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自転車や家電の「非純正」バッテリーで火災も 安価な製品は確認を

非純正バッテリーによる火災事故の報告を発表

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)は、2014年から2023年までの10年間に「非純正バッテリーによる事故」が235件発生したとして、注意喚起を促すとともに事故事例を発表した。事故のほとんどが火災事故で、バッテリーから出火した炎が製品本体だけでなく、周囲の製品や建物まで焼損させる事故が201件発生。このうち14件は建物の全焼に至ったとしている。

2014年から2023年までの10年間に発生した「非純正バッテリーによる事故」は235件

NITEが説明する「非純正バッテリー」とは、機器本体のメーカーとは無関係の事業者から販売されているバッテリーのこと。純正品と類似した形状をしており、「互換バッテリー」「純正充電器対応」などと称して安価で販売されているが、機器本体のメーカーが、そのバッテリーの設計や品質管理に一切関与していないため、リスクの高い製品も含まれているとする。

事業者名が記載されていない、日本語に違和感がある表記がされていることがある
NITEが紹介する非純正バッテリーを見分けるポイント

非純正バッテリーの使用による事故事例

・電動アシスト自転車の事故事例

ネット通販で購入した電動アシスト自転車用バッテリーを自転車から取り外して充電していたところ、出火し、床を焼損した。事故原因は、非純正バッテリーの内部で短絡が生じて異常発熱し、焼損したものと考えられる。【2019年4月に発生 兵庫県、年齢・性別不明、拡大被害】

・充電式電動工具の事故事例

ネット通販で購入した充電式電動工具用バッテリーを、購入後初めて充電器で充電していたところ、異音がして出火し、周辺を焼損し火傷を負った。非純正バッテリーの保護回路基板(安全保護装置)の設計不良により、充電中のすべてのリチウムイオン電池セルの電圧を検知することができない構造であったため、一部が過充電状態となって異常発熱し、焼損したものと考えられる。【2020年4月に発生 岐阜県、40歳代・男性、軽傷】

・充電式掃除機の事故事例

ネット通販で購入した充電式掃除機用バッテリーを機器に取り付けた状態で保管していたところ、突然作動するとともに出火した。2021年8月16日よりリコールが実施されているバッテリーであった。非純正バッテリーの保護回路基板(安全保護装置)が異常発熱して出火したことが原因とみられる。【2023年9月に発生 兵庫県、年齢・性別不明、製品損傷】

非純正バッテリーが抱えるリスクを理解する

NITEでは、「非純正バッテリー」が抱えるリスクについて次のように説明する。

1:設計に問題があり、異常発生時に安全保護装置が作動しない場合がある

非純正バッテリーの中には、純正バッテリーと比べると、安全対策が劣る製品がある。このため、過充電保護装置などの安全保護装置が異常発生時に働かないリスクがあるとする。

2:品質管理が不十分で、通常の使用であっても事故に至る場合がある

非純正バッテリーの中には、製造時の品質管理が不十分で、電池内部に異物が混入していたり、電気回路の部品に不良品が使われていることがある。製品によっては充電後にしばらくしてから発火したという事例があるとしている。

3:事故発生後に、事業者の対応や補償を受けられない場合がある

非純正バッテリーの中には、消費者から販売事業者に連絡するための情報が不十分であったり、連絡できたとしても、対応を行なっていなかったり、日本語が通じない事業者もあるという。また、非純正バッテリーでの事故の場合、機器本体のメーカー側からの対応や補償も受けられないおそれがあるとしている。

このほか、機器本体のメーカーが注意喚起を行なっている場合もあることから、メーカーのホームページを確認するなどして、事故が発生している製品でないことを確認することを呼びかけている。