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スプレー缶による火災事故に注意。冷却スプレーで凍傷も

冷却スプレーを使用後にシャツに着火する事故の再現実験

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)は、日焼け止めスプレーや制汗スプレー、冷却スプレーなど夏に使う機会が多くなるスプレー缶の事故事例を発表した。主な事例は以下の3つで、それぞれの注意事項とあわせて紹介している。

・スプレー缶のガスに引火して火災が発生
スプレー缶を使用後、たばこを吸うためライターを点火したところ、周辺を焼損し、手足などに火傷を負った。室内でスプレー缶を使用した後すぐにライターを点火したため、室内に滞留していたスプレー缶の可燃性ガス(LPガス)に引火して、火傷を負ったものと考えられる。なお、本体ラベルには、火気の近くで使用しない旨が注意表示されていた。

【注意事項】 使用時や使用後は出入口を開けるなどして十分に換気を行なう。可燃性ガスを含むスプレー缶の使用時は、ガスが滞留しないように気を付ける。換気が終わるまでは、ライターや火花が発生する機器(ガスコンロ、換気扇、掃除機など)を使用しない。

・スプレー式の冷却剤で凍傷
スプレー式の冷却剤を吹き付けたバンダナを肘部に巻いていたところ、翌日水ぶくれができ、凍傷と診断された。この冷却スプレーの成分は主にLPガスと水で、LPガスの気化熱により氷を作るもの。本来1~2秒吹き付けて使用するところ、約5秒吹き付けたため氷の量が多くなり、過剰な氷に長時間(約30分)皮膚が接触したことで凍傷に至ったと考えられる。なお、スプレー缶容器には「適量(1~2秒)を吹き付ける」旨が記載されていた。

【注意事項】 冷却スプレーは使用上の注意を読み、指定された距離や噴射時間等を守る。距離が近すぎたり、噴射時間が長すぎたりすると凍傷を負うおそれがある。

・車内に置いていたスプレー缶が破裂
自動車の荷物スペースに置いていたスプレー缶が破裂し、車内の天井に突き刺さった。車内でスプレー缶に直射日光が当たるなどして高温となり、上昇した内圧に耐えられなくなって破裂したものと考えられる。なお、製品には、40℃以上の環境下での保管を禁止する旨の注意表示が記載されていた。

【注意事項】 夏期は、自動車内の温度は外気温と比べて非常に高くなり、車内にスプレー缶を放置するのは非常に危険なため、直射日光が当たる場所や高温になる場所に置かない。スプレー缶が熱せられると、内部のガスが膨張して内圧が上がり、缶が破裂するおそれがある。

スプレー缶を使う際は火気厳禁

NITEはこうした事故が発生していることを受け、製品に記載されている注意事項を守り、スプレー缶を正しく使用するよう呼びかけている。またスプレー缶の廃棄による火災を防ぐため、正しい廃棄方法も紹介している。

【廃棄時の注意事項】 スプレー缶を捨てるときは、屋外の風通しのよい場所で、付属のガス抜きキャップを利用して中身を出し切る。スプレー缶を振って「シャカシャカ」などと音がする場合は中身が残っており、この状態で穴を開けると漏れ出た可燃性ガスに引火するおそれがある。なお、廃棄方法については居住地域の自治体の指示に従う。