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温水洗浄便座が原因で火災!? 故障は放置せず正しい手入れを

温水洗浄便座は家電製品のため定期的な点検などが必要

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)は8月13日、温水洗浄便座の事故事例を発表した。長年の使用で便座の暖房ヒーターが断線している可能性があるとして、定期的な点検などを呼びかけている。

【事例1】経年劣化による事故

温水洗浄便座から発煙した。長期間使用(約15年9カ月)により、便座コードの屈曲が繰り返されたために半断線が生じ、発熱・発煙したものと考えられる。

【事例2】異常(故障)を放置して起きた事故

温水洗浄便座から発煙。焼損が著しく、事故原因の特定には至らなかったが、洗浄ノズルを動かす駆動モーターに付属する基板上で異常発熱し、出火した可能性が考えらる。

この事例では、洗浄ノズルが出たまま戻らない故障状態となっていたが、修理せずに使用し続けていた。

【事例3】異常(故障)を放置して起きた事故

異臭がしたため確認すると、温水洗浄便座を焼損し、周辺を汚損する火災が発生していた。

内部基板上の接続端子でトラッキング現象が発生し、出火したと考えられるものの、焼損が著しく、事故原因の特定には至らなかった。なお、2~3年前から複数の機能に不具合が生じていたが、修理せずに使用し続けていた。

【事例4】誤ったお手入れによる事故

店舗で温水洗浄便座を焼損する火災が発生した事例。

従業員は毎日、強酸性の洗剤を用いて清掃を行なっていた。便座内部から塩素を含む強酸性の洗剤が検出されたことから、不適切な清掃方法により洗剤が浸入して内部部品の腐食が進み、さらに便座着座時の外力が繰り返し加わったことでヒーター線が断線し、事故に至ったものと考えられる。

なお、取扱説明書には、「洗浄ノズルや、本体等のプラスチック部分の手入れをするときは、薄めた台所用洗剤(中性)を使用し、トイレ用洗剤、住宅用洗剤等は使用しない」と、記載されていた。

温水洗浄便座の事故を防ぐためのポイント

温水洗浄便座は電気製品であるため、異常や故障を放置して使用し続けていると発火し、火災につながるおそれがある。NITEでは、異常や故障が無いか、定期的な点検を呼びかけている。

特に、製造から長期間経過している製品は、部品の劣化が進んでいることが考えられるため、より注意が必要だという。

異常や故障に気付いたら、直ちに止水栓を閉めて電源プラグを抜き、使用を中止し、購入した販売店や工事店、メーカーに相談するよう案内している。

異常や故障に気が付いたら温水洗浄便座の止水栓を閉め、電源プラグを抜いて使用を中止する

誤った方法によるお手入れを繰り返していたことで、温水洗浄便座内部に洗剤や洗剤から発生したガスなどが浸入して事故につながったケースがある。洗剤を使ったお手入れの際は、温水洗浄便座に洗剤を直接吹きかけたり、便器鉢内に洗剤を放置したりしないようにするなど、正しいお手入れ方法を確認するよう案内している。


    お手入れで気を付けるポイント
  • 洗剤を柔らかい布に含ませて拭いたあと、水拭きする。温水洗浄便座(プラスチック部分)に直接洗剤を吹きかけない
  • 使用できる洗剤を取扱説明書で確認する
  • 便器用洗剤を使用する際は、便座蓋は開けたままにし、洗剤は3分以内に流す

このほか、使用している製品がリコール対象か確認することも重要だという。リコール開始から10年以上使用した後に発生した事例があり、長期間使用できている製品であってもリコール対象製品の場合があるという。

事業者、消費者庁、経済産業省及びNITEなどはホームページでリコール情報を掲載しているため、確認し、リコール対象製品だった場合は、不具合が生じていなくても直ちに使用を中止し、購入した販売店や工事店、メーカーに相談するよう呼びかけている。