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味の素「電気調味料」おいしく減塩

味の素が「電気調味料」を開発。ウェアラブルデバイスのコンセプトが発表された

味の素は、大学との共同研究により、経皮電気刺激を活用して食品の味を調整する新しい概念の「電気調味料」を開発した。

「電気調味料」とは、下顎前部および首後部への微弱な電気の刺激で味覚をコントロールする技術そのものを指しており、この経皮電気刺激によって複数の食品の味がより強まることを実証。それら一連の研究成果が、Hypertension Research誌に掲載された。

近年は、フォークやスプーンなど電気が流れる食器および食品を介して舌に電気刺激を加えることで、食器が口に接触している間の食品の味を増強させる技術が報告され、液体系食品への活用が始まっているという。

それらに対して、同社の経皮電気刺激による技術「電気調味料」は、咀嚼・嚥下中でも電気刺激の効果があり、液体系だけでなく固体系食品にも応用が可能。

今回の共同研究では、まず塩分濃度が低い食品のモデルとして濃度が0.3%、0.6%の食塩水の塩味増強効果を検証した結果、ともに有意に塩味が強まることを実証した。

次に、液体や固体、和洋中様々なジャンルの6種の減塩食品について、経皮電気刺激の影響を検証したところ、全てにおいて有意な塩味の増強が確認された。

また食品によっては、塩味だけでなくうま味や酸味も強まり、かつ風味も変化することが示され、電気刺激は食品の味だけでなく風味にも影響を与えることを実証したという。

減塩食品において、経皮電気刺激の影響を検証したところ、全てにおいて有意な塩味の増強が確認された。また食品によっては、うま味や酸味も強まったとする

さらに同社は、本技術をより活用しやすくするため、首または耳に掛けて使用するウェアラブルデバイスのコンセプトを開発(記事冒頭の画像)。同デバイスが製品化されれば、食事中に装着することで喫食している食品の塩味を持続的に増強できる。それにより、減塩を必要とする生活者の負担を軽減し、おいしい減塩をサポートすることが可能になるとしている。

なお同技術の共同研究者は、東京大学大学院情報学環、暦本純一研究室・中村裕美特任准教授(現東京都市大学准教授)、お茶の水女子大学SDGs推進研究所・笠松千夏特任教授(現東京家政学院大学特任教授)。