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2050年は自転車に「意思」が!? パナソニックの考えた近未来モビリティを体験してきた
2024年2月22日 09:05
自転車好きな人はご存じかもしれませんが、現在の自転車の起源に当たる乗り物については1817年にドイツ人のカール・フォン・ドライス男爵が1817年に発明した「Draisine(ドライジーネ)」とされています。
下記写真のように木製の乗り物でハンドルと2つの車輪があるものの、クランクやペダル、チェーンなどの駆動装置はありませんでした。地面を蹴って走っていたそうです。諸説があるので割愛しますが、ドイツで誕生し、その後フランスやイギリスで進化して自転車は世界中に普及されていきます。ネットでも調べることはできますが、たとえばシマノ自転車博物館などで展示車を見ながら学ぶと、より進化の歴史がイメージしやすいかと思います。私も初めて訪問した際には時間を忘れて学んでいました。
日本での自転車の歴史の始まりは1870年とされています。それから自転車は進化を続けてさまざまなモデルが誕生してきました。そして、1993年には世界初の電動アシスト自転車が日本で誕生。ヤマハ発動機が開発し、「Power Assist System(パワー・アシスト・システム)」の頭文字を取って名付けられた「PAS」ですね。世界にも「電動」が広がり、ヨーロッパを中心に自転車はスポーツバイクのe-bikeが主流となりつつあります。世界初の日本がe-bike後進国なのは寂しい気持ちもありますが……。
さて、地面を蹴って走る木馬からe-bikeまで進化してきた自転車ですが、未来はどんな自転車が街を走っているのでしょうか? かつてドライス男爵も開発中には周囲から信じてもらえなかったでしょう。現時点では「妄想」と言われてしまうような自転車が、未来は走っているかもしれません。そんな未来のコンセプトモデルを見てきました。
勝手気ままに"道草を食う”モビリティ
自転車だけでなく、クルマやオートバイ、他にも新たなモビリティが誕生して未来へ向けて進化しています。今回は「全てのモノに人工知能が搭載され、人とコミュニケーションをとるようになった時代を想定」したパナソニックが考えた2050年頃に走っているかもしれないサイクルモビリティ「LOIT(ロイト)」(コンセプトモデル)を体験してきました。
ロイトは、現時点での未来のモビリティを想定し、道草を意味する「Loitering」から名付けられています。日常で欠かせない移動が今後さらにスマート化していくなかで、豊かな移動体験として“道草を食う”という慣用句から想定したコンセプトモデルです。タイヤはあるものの、自転車らしからぬデザインですが、未来感はどこにあるのでしょうか。
自転車は乗る人がいてこそ動く乗り物です。車体が勝手に移動することはありません。走るスピードやルートの選び方、立ち寄りスポットに目的地まで、乗る人の意志と動きで走れます。しかし、ロイトはそれが異なると説明されました。そのコンセプトを聞き、固定された状態での試乗でしたが、自転車、e-bike、その他電動モビリティなどとも全く異なる未知の乗り物です。なぜなら、車体が何かをアピールして動くことはありませんから。実際に体験してみると乗馬しているかのような、生物の鼓動を感じられるギミックがありました。
ロイトは行きたい場所へはスピードを早めたり、あまり気乗りしない場所へはペダルを重たくしたり、オーナーへ意思を伝えます。そして、オーナーはその気持ちも感じながら走る「人車一体」のモビリティになりそうです。
走り始める前にオーナーの存在を把握したり、ライド後に車体を下りた際には嬉しさなども表現します。「お散歩」というキーワードを聞いて犬が尻尾を振って張り切っているような印象です。
2050年はいったいどんな自転車が街を走っているのでしょうか。26年後、新たな楽しみや快適さを知るためにも健康でいたいと思います。