノベーゼのパスタ

調理担当の松川は「レシピがシンプルで作るのは簡単でした。強いて言うなら枝豆をさやから取り出すのが面倒でしたが、むき枝豆に代えればもっとラクになりますね」という。中林も「食材を切ったり茹でたりする必要もなくボウルに入れるだけでラクそう。ソースも市販のものでいいので、サクッと家で作ってみたい」とコメント。普段は料理をしない筆者も、はたで見ていて「これは作れるな」と確信するほど簡単そうだ。

ボウルに水やパスタ、枝豆などを入れて「おまかせレンジ調理 パスタ・ソースなし」で加熱する
スマートフォンでレシピを見ながら作る
加熱が終了したらボウルを取り出し、市販のジェノベーゼソースをかけて完成

超カンタンレシピだけれど味はどうだったか。まず伊森は「おいしいです。味がしっかりしてパスタの歯ごたえもちょうどよかった。在宅ワークの時のランチなどにいいですね」と満足の様子。筆者も、普段はパスタをミートソース系かカルボナーラでしか食べないが、「こんなに簡単に作れて、このおいしさだったら、パスタのローテーションに加えたい」と思った。

総じて「感動するほど美味い!」というわけではないが、かなり満足できるおいしさだったというコメントが集まった。おいしさとともに、調理道具の洗い物もボウルだけという点、そして手抜き料理なのだけど、そうした手抜き感を抱かせない“映える”見た目なのも、高い評価につながったといえる。そのため多くのメンバーが、自宅でもぜひ作りたい! と言っていた。

短時間で作れるのにおいしい!

「しらすと枝豆のクイックジェノベーゼ」のレシピはこちら

豚肉と大根のミルフィーユ焼き

「豚肉と大根のミルフィーユ焼き」は、輪切りにした大根と豚肉を付属の深皿に交互に重ねていき、ゆずこしょうを加えた和風だしを注いで焼き上げる料理。名前の印象とは異なり、和風のあっさりとした味付けがベースで、体にも良さそうだ。

豚肉と大根のミルフィーユ焼き

担当した伊森は「切って重ねていくので、ちょっと心に余裕がある時におすすめ」だといい、中林も「今回の(お手軽メニューが多かった)中でいうと、大根を薄く切る作業がちょっと大変」とコメントする。その様子を見ていた鄭も、やはり「切って重ねるのが少し面倒そうだった」と感じたよう。また松川も「白髪ネギとか、用意するものがそこそこあるなぁ……」と、食材の種類の多さを気にしていた。ただ、作っていた中林は「肉と大根を交互に並べてピッタリ収まったのは気持ちよかった」と意外に楽しんでいたようだ。

豚肉と薄く切った大根を交互に並べていく
20〜25分くらいで焼き上がった

食べてみると、準備に手間をかけただけのことはある。伊森は「これからの寒い季節に良さそうな、やさしい味。肉と野菜の旨味もしっかりと感じられました」という。実は試食会の最後に完成した料理ということもあり、メンバーのお腹が膨れていたのだが、鄭や松川も「それでもおいしかったです」という。特に「あっさりとした味付けの中に、タレがアクセントとして効いていたのが良かった」と満足げだ。

また、伊森といっしょに作った中林は「大根は余りがちな野菜。そんな大根を、このミルフィーユ焼きで使い切るのに良さそう。ジューシーに仕上がる肉をたくさん食べてしまうけれど、大根が多いため、ヘルシーにも思えて罪悪感は少ない(笑)」と、自宅でも試したいレシピの1つだという。

和風のやさしい味がベースでおいしそう
さらに水菜などと、しょうゆやごま油をベースとしたタレをのせて完成!

「豚肉と大根のミルフィーユ焼き」のレシピはこちら

試用を終えて……

昨今のオーブンレンジは、様々な料理に対応するモデルが多い。その点、東芝の「石窯ドーム ER-D7000A」には、鉄板ホーローの深皿が用意されている点に注目が集まった。

伊森は「深皿を付属しているので『豚肉と大根のミルフィーユ焼き』のような煮込み料理もできるのは同機ならではですね」という。また松川も、深皿が付属することで「レパートリーが増えそう」と、可能性を感じた。

おまかせでも厚肉への火の通りが絶妙だった日立「ヘルシーシェフ」

6月上旬に発売された、日立グローバルライフソリューションズの庫内容量が30Lの過熱水蒸気オーブンレンジ「ヘルシーシェフ MRO-W1C」。

「ヘルシーシェフ MRO-W1C」

肉や魚の旨みを閉じ込めてジューシーに焼き上げる「熱風旨み焼き」に加えて、新たに最高310℃で包み込むように焼き上げる「310℃熱風コンベクションオーブン 2段」を採用したのが特徴。

本体サイズは497×495×375mm(幅×奥行き×高さ)で、庫内サイズは401×322×218mm(同)。重さは約18kg。角皿2枚、テーブルプレート1枚、焼網1枚を付属する。

牛のゆずこしょう焼き(熱風旨味焼き)

火加減が重要になる厚みのある牛肉なども、オーブンであれば簡単においしく仕上げられると気付かせてくれたのが「牛のゆずこしょう焼き(熱風旨味焼き)」。

筋切りした厚さ1cmほどの牛ロース肉を、酒/しょうゆ/ゆずこしょうといっしょにポリ袋に入れてもみ込み、オーブンにセットして15分ほど待てば、柔らかい肉が焼き上がる。オーブンに素材をセットしたら、「022 熱風旨み焼き(牛肉)」「厚切り肉」「やや弱」に設定して加熱するだけ。

筋切りして下味をつけた牛肉と、スライスしたカボチャなどを焼網に置いて、オーブンにセットする
15分ほど待っているだけで、柔らかい肉に仕上げてくれる

担当した松川は「牛肉の下ごしらえは面倒ではなく、むしろ一緒に調理したカボチャを切るのが大変でした(笑)」とコメント。切るのが面倒であれば、カット野菜やほかの野菜を使ってもよさそうだ。

調理には角皿の上に焼網を使う。伊森は焼網を使う点で、「後片付けのことを考えると、少しハードルを感じます」とコメント。

完成した状態

そうは言っても味に関しては「すごくおいしい!」ということで全員が一致。中林は「肉の火の通り方が理想的(中央だけほんのり赤)で感動した。それにゆずこしょうが、いいアクセントになっていた」と絶賛していたほか、鄭も「お肉に火が通りすぎることなく、ちゃんとミディアムに仕上がっていた」としている。筆者も皿に盛られた直後に思わず食べ始め、止まらなくなってしまった……そのため盛り付け時の写真を撮り忘れた。

厚みのある肉を簡単かつおいしく焼き上げてくれると好評だった一方で、鄭の「もう少し焼き目が付いているとうれしい」や、伊森の「表面のカリッとした焼き目がほしい」いう意見もあった。

「牛のゆずこしょう焼き(熱風旨味焼き)」のレシピはこちら

豚肉とピーマンのみそそぼろ

夕飯にもう一品、簡単にできるものを加えたいときにおすすめなのが「豚肉とピーマンのみそそぼろ」。

豚ひき肉と細切りにしたピーマンをポリ袋に入れて、酒/みそ/砂糖/みりん/和風だしの素を加えて味付けしたら、皿に盛って、5分くらい加熱するだけでササッと完成。なおレシピには、調理時に「深さのある平皿」を使うとある。

担当した鄭は「器1つで完結するから、洗い物が少なくてラクでした」という。そばで見ていても、あっというま間に完成させていた。

下味をつけた豚ひき肉と細切りピーマンを、今回は大きめのボウルに入れて加熱した
ラップをふわっとかけて、約5分加熱する
約5分後
ピーマンがきれいな色と食感を失わない程度に火が通った

試食した際の評価は、一様に「手間に対しての満足度がものすごく高い」という内容だった。伊森は「おいしいし簡単に作れるので、ぜひ作ってみたい。常備菜としても良さそうだし、子供の弁当にも重宝しそう」だという。

調理した鄭も「とにかく副菜に何を作ればよいのか悩んでいるので、ワンボウルで手間なくおいしく作れるのは魅力的です。少し悩みが解消した気がします」と喜んでいた。

ピーマンにもしっかりと火が通っていて、俗にいう「無限ピーマン」と似たおいしい味

「豚肉とピーマンのみそそぼろ」のレシピはこちら

バスクチーズケーキ

自宅でケーキを焼くとなると、調理工程が多くて、ケーキが大好きか料理の上級者が作るもの……というイメージがある。だが、オーブンレンジの各メーカーは「ケーキも簡単に作れるよ!」と訴求していることも多い。そこで、本当においしいケーキがオーブンレンジで作れるのか、試してみた。日立の新モデルは最高310℃の熱風コンベクションオーブンという機能があり、それを活かしたおすすめの新メニューが「バスクチーズケーキ」とのことで、期待も高まる。

手順は、まず耐熱ガラスボウルに入れたクリームチーズを加熱して、なめらかになるまで混ぜ、そこにグラニュー糖や卵、生クリーム、薄力粉を混ぜ合わせながら加えていく。それを型に流し込んで、約25分予熱したオーブンの中にセットして、さらに40〜50分加熱する……といった順序。

調理を担当した松川は「基本的には材料を混ぜていくだけなので、一般的なケーキのレシピや工程と比べると、かなり簡単でした」という。他の人が横から手伝う必要もなく、あまり大変だった印象はないようだ。

焼き上がったところ。表面の仕上がりからも、大火力でしっかり焼いたことが伝わる

味の感想は、松川が「めちゃくちゃ本格的なバスチーで感動でした!」という。中林も「調理工程で濾したりなどしなくても、これだけ滑らかな食感に仕上がるとは驚き。チーズの味も濃厚でおいしかった」と語る。「直径18cmの型でも焼きムラがなく、キレイな色に焼き上がっていました。香ばしさもあっておいしい」と満足そう。筆者は家に持ち帰り、冷蔵庫に入れておいたものを、夕飯後に息子がぺろりと食べてしまった。その息子によれば「とってもおいしかったよ! なんで(そんなこと聞くの)?」と答えていたので、これがオーブンで手作りしたものとは気が付かなかったようだ。

あら熱が取れたら型に入れたまま冷蔵室で冷やし、そのあとで型から外す
チーズの味が濃厚なバスクチーズケーキに仕上がった

今まで家でケーキを作るなんていう発想が希薄だった編集部メンバーの間にも、試食後には「これなら作ってみたい」という声がちらほらと聞こえた。

「バスクチーズケーキ」のレシピはこちら

試用を終えて

「ヘルシーシェフ MRO-W1C」で作った料理は、多くのメンバーから高い評価を得ていた。

ただし、本体操作がタッチパネル式ではなく、操作に戸惑ったという声もあった。スマートフォンだけでなく、多くの人がカラーディスプレイを見ると思わず画面をタッチしてしまう昨今、やはり今後のモデルでは、タッチパネル搭載を期待したいところ。

逆に、それ以外の不満の声は皆無だったため、タッチパネルを搭載するか、ほかの方法で操作性を向上させれば、総合的にもかなり高い評価を得られるだろう。

番外編「どれが解凍しやすい?」ひたすら細切れ肉を解凍してみた!

本気でオーブンレンジの買い替えを検討している西村は、「とにかく冷凍した肉を、できるだけ手間をかけずに、適温まで解凍してくれるオーブンレンジが欲しい!」という。

そこで自宅で冷凍しておいた細切れ肉を持参し、ひたすら解凍をしていった。各モデル、温度計測用など様々なセンサーを搭載しているため、期待は大きかった。

まず、西村が今まで抱いてきた不満は大きく2つ。1つは「解凍が甘かったり、熱が通り過ぎてしまうことが多い」ことと「解凍までの時間が提示されない」ことだという。

結論、西村が操作に迷うこともなく最も仕上がりに納得したのが、東芝の石窯ドームだった。

東芝の石窯ドームで解凍したもの。西村が、最も仕上がりを評価した

また、操作法の相性が良く、使いやすいと感じたのは、パナソニックのビストロ。また、どの機種も解凍までの時間がなかなか表示されずに不満だったが、ビストロは「今回の中では比較的に早く表示された」点を評価した。

パナソニックのビストロで解凍したもの。1カ所で凍結が残っていたが、それ以外はムラなく程よく解凍できていた

そばで見ていた筆者が新鮮に感じたのは、説明書に「ラップはしない」と記されているモデルが多かったこと。我が家では通常、冷凍の際にラップをしているので、解凍時には剥がさないといけないようだ。これは少し不便だなと感じた。発泡スチロールまたは耐熱性のある平皿の上に冷凍肉などをのせた状態で解凍するよう記されているものが多かった。筆者宅で使っているメーカーも、そう記されていたため、もしかすると我が家のこれまでの解凍方法は、誤っていたかもしれない。改めて取扱説明書を見直したい。

今回はおおよそ4時間をかけて、様々な料理を作っていった。どの家庭にもオーブンレンジはあるものの、多くの編集部メンバーが、これほどまでは料理を作るのにフル活用してこなかったという。その点で「オーブンレンジにおまかせして、こんなにおいしい料理が簡単にできてしまう」ことに驚いていた。

まずは家にあるオーブンレンジの付属のレシピブック、またはホームページに掲載されているレシピを見直してみると、実は結構充実しているかもしれない。そこで食べてみたい料理を、自宅のオーブンレンジで作ってみると、意外に簡単においしくできることに驚くだろう。

もし手持ちの製品に不満があったり、新しいオーブンレンジの購入を検討している人は、好みのレシピがたくさん載っている機種を選ぶという購入方法もおすすめだ。

河原塚 英信