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電気自動車を家の電力に 小型軽量化したニチコンV2Hシステム

EVパワー・ステーション VSG3-666CN7のパワーユニット(左)とプラグホルダー(右)

ニチコンは、電気自動車(EV)を家庭の電源として活用するV2H(Vehicle to Home)用システムの第3世代モデル「EVパワー・ステーション VSG3-666CN7」を2024年3月に発売する。価格は128万円(税別/設置工事費別)。目標販売台数は3年間で48,000台。

コンデンサー事業からスタートしたニチコンは、EVの急速充電器や家庭/産業用蓄電池などのエネルギー関連を成長分野と位置付け「NECST(ネクスト/Nichicon Energy Control System)事業」の名称で展開している。国内外のEV市場拡大に合わせて成長が見込まれるV2Hは、2012年に同社が世界で初めて実用化、現在は国内シェア90%を持つ。

ニチコンの武田一平 代表取締役会長。太陽光発電を夜も使えるようにという思いで蓄電システムを製品化、現在のNECST事業につながったという

同社V2Hシステムの第3世代となる新型EVパワー・ステーションは国内最小/最軽量クラスとしており、パワーユニット(PCS本体)と、プラグホルダー(操作部)に分割したことで、設置の自由度と使い勝手を高めたのが特徴。駐車場にはプラグホルダーのみ設置すればよく、狭い駐車場でも設置可能となっている。停電時の自動給電に対応するほか、外部ファンレスなどによる小型化、新回路の採用で高効率化も実現した。

小型軽量化、セパレート(別体)化で設置の自由度を高めた

軽量化したことによって、パワーユニットやプラグホルダーともに壁掛設置も可能。パワーユニットは壁掛と据置、プラグホルダーは壁掛とポール設置から選べる。

壁掛け時の重量はパワーユニット29.4kg、プラグホルダー8.5kgの合計37.9kg。現行モデルの91kgから58%軽量となった。プラグホルダーのカラーはシルバーとブラウンの2種類を用意する。

プラグホルダーのシルバーモデル(左)

停電時の自動切り替えにも対応。独自開発の「自動切替開閉器」により、停電すると接続されているEVからの給電を自動で開始する。現行モデルで必要だった切り替えスイッチや、12Vケーブルを用いての起動動作が不要となった。この自動切替開閉器により、新たにV2H専用の分電盤を取り付ける必要がなくなり、電力配線を簡素化できて、施工費用の低減や設置スペースの削減が可能になるという。

小型/高効率/低ノイズを特徴とする「CLLC双方向コンバータ」を用いた新しい電力変換回路と独自の制御技術を組み合わせた新回路システムにより、大幅な小型化と軽量化、高効率化を実現。SiC MOS FET(シリコンカーバイト金属酸化膜半導体電解効果トランジスタ)の採用と、インバーター回路の最適化で損失を低減。軽負荷時も現行モデル比で約10%の効率アップを実現した。

現行モデルと同様に、200Vコンセントからの充電に比べて最大2倍のスピードとなる「倍速充電」や、家庭の契約電力に合わせた制御によってブレーカーを落ちさせない「インテリ充電」、停電中の自立運転時にも200V、最大6kVAの給電を行なう機能を搭載する。

EVに接続するプラグ部
プラグホルダー(ブラウン)

パワーユニットの本体サイズと重量は470×200×620mm(幅×奥行き×高さ)、26.2kg。プラグホルダーは160×160×355mm(同)、7.9kg。保証期間は10年。

防水防塵仕様はIP55。酷暑にも対応するため、動作温度範囲の上限は50℃とした。耐塩仕様で、新たに重塩害対応品もオプションで用意する。

ファンレスなどで小型化、新たに重塩害品もオプションで用意

V2Hシステムと連携できる太陽光パワコンも

太陽光発電のパネルと接続するパワーコンディショナー新製品も発表。蓄電池とセットでハイブリッド蓄電システムとして使えるほか、V2Hにも連携可能な「発展型太陽光パワーコンディショナ(ハイブリッド蓄電システム、V2H連携) ES-E1シリーズ」を2024年1月に発売する。価格は、パワコン単体「ES-E1」が80万円、7.7kWh蓄電池ユニットとのセットが180万円。

発展型太陽光パワーコンディショナ(ハイブリッド蓄電システム、V2H連携) ES-E1シリーズ。左がパワコン、右が7.7kWh蓄電池ユニット

パワコン本体が20kgという軽さを特徴とし、太陽光パネルは短絡電流16A、最大動作電流13.5Aのものと接続して使える。最初には太陽光パワコンとして導入し、その後に蓄電池やV2Hシステムに発展させるといった使い方ができる。上記V2HシステムのEVパワー・ステーションと合わせて1つのスマホアプリで操作できる。

ES-E1シリーズの特徴

V2Hシステムや太陽光パワコン製品などについては、10月26日~11月5日に東京ビッグサイトで開催される「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」にも展示される。