ニュース

便利なポータブル電源や発電機、火災の事故も 安全な使い方とは

携帯発電機を屋内で使用すると一酸化炭素中毒の危険がある

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は、災害による停電の際に使用される、携帯発電機やポータブル電源の事故を紹介。災害時の事故を防ぐための注意点をまとめて案内している。

【事例1】携帯発電機を使用したところ一酸化炭素中毒で死亡

カセットガスなどで発電できる携帯発電機を屋内で使用し、一酸化炭素中毒により1名死亡した事例。停電時に携帯発電機を換気の不十分な屋内で使用したため、排ガスが対流し、屋内の一酸化炭素(CO)濃度が上昇したものとみられる。携帯発電機の取扱説明書には、排ガスがこもる場所で使用しないよう記載されていた。

ここでいう発電機とは、ガソリン、軽油、ガス(カセットボンベ)などの燃料を使ってエンジンを稼働させ、装置内のコイルや磁石を回転させることで電気を発生させる装置のこと。

NITEは、発電機の使用に際しては、一酸化炭素(CO)中毒のリスクを避けるため、屋内での使用は絶対に避ける必要があると案内している。

また、屋外であっても、自動車内やテント内での使用は、屋内と同様の危険性を伴うため注意が必要という。このような状況下では、排ガスが逆流しないよう、発電機は出入口や窓などの開口部から十分に離れた、風通しの良い場所で使用することを勧めている。

【事例2】ポータブル電源の使用により出火

インターネット通販で購入したポータブル電源を充電中に、ポータブル電源付近から異音がして出火し、周辺を焼損した事例。焼損が著しく、原因の特定には至らなかったが、当該製品は屋外に置かれていた。風雨があたらないよう別途用意した樹脂製ケースで覆われていたが、覆いが不十分な状態であったため、雨水等が浸入して短絡が生じ、内蔵のリチウムイオン電池セルが異常発熱して出火した可能性が考えられるという。

ポータブル電源の例
水に濡れた電気製品の通電火災のイメージ

NITEでは、携帯発電機やポータブル電源を使用する際の注意点を紹介。落としたり強い衝撃を与えた場合、発熱や変形などの異常が生じることがあるため、その際は直ちに使用を中止し、製造・販売事業者の修理窓口に相談することを推奨している。

このほか、高温環境下での使用は控え、長期間使用しない場合は箱に入れ、直射日光が当たらない冷暗所で保管することを案内している。屋外での使用時には、防水・防塵性能を備えた製品の使用を検討することも重要だとしている。

さらに、携帯発電機やポータブル電源にはリコール品も存在するため、使用前にメーカーからのリコール情報を確認することを呼びかけている。

【事例3】停電復旧後の通電火災の事例

通電火災とは、自然災害に伴う停電の復旧後、可燃物が接触した状態の電熱器具や被災で損傷した電気製品の使用に伴い発生する火災のこと。NITEでは通電火災の事例を2つ紹介している。

停電復旧後に電気こんろの上に置かれていた電気製品が焼損する火災が発生した事例では、落雷による停電以前に電気こんろがオンの状態で、停電時に作動していた切り忘れ防止機能がリセットされ、停電復旧後にヒーターへの電力供給が再開。ヒーター上に置かれていた他の電気製品が焼損したとみられている。なお、取扱説明書には「ヒーター上に可燃物を置かない」「使用後は火力調整つまみが切れていることを確認する」と明記されていた。

異音と共にバッテリー(鉛蓄電池)やその周辺が焼損していた事例では、10日前の台風による水害で製品が水没しており、乾燥させるために事務所に置かれていたものが焼損。内部に水が浸入し、異常発熱が発生したため火災に至ったと考えられている。

通電火災の注意点

NITEは、地震や大雨の際には、自宅の電気製品が浸水などで損傷している可能性があるため注意が必要としている。特に、停電復旧後に電気ストーブなどの電熱器具が意図せず作動し、周囲のタオルなどの可燃物に引火するリスクが高まるため、以下の注意点を守り、通電火災を起こさないよう呼びかけている。

地震時に飛散した可燃物が電気ストーブに接触した例

NITEが紹介する通電火災を防ぐための注意点は以下の通り。

  • 地震が発生した際に可燃物が散乱しないように、家具はできるだけ壁に固定する
  • 電気ストーブ等の電熱器具の周辺に可燃物を置かないように日頃から意識する
  • 自宅から避難する際に時間的な猶予がある場合は、停電復旧時に異常のある製品に通電されることによる事故を防ぐため、分電盤のブレーカーを切る
  • 日頃から分電盤の位置や操作方法を確認しておく
  • 停電復旧時における意図しない作動による火災を防ぐため、特にヒーターを内蔵した電気ストーブ等の電熱器具は、停電時には電源プラグをコンセントから抜いておく
  • 停電復旧後、浸水などによる被害を免れた製品を使う際は、機器などの外観に異常がないか(電源プラグやコードに損傷はないか、製品に焦げた痕はないか、など)を確認の上、分電盤のブレーカーを入れ、機器の電源プラグを1台ずつコンセントに差し、様子を確認しながら使用する

また、異音や異臭がする場合は、直ちに使用を中止し、メーカーや販売店に相談することを呼びかけている。