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パナ冷蔵庫、同じ設置面積で容量50Lもアップ 後付けAIカメラも登場

冷凍冷蔵庫 コンパクトBIGシリーズ HYタイプ

パナソニックから4月下旬に発売される「冷凍冷蔵庫 コンパクトBIGシリーズ HYタイプ」。従来品とほぼ同じ設置寸法で、容量が約50Lもアップしている点が特徴だ。本体の“薄型化”における技術面の話や、大容量化してさらに使いやすくなった冷蔵庫のポイントを紹介する。

ラインナップと市場想定価格は、容量551Lの「NR-F55HY2」が32万円前後。同501Lの「NR-F50HY2」が30万円前後。同450Lの「NR-F45HY2」が28万円前後。

マンションの面積は、2013年以降減少傾向にあるが、これは都市部における家賃高騰が一因と考えられるという。一方で、食品、特に冷凍食品の消費量はコロナ禍以降も増加の一途を辿っており、同社の調査によると、冷凍室のスペース不足に悩むユーザーが半数以上いることが分かった。

同社の調査によると、冷凍室のスペース不足に悩むユーザーが半数以上いることが分かった

こうした背景を踏まえ、設置性に優れたコンパクトさと、冷凍室を中心とした大容量を両立した新製品「コンパクトBIGシリーズ HYタイプ」を同社は開発した。

最大のポイントは“コンパクトBIG”シリーズという名の通り、製品寸法がコンパクトになりながらも容量がアップしている点。容量551Lの「NR-F55HY2」では、設置寸法がほぼ同じ約9年前の製品と比較し、約50Lも容量がアップ。昨年発売の製品と比較しても、26Lの大容量化を実現している。

2024年発売の「NR-F53HX1」と「NR-F55HY2」の比較。同じ設置面積でも、容量が26L増えている

この「コンパクト設置」かつ「大容量化」を実現するために、新たな薄壁構造を採用。断熱用ウレタン素材を見直すことで、薄壁でも断熱性能を維持できるようになったという。また冷媒循環パイプのレイアウトを変更し、ファンの大型化や高効率コンデンサーを採用することで、側面の放熱パイプを廃止し、薄壁化に貢献した。

「薄壁化」を実現する様々な技術力
新たに採用された薄壁構造
旧モデルは真空断熱材(写真の白い部分)が厚くなっている

大容量化した庫内の中でも特に注目したいのは、冷凍室。新たに高さ約12cmの上段深型ケースを採用し、これまで下段でしかできなかった食品のタテ置きを上段でも可能にした。これにより、多くの冷凍食品を収納できるだけでなく、庫内が見渡しやすくなり、整理や出し入れもスムーズに行なうことができる。また、上段ケースにはカバーも付いており、霜付きを抑えて美味しくキープできるという。

上段ケースで食材が縦置きできるように
霜付きを抑えるカバーも備える

さらに、冷凍室や野菜室の引き出しが100%全開できる「奥まで見えるフルオープン」で、ケースの奥まで庫内を見渡すことが可能。高耐荷重ベアリング式レールを採用したことで、重たい冷凍室をフルオープンにしてもしっかりと支えられるのだという。

冷凍室や野菜室の引き出しが100%全開できる「奥まで見えるフルオープン」
右がベアリング式レール。奥までしっかり引き出しつつ、重みに耐えられる丈夫さも兼ね備える

また、コンプレッサーを下部ではなく上部に配置することで、冷凍室、野菜室の奥行きを最大限に確保。この上部配置は冷蔵室最上段のデッドスペースを減らすことにも貢献しており、庫内全体の使用感を向上させるというメリットを生み出している。

コンプレッサーを下部ではなく上部に配置することで、冷蔵室最上段部分の奥行きがなくなり、食品が取り出しやすくなっている

料理研究家で冷蔵庫収納&食品保存アドバイザーの島本美由紀さんは、セミナーで新製品の冷凍室について「冷凍室の食品は積み重ねて収納すると、下の方で真っ白く化石化してしまうことがありますが、横置きしがちな上段でも縦置きできるのは素晴らしい」と評価。

特に感動した点として、冷蔵室の上下のドアポケットを入れ替えることで、片方のドアを閉じたままチルド室から肉を取り出せる点を挙げており、「庫内の温度上昇を最小限に抑えられる」と、島本さんはこの点を高く評価していた。

片方のドアを閉じた状態で、チルド室から食品を出し入れできる

冷蔵庫に後付けできるAIカメラ

さらに3月下旬に発売された「冷蔵庫AIカメラ NY-PCZE2」の実機も見てきた。上記のHYタイプ3機種を含む同社の2017年以降の冷凍冷蔵庫121機種に対応。冷蔵庫AIカメラ搭載機種と同一のカメラが採用されている。直販価格は55,440円。

冷蔵庫AIカメラ NY-PCZE2

冷蔵室やドアポケットを見渡せる広角カメラと、下の冷凍室までカバーする狭角望遠カメラで、冷蔵室、野菜室、冷凍室を開けるたびに自動で庫内を撮影。野菜室の野菜(特定の60種類、野菜の形状が把握できる場合に限る)を、画像からAIが自動認識することで食材管理をサポート。日持ちの目安から早く使った方がいい野菜のレシピを提案する機能も搭載し、フードロス削減に貢献するとしている。

野菜室の野菜を自動認識して管理できる
食材からレシピ提案もしてくれる

庫内を撮影してからアプリに反映されるまでの時間は、ネットワーク環境にも左右されるが、約10秒間ドアを開閉した場合には、およそ20秒程度かかる見込みという。

庫内の様子を撮影

設置自体も簡単で、冷蔵庫上部真ん中に乗せ、開閉検知用マーカーキットを冷蔵庫各室に貼るだけ。落下防止ベルトも付属しているため、冷蔵庫にしっかり固定して使える。

上から見た冷蔵庫カメラ
開閉検知用マーカーキットを冷蔵庫各室に貼って使用する