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IHこんろで火災の危険も 安全に使うためのポイント

電子レンジでアルミホイルを使用し庫内で発火した様子(再現実験)

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)は、電子レンジやIHこんろなどの調理家電に関する事故事例を紹介。2020年から2024年の5年間で、調理家電に関する事故は515件報告されており、そのうち電子レンジやIHこんろによるものが多くを占め、火災ややけどなどの重大事故につながるケースも発生しているという。

【事例1】電子レンジでアルミホイルを使用し庫内が発火

電子レンジでさつまいもをアルミホイルに包んで加熱したところ、庫内でスパーク(火花)が発生し、発火した事故が報告されている。アルミ箔やステンレス容器等の金属製のものをレンジ加熱すると、電磁波が金属の中の電子の動きを活発化させることで火花が発生し、火災につながるおそれがある。ほかにも、生卵やゆで卵、栗やイカなど切れ目を入れていない殻や膜のある食品をレンジで加熱すると、食品の内側から加熱されるため破裂の恐れがあるという。

【事例2】オーブンレンジで布巾を加熱して焼損

オーブンレンジを使用中、庫内で布巾が焼損し、取り出そうとしたところ、布巾が落下し、周辺を焼損する火災が発生。使用者が庫内に綿製布巾をかぶせた調理物を置き、操作時に誤ってグリル機能(オーブン加熱)で調理を開始したため、庫内上部のヒーターに近接していた布巾が焼損したという。

【事例3】IHこんろの誤操作で可燃物が発火

ラジエントヒーターの上で可燃物が発火した様子(再現実験)

IHこんろの上に置いていた布巾が焼損する火災が発生。使用者が誤ってラジエントヒーターのスイッチを入れてしまったため、直接熱を持ったトッププレート上の布巾に引火した事故が報告されている。

ビルトインIHこんろには、全口が「IHヒーター」のタイプの他に、1口だけ「ラジエントヒーター」という種類の加熱方式のこんろが備わっているものがある。「IHヒーター」は電磁誘導によってIH対応の鍋自体が発熱する方式。「ラジエントヒーター」はトッププレート内部の電熱線が発熱し、その熱がトッププレートを介して鍋を加熱する方式。どちらもトッププレートが高温になるためやけどに注意が必要だが、ラジエントヒーターはより高温になりやすく鍋がなくても発熱するため、可燃物を放置しないよう気をつける必要がある。

気を付けるポイント

NITEは、事故を予防するため、以下の点に注意するよう呼びかけている。

  • 電子レンジでは金属製の容器やアルミホイルを使用しない
  • モード選択(レンジ・オーブン・グリル)を誤らないように確認する
  • 電子レンジは庫内やドアの汚れが炭化して発火の恐れがあるため、こまめに掃除する
  • IHこんろでは、熱くなる場所に調理器具以外のものを置かない
  • IHこんろのラジエントヒーター部には鍋以外のものを置かない
  • 揚げ物は必ず「揚げ物モード」など対応のモードやコースを使用する
  • 取扱説明書を読み、加熱の仕組みを理解してから使用する