私の2020

空気環境に注目が集まった“withコロナのニューノーマルな暮らし”と家電たち

家電 Watchの筆者や編集部員が、2020年を振り返りながら、使ってみてよかったものや、注目した話題、動向などについて自由に語るコーナーです。

2020年を振り返るにあたっては、すでに6月に「ステイホームで役立った家電」を取り上げているので、今回はwithコロナの新しい日常ともいえる暮らしの中で、注目された空気環境についてまとめてみたいと思います。いち早く換気の啓蒙に努めたダイキン工業の動きや、シャープや三洋電機出身者による除菌脱臭機や次亜塩素酸空気清浄機、そして2021年1月に発売されるブルーエアの新モデルの空気清浄機にも期待がかかります。

業界に先駆けて“換気”を啓蒙したダイキン工業

「空気で答えを出す会社」をキャッチフレーズとしているダイキン工業が、換気をテーマとしたコンテンツの発信などにいち早く取り組み、あらゆる媒体で換気の重要性を啓蒙していたのが印象的でした。さらには、壁掛形家庭用エアコンにおいては給気方式によって唯一“換気ができる”エアコンとしてアピールしてその存在感を高めていたように思います。

外気に含まれる水分を使って加湿を行なう無給水加湿を採用しているからこその“換気ができる”エアコン「うるさらX」や「うるさらmini」の新モデルでは、リモコンに「換気」ボタンを追加して、より利便性を高めていますし、2021年3月下旬には換気運転が可能なスタンダードモデル「Vシリーズ」も新たにラインナップされます。わが家の寝室で愛用しているのはダイキン「risora」ですが、空気のよどみ(CO2濃度)をセンサーで検知して、スマホで確認できるコントローラー「Beside」との併用で意識的に窓を開けて換気をするようにしています。

2020年10月に開催されたダイキン工業の新製品発表会でも“換気しながら加湿・暖房できるのはダイキンだけ”ということをアピールしていた

COVID-19にも効果を認められたカルテックの光触媒・除菌脱臭機

シャープ出身の技術者・染井潤一氏が2018年4月に立ち上げたスタートアップ「カルテック」が手掛ける光触媒の除菌脱臭機が発表されたのは、2019年8月末のこと。ルチル型柱状結晶の採用で世界ナンバー1の反応効率を実現させた光触媒を材料メーカーと共同開発し、独自の機構設計で光の量/風量/センシングをコントロールした壁掛けタイプというのが特徴です。取材をきっかけにアトリエにも昨年末に設置して、運転させていますが、なんとこの除菌脱臭機、2020年10月には理化学研究所や日本大学医学部と共同で実施した実証実験で、新型コロナウイルスを99.8%以上不活化したという発表がありました。

アトリエの壁に設置されているカルテック「光触媒・除菌脱臭機KL-W01」

緊急事態宣言解除後の7月以降は、少人数での取材対応などこれまで通り、来客を迎えているアトリエなので、このニュースはとても心強く感じました。特許を取得した「サイドフロー構造」でファンによって本体内に吸い込まれた汚れた空気がLED照射された光触媒フィルターを通るだけで強力に酸化分解される仕組みで、他社で使用しているような吸着フィルターは必要ないため、石こうボード仕様の壁にも設置できる、3.3kgという軽さを実現させています。

コロナのために開発されたわけではありませんが、それを見通すかのように独自の技術によって開発されたことに不思議な力を感じます。

三洋電機のウイルスウォッシャーの復活~シリウス「次亜塩素酸空気清浄機」

今はなき、三洋電機の電解水技術“ウイルスウォッシャー”がパワーアップしてカムバックしたのも心に残る出来事でした。世界初の水洗いクリーナー「スイトル」など意欲的な製品を企画/開発してきたシリウスから9月下旬に発売された「次亜塩素酸空気清浄機ウイルスウォッシャー」です。カルテックはシャープ出身者たちのベンチャーですが、こちらは三洋電機出身の亀井隆平氏による企業だという点も興味深いですね。

わが家のリビングで活躍しているシリウスの「次亜塩素酸空気清浄機ウイルスウォッシャー」

電解水技術とは、水道水を電気分解することで出来た電解水をミスト状に放出し、これに含まれる次亜塩素酸とOHラジカルという活性酸素によって花粉などのアレル物質やウイルス、ニオイを除去するというもの。三洋の電解水技術は、当時、空気清浄機や加湿器のほか、病院や映画館などの広い空間で使われる業務用製品にも展開されていました。

シリウスの空気清浄機は水道水に少量の食塩を加えることで、より強力な電解水次亜塩素酸水を生成。回転式の除菌フィルターに含水させ、そこにHEPAフィルターで清浄された空気を透過させることで、集じん・消臭・ウイルスなどの除菌までをオールマイティに実現させています。HEPAフィルターのほかにも活性炭プレフィルター、花粉吸着フィルターを備えた3層構造なのでウイルス対策だけでなく通年活用できる空気清浄機です。

インテリア性の高いブルーエア「Blue3000シリーズ」

最後に今年12月にリリースされたばかりのブルーエアの空気清浄機「Blue3000シリーズ」について触れておきたいと思います。こちらにはブルーエアの基幹テクノロジーHEPASilentテクノロジーがBlueシリーズで初めて搭載されました。本体下部で360度から空気を吸い込み、0.1μmまでの微粒子を99.97%除去するとのこと。天面にある大型ファンが空気を引き上げる力を最大限まで利用し、低電力、低騒音を実現しています。

ブルーエア「Blue3000シリーズ」

元々、シンプルなデザインのBlueシリーズが好きなのですが、今回、LDKなど35畳までの空間に対応するBlue 3410と、寝室や書斎など15畳までのパーソナルな空間用のBlue 3210の2サイズ展開になったのもうれしいことです。また、北欧の自然からインスパイアされたというシックな5色のカラーバリエーションのプレフィルターがあるのも心躍ります。「Winter reed:冬の葦のようなライトグレー」などネーミングも美しく、年明けにアトリエに届くのを楽しみにしています。

神原サリー

新聞社勤務、フリーランスライターを経て、顧客視点アドバイザー&家電コンシェルジュとして独立。現在は家電+ライフスタイルプロデューサーとして、家電分野のほか、住まいや暮らしなどライフスタイル全般の執筆やコンサルティングの仕事をしている。モノから入り、コトへとつなげる提案が得意。企画・開発担当者や技術担当者への取材も積極的に行い、メーカーの現場の声を聞くことを大切にしている。 テレビ・ラジオ、イベント出演も多数。