私の2020

やっと見つけた炊飯器の分岐点。「圧力IH」なら4万円クラスでも超ウマイ!

家電 Watchの筆者や編集部員が、2020年を振り返りながら、使ってみてよかったものや、注目した話題、動向などについて自由に語るコーナーです。
我が家の2020年家電大賞は、パナソニックの炊飯器「SR-MPB100」に決定!

改めて2020年を振り返ると、ステイホームを理由に数多くの家電を購入していたことに気付く。焼き鳥グリルやマッサージ機など、すでにホコリをかぶっている物もあるが、コロナ禍に経済を回したと考えて前向きに捉えたい。そんな中、本当に買ってよかったと実感できたのが、パナソニックの炊飯器「SR-MPB100」だ。

実は今年買った炊飯器は、これが2台目となる。以前から「新しい炊飯器が欲しい」と妻に言われており、1台目はおうちごはんを充実させるべく、25,000円程度のIH炊飯器を6月に購入。それまで使っていた同程度のIH炊飯器も、やや旧型ではあるものの、壊れたわけではなかったので渋々の購入となった。

そもそも我が家では、実家の田んぼで作った米を10kgずつ精米して炊いているので、どんな炊飯器を使おうがおいしい(はず)。新調した炊飯器で炊いたご飯も普通においしかった。しかしデザイン以外に変化はなく、これなら買い替えなくてもよかったのではと思いながらも、妻が満足そうな顔をしていたので良しとする。

そんなある日、炊飯器の調子が悪くなった。炊飯器のくせにご飯が炊けないのだ。たった3カ月しか使っていないのに。しかも内釜の塗装もかなり剥がれていたので、これは不良品を掴んだに違いない。家電量販店で事情を説明し、その場で買い替えることを条件に全額返金してもらった。

「IH」から「圧力IH」へとステップアップ

もう失敗したくないとの思いから、これまでの物よりランクが上の炊飯器を買うことに決めた。とはいえ10万円近くする最上位機種には手を出せない。25,000円の返金があるため、プラス2万くらいなら許容範囲として炊飯器を吟味した。

数千円〜10万円という炊飯器の価格差は、加熱方式の違いによるところが大きい。炊飯器の加熱方式には「マイコン」「IH」「圧力IH」があり、順を追って性能が上がり価格も高くなる。ちなみにご飯をおいしく炊くポイントは、強い火力で一気に炊くこと。また内釜全体を加熱し、釜の中の温度差をなくすことで炊きムラも抑えられる。

●マイコン
炊飯器の底部の電熱ヒーターで内釜を加熱する方式。マイコンが炊飯時間と温度を制御して炊きムラを抑える。底から加熱するため火力はそこまで強くないが、少量の炊飯であれば問題なし。そのため3合以下のモデルはマイコン式も多く、数千円〜1万円台という価格も魅力だ。

●IH
電磁誘導加熱(induction heating=IH)を利用して、内釜自体を発熱させる加熱方式。底面だけでなく側面にもIHコイルを設置することで高火力を得られる。釜全体が均一に加熱されるため炊きムラも少ない。現在はコスパの高い機種も増えており、5.5合炊きモデルで1〜2万円台で購入できる。

●圧力IH
上記のIHに圧力機能をプラスした加熱方式。炊飯中の蒸気などを利用し、釜内部の気圧を高めて炊飯する。圧力をかけると水の沸点を100℃より高くすることが可能。米は高温で炊くほど甘み成分が引き出せるため、IH式よりも甘みを感じられるご飯が炊ける。高火力なので炊飯時間も短縮。また減圧時に爆発的な沸騰が起こり、釜内部に対流が生まれて米を撹拌、ムラなく炊ける点も見逃せない。圧力IH炊飯器は安くても3〜4万円台、10万円を超える各メーカーの最上位機種も加熱方式は圧力IHとなっている。

SR-MPB100は圧力IH炊飯器

どうせ買うなら圧力IHが欲しい。ということで、パナソニックの「SR-MPB100」を購入。圧力IH炊飯器でありながら4万円という手頃な価格と、妻の希望であった天面フラットデザインの2つが決め手となった。基本的に我が家では、家電は妻が好みのデザインを選び、私が性能と価格をチェック。2人のGOサインが出たら購入するシステムとなっている。

SR-MPB100は新制御の「可変圧力おどり炊き」を搭載。加圧して高温化、減圧時に米を激しく対流させて、米を芯まで加熱し、甘みともちもち感を引き出すというもの。文字通り、加圧と減圧で米をおどらせて炊くのだ。

炊飯器では珍しいグレーという点もお気に入り。すっきりとしたフォルム、マットな質感、操作部も主張していないシンプルなデザインに大満足

ご飯の甘みに感動。明らかに違いがわかるほどウマイ!

結論から言うと、SR-MPB100で炊いたご飯はめちゃめちゃウマイ。これまで使っていた炊飯器と比べると、価格差は約2倍。このコストに十分すぎるほど納得できるおいしさだった。

とはいえ食べ比べをしたわけではないし、自分の味覚がそこまで鋭くはないので、購入当初は「おいしいね」「おいしいかも」といった感想。しかし辛い料理と合わせて食べたとき、ご飯の甘さに気付いて衝撃が走った。「おいしすぎる」ので思わず実家に電話して、送ってもらった米が新米か、品種を変えたのか確認したほど(いつもの品種の古米だった)。

ふっくらツヤツヤの炊きたてご飯

圧力をかけるとこれほど甘みが引き出されるのか。しかもご飯はふっくらと柔らかいのに、一粒一粒しっかり立っていて食感もいい。見た目もツヤツヤ。新米ではなく古米でも、ご飯をおかずにご飯が食べられるくらいおいしいのだ。

IH炊飯器との違いは明らか。この炊飯器が”当たり”だったのかもしれないが、圧力IH炊飯器では手頃な4万円クラスでこのおいしさ。10万円近い上位機種はどれほどおいしいのか。パナソニックで言えば、「おどり炊き」の上に「Wおどり炊き」もある。いつかは我が家に迎えたいところだが、今はこの炊飯器に全く不満がない。圧力IHならこのクラスでも十分すぎるほどウマイ!

柔らかいのに粒が立っている。べちゃっとしていないから食感もいい!

また長時間保温していたご飯もおいしいところがエライ。炊きたてと比べるとツヤこそないものの、ふっくらとした食感はキープ。ゴワゴワと硬くなることはないし、むしろ軽さが出て食べやすく感じる。揚げ物に合いそうだ。内釜にパリパリになった糊がつくこともない。

これほど性能に違いがあれば、炊飯器の価格差にも納得。圧力IHで炊いたご飯は冗談抜きでウマイ。この半年で10kg太ったポッコリおなかがその証……。我が家の2020年家電大賞は、パナソニックの「SR-MPB100」に決まり!

23時間保温したご飯。ゴワつかず十分柔らかくてウマイ!

津田 昌宏