e-bike日々徒然

歩行者扱いの電動カートを体験してきた

3年ぶりに行動制限のない日々が戻ってきて、さまざまなイベント会場に足を運んでいます。先日は東京ドームシティ・プリズムホールで開催された「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2022」にも行ってきました。「自転車や電動モビリティを活用した環境にやさしいまちづくりを考える」というテーマの法人向け展示会なので、一般の方で足を運んだ人は少ないかもしれません。

サイクルモード東京2022で出会って興味津々の「BLULANS(ブルランス)」も出展していました。詳細は別の機会にまたあらためて

情報収集のために参加してきましたが、今回はe-bikeでなく「電動カート」についてのお話です。いまは元気にe-bikeに乗りまくっていますが、将来は自分も必要にするかもしれない乗り物です。

本格的な高齢化社会となって、身近に運転免許証の自主返納をされた方がいるかもしれません。そして、電動アシスト自転車を移動手段にするという話も聞きます。一方で、車体の重たい電動アシスト自転車でふらふら運転になってしまい、乗ることをやめた高齢者の方もいるかもしれません。調べてみると、その次の選択肢となる電動車椅子やカートも進化していることを知りました。

展示会で試乗させてもらったのが、電動車椅子メーカー・NOAAが昨年末に発売した電動カート「MOBILE-Xplus」。運転免許証を返納したり、自転車の運転に不安を感じていたり、杖や歩行器・歩行者を使用されるシニア層が「お出かけを続けられる」ことを目指して開発された歩行者扱いの電動カートです。足腰が弱くなって移動手段を失って、自宅に籠っていたらますます足腰が弱くなってしまいますし、気持ちも滅入ってしまいますよね。

「MOBILE-Xplus」はどんな電動カート?

車椅子認定を受けているので「歩行者扱い」となります。歩道・横断歩道を通行する、歩道のない道路では右側通行、歩行者用信号に従う、といった感じで交通ルールも歩行者と同じです。そして、法令では車体サイズは長さ120cm、幅70cm、高さ120cm(ヘッドサポートを除いた部分の高さ)を超えないことと定められています。型式認定制度もあります。歩行者扱いなので通常でも電動でも最高速度は6km/h以下です。

MOBILE-Xplus

「MOBILE-Xplus」のサイズは900×530×900mm(長さ×幅×高さ)で、車体重量は20.8kg。モーター出力は180W、バッテリーはパナソニック製リチウムイオン電池で満充電時の走行距離は13.6km(乗員75kgの場合)、充電時間は5~6時間。登坂力は13度、最高速度は前進が~6km/h、後進が~2km/h。価格は299,800円。追加購入用のバッテリー(M型/L型)も用意されています。

そして、シンプルでわかりやすい操作方法になっています。前進か後進のスイッチを選んで、右ハンドルのアクセルレバーを握って進みます。ブレーキは電磁式。自転車のブレーキとは逆の操作になりますが、「手を離せば止まる」ことを理解すればすぐに感覚を掴めるのではないでしょうか。

ハンドルまわり。高齢者でも使いやすいように操作ボタンは少なくシンプル
6km/hまでの速度調整はセンターダイヤルで行なう。左(亀)に回すと遅くなり、右(兎)に回すと速くなる。バッテリー残量の表示もわかりやすい
前後進は進みたい方向にスイッチを合わせる
右ハンドル部分のアクセルレバーを握ると動き、離すと止まる
フロントライトも自動点灯
買い物や荷物を運ぶためのカゴ(着脱式)も標準装備

また、ハンドルを握って乗るので歩道の段差を乗り越えたり、ちょっとした上りや下り坂でもバランスが取りやすくなっています。足の置き場が低いのですぐに地面に足を着くこともできます。

肘あてと背あて付のシート
座って両足を乗せた状態
地面に近いのでバランスを崩したときに足を着きやすい

もうひとつの特徴が「折りたためる」こと。お出かけを楽しみたいアクティブシニアには嬉しいポイントかもしれません。前後部にある黄色いレバーを引き上げて、シートやハンドル部分を折りたたみます。何度か練習すれば慣れそうな気がしますが、レバーの引き上げが難しい場合は家族などに手伝ってもらう必要があるかもしれません。折りたたんでしまえばキャリーケースのように転がして持ち運べます。また、歩行者と同じ扱いなので折りたたんで公共交通機関に持ち込めますし、タクシーなどにも積みやすいでしょう。折りたたみ時のサイズは690×430×280mm(長さ×幅×高さ)。

折りたたみ操作に必要なレバーは黄色になっている
後部の折りたたみレバー
折りたたんだ状態
持ち運び用の取っ手
キャリーのように転がして移動できる

いまはクルマも自転車も自由に乗れていますが、いつか手放すときが来たときに電動カートはどれだけ進化しているのでしょうか。

e-bike部