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花王とアース、蚊を「液と泡」で落とすスプレー発売へ

アース製薬の川端克宜社長(左)と花王の長谷部佳宏社長(右)が登壇して協業を発表した

花王とアース製薬は29日、虫(蚊)ケア領域での協業を発表。花王の新開発技術とアース製薬のノウハウを活用した蚊駆除スプレー「ARS Mos Shooter(アース モスシューター)」を、7月よりタイで発売する。日本での発売については今後協議する予定。

虫などの生物が媒介してかかるベクター媒介性疾患において、最も人を殺している原因となっているのは蚊だという。死者は全世界で年間72万人に及ぶ。

また、蚊が原因となるデング熱の脅威も深刻となっており、2023年のデング熱感染者は世界で過去最多を記録。日本でも2014年に初めて東京でデング熱の感染が確認されている。特に被害の深刻なのがタイであり、2023年1月~9月の間で84名が亡くなっている。

デング熱が深刻なのがタイだという

従来の化学合成殺虫成分使わず「液と泡」で落とす

ARS Mos Shooter

新開発スプレーのARS Mos Shooterは、細かいミストで蚊を落下させて駆除するスプレー。連続で細かいミストを噴射できるトリガーを採用し、液滴と泡を同時に噴射することで、飛んでいる蚊にも潜んでいる蚊にも効果を発揮するという。化学合成殺虫成分は使わないのも特徴で、有効成分としてレモングラスオイルを含んでいる。

液滴と泡を同時に噴射することで蚊をとらえる

花王は2023年に、蚊の羽や体表面を濡らすことで飛行を妨げ、ノックダウン状態にする新たな技術を開発。従来の化学合成殺虫成分を使用しないという点で、使用場面の拡大が期待されている。

アース製薬は、1980年にタイでARS CHEMICAL(THAILAND)CO.,LTD.(現EARTH (THAILAND) CO., LTD.)を設立。現在で虫ケア用品「ARS」ブランドなどの開発と生産、販売、物流まで一貫して担う現地法人を展開している。

両社が協業することで、それぞれの技術を活かした製品を、特に被害の深刻な地域へいち早く提供することを目指す。

日本でのARS Mos Shooter発売については「ニーズについて両社で話しながら、タイに限らず話をこれからも進めていく」(アース製薬 川端社長)、「近いうちに話してエリア拡大を進めていきたい」(花王 長谷部社長)」とコメントしている。