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電気代節約なら二重窓にしてみる? リノベで最大200万補助金スタート

内窓(二重窓)にすると家の断熱性能を高められる。リフォーム工事には補助金も(画像はLIXIL「インプラス」)

家の中でエアコンをつけているのに暑い、寒いといった経験をしたことはないだろうか。その原因、実は窓にあるかもしれない。

一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会によると、夏の冷房時に窓やドアなどの開口部から熱が入ってくる割合は全体の73%。冬の暖房時の熱は58%が開口部から流出してしまうという。

窓から熱が出入りしてしまう(出典:LIXIL)

そのため開口部、すなわち窓やドアの断熱性能を高めると室内の快適性が向上するだけでなく、冷暖房効率がアップすることで光熱費の節約にもつながるのだ。

そして現在、環境省では窓とドアの断熱性能を高めるリフォームに対して補助金を交付する「先進的窓リノベ2024事業」を実施しており、最大200万円の補助が受けられる。補助金の申請受付はすでに開始しており、事業予算が上限に達するまで受け付けているので、その内容を含めて説明していく。

設置も簡単 二重窓のメリットは断熱だけじゃない

窓の断熱性能を高めるには、窓を高性能のものに交換する方法と、今ある窓の室内側にもう1枚窓を追加する方法などがあり、後者は内窓や二重窓などと呼ばれている。マンションなどの集合住宅では窓が共用部とされ、交換できない場合が多いが、そのような場合でも設置できるのが内窓だ。今回はこの内窓をメインに紹介したい。

内窓は既存窓とのあいだに空気の層が作られることで断熱・遮熱効果が高まる。アルミより熱伝導率の低い樹脂製の窓枠を採用すれば、より効果を高められるという。

内窓を設置すると既存窓とのあいだに空気層が生まれ、断熱・遮熱効果が高まる(出典:LIXIL)

断熱による節約効果は、LIXILの内窓「インプラス」(Low-E二重ガラス クリア/アルゴンガス入り)を採用した場合、電気代を年間22,550円削減できるという(2階建て、居室の9窓をリフォーム)。

加えて結露軽減、遮音・防音などの効果も。LIXILの実験によると、交通量の多い道路レベルの騒音(80dB)がした際に、今ある窓のみだと室内側では55dBだったのに対し、インプラスを追加すると40dBに低減。人間の耳は音量が10dB下がると音が半減したように感じると言われるため、静かな環境作りにも役立つとしている。

内窓の設置イメージ(画像はYKK AP「マドリモ 内窓 プラマードU」)

このほか、YKK APによると、「マドリモ 断熱窓」への交換は、施行時間が1窓につき約半日~、参考価格は3カ所で約62万円~(商品代+工事費)であるのに対し、内窓「マドリモ 内窓 プラマードU」の設置は1窓約1時間~、3カ所約29万円~(同)と比較的短時間かつ安価に行なえるのも特徴だ。

最大200万円の補助金 手続きは業者が行なう

「先進的窓リノベ2024事業」は国土交通省、経済産業省、環境省による支援事業「住宅省エネ2024キャンペーン」のひとつ。ほかに「子育てエコホーム支援事業」「給湯省エネ2024事業」「賃貸集合給湯省エネ2024事業」の3つの事業がある。これら事業の補助は、補助対象(工事内容)が重複しなければ併用することも可能。

なお、窓のリフォームに対する補助は「子育てエコホーム支援事業」でも受けられるが、住宅の立地や構造などによって、「子育てエコホーム支援事業」のみ利用できる場合と、「先進的窓リノベ2024事業」のほうがより高い補助を受けられる場合があるため、注意が必要だ。

子育てエコホーム支援事業と先進的窓リノベ2024事業の補助金額の違い(出典:先進的窓リノベ2024事業)

先進的窓リノベ2024事業において、補助の対象となる開口部の工事は以下の6種類。

先進的窓リノベ2024事業の対象

ガラス交換:既存サッシをそのまま利用し、複層ガラスなどに交換
内窓設置:既存窓の内側に新たに窓を設置、または既存内窓を新たな内窓に交換
外窓交換(カバー工法):既存窓枠の上から新たな窓枠を覆い被せ、複層ガラスなどに交換
外窓交換(はつり工法):既存窓枠を取り外し、新たな窓枠を取り付けて複層ガラスなどに交換
ドア交換(カバー工法):既存ドア枠の上から新たな枠を取り付け、ドアを交換
ドア交換(はつり工法):既存ドア枠を取り外し、新たな枠を取り付けてドアを交換

補助金額は工事内容と対象製品の性能によって異なるが、内窓設置の場合は1カ所につき23,000円~112,000円。上限は1戸あたり200万円。

中高層(4階建以上)集合住宅における補助金額の一覧。先進的窓リノベ2024事業の補助金額は、住宅の建て方、窓の性能、サイズによって変わるが、ガラス交換・内窓については住宅の建て方による違いはない(出典:先進的窓リノベ2024事業)

補助金の対象となるのは、開口部(窓)のリフォーム工事を行なう住宅の持ち主。持ち主が「窓リノベ事業者」(施工業者)と工事請負契約を締結した場合のみが対象となる。なお、申請は施工業者が住宅の持ち主に代わって行なうため、持ち主は本人確認書類の提出などに協力するだけだ。

リフォームと申請の全体的な流れは、まず住宅の持ち主が窓リノベ事業者(施工業者)に問い合わせ、業者と工事請負契約を締結。工事が完了すれば、施工業者が補助金の交付申請を行なう。申請に不備がなければ1.5~2カ月程度で交付が決定。施工業者に補助金が振り込まれ、持ち主に還元される。

補助金申請の流れ(出典:先進的窓リノベ2024事業)

なお、補助対象となるのは、1申請あたりの補助額の合計が5万円以上、かつ、先進的窓リノベ2024事業に登録された対象製品を設置する工事に限られる。対象製品や施工業者は、事業サイトから確認できる。

補助金の申請受付は3月29日より開始しており、期間は遅くとも12月3日までだが、予算が上限に達し次第、申請の受付を終了する。予算は1,350億円で、4月30日時点の申請額割合は4%となっている。

ほぼ半額補助 樹脂窓はアルミより断熱性高い

内窓リフォームの対象製品には、AGC、ウッドワン、セコム、不二サッシ、YKK APなど14社の製品が登録されている(4月26日時点)。

LIXILのTOSTEM「インプラス」は、熱伝導率がアルミの約1/1,000の樹脂製サッシを採用。静電気を帯電させないダストバリア仕様により、ホコリが付きにくく掃除が楽な点も特徴とする。

ガラスも複数ラインナップから選ぶことができ、一般複層ガラスと比べて約1.5倍の断熱効果を実現する「Low-E複層ガラス」も用意する。

LIXIL「インプラス」はホコリがつきにくいダストバリア仕様(出典:LIXIL)

LIXILのシミュレーションサイトでは、関東エリアのマンション(4階以上)で、2.8m2以上の窓2カ所に「インプラス Low-E複層クリアガラス」を設置した場合、商品代+工事費が298,800円。これに対し補助金が136,000円交付され、約46%オフで設置できるとのこと。なお、補助金額は実際の工事や申請の内容によって異なる場合がある。

シミュレーション画面。この場合はほぼ半額の補助が受けられる(出典:LIXIL)

今回は内窓をメインに紹介したが、ガラスや窓枠の交換も補助金の対象となっている。空調が効きにくい、光熱費が気になるといった悩みを抱えているのなら、思い切って窓をリフォームしてみるのもひとつの手段。自宅の状況や予算とあわせて検討してみてはいかがだろうか。

鄭 恵慶