家電レビュー
小さくなったDJIの1kWhポータブル電源、日本向け開発で使いやすい
2026年2月25日 08:05
2月上旬からティザーで告知されていたが、DJIから新しいポータブル電源「DJI Power 1000 Mini」が発売された。価格は公式サイトで53,460円となっている。
DJIは2024年にPower 1000およびPower 500でポータブル電源に参入。翌年にはPower 1000 V2、Power 2000とモデルを拡充してきた。そして今年はPower 1000 Miniを発売と、毎年新モデルを投入している。
このPower 1000 Miniの特徴は、日本市場向けに1,000Whの容量を確保しつつ、大幅に小型化を果たしたこと。実際どんなサイズ感で、日本市場向けだと何が使いやすいのか? 今回はサンプルとして本体ほかケーブル類、ソーラーパネルなど一式を提供いただいたので、早速いろいろと使ってみたい。
日本向けに厳選されたスペック
ポータブル電源市場は、2020年前後に起こったキャンプブームに乗って急速に成長したが、当時は1,000Wh以下の小型モデルが主流だった。車で運ぶのは問題ないが、キャンプ地まで徒歩で運ぶには重すぎる中型機は敬遠された。
しかしキャンプに限らず家庭内電力シフトや車中泊といった用途が注目されると、1,000〜2,000Whクラスの中型機に人気が集まってきた。DJIがPower 1000シリーズのみ複数モデルを展開するのも、一番ニーズが高いところだからだろう。
DJIのPowerシリーズは、基本的には横長の構造になっているが、新しいPower 1000 MiniはPower 500を連想させる縦長のボディとなっている。ただ500とは容量が倍違うので、比較するならPower 1000 V2の方が妥当だろう。
本体サイズは212×314×216mm(幅×奥行き×高さ)となっている。写真で見ても分かるように、Power 1000 V2と比べるとかなりサイズが違う。だが容量は1000 V2が1024Whなのに対し、1000 Miniは1008Whと、ほぼ同じ。
重量は1000 V2が14.2kgなのに対し、1000 Miniは11.5kgと、多少軽くなっている程度だ。要するに集積度を上げたということだろう。
AC出力を比べると、1000 V2が2,600Wなのに対し、1000 Miniは最大1,000W、定格800Wとなっている。1,000WhクラスのAC出力は、相場としては1,500Wぐらいだと思うが、1000 Miniは小型化を優先したことで現実的な800〜1,000Wに抑えたということだろう。
価格もV2より1万円以上安いことを考えれば、妥当なところ。そもそも1000 V2は拡張バッテリーに対応し大容量化できるので、出力を大きく取っているという事情がある。1000 V2が特殊すぎるのだ。
AC入力は、低速500Wと高速1,000Wに切り替えできる。従来モデルは切り替えにハードウェアスイッチがあったが、今回はスイッチはなく、アプリでの切り替えとなる。高速充電の場合は、0%から80%を58分で充電できる。
特徴的なのはUSB Type-Cの拡張だ。右上に全長80cmの巻き取り型ケーブルを備え、災害時にケーブルがないといった場合にも対応できる。なおこの巻き取りケーブルは交換もできる。USB Type-C端子も1つあり、2つ合わせて100W出力に対応する。
それから、Powerシリーズとしては初のUSB Type-C本体充電にも対応した。昨今はUSB PDの大電力化によって、60Wや100WクラスのUSB Type-Cアダプタが存在するが、こうしたものからでも充電できる。災害時にバッテリーを慌てて持ち出すと、つい充電用のACケーブルを忘れるという失態をしでかすこともあるが、いざとなればUSB電源アダプタからも充電できるのはありがたい。
底部には非常時のためのLEDバーライトも装備した。一度押すと点灯、押し続けると輝度調節ができる。2度押すとSOSシグナルとして点滅する。
多彩な充電に対応
ポータブル電源は基本的に電気を溜めて出すだけの装置なので、何がどれだけ動かせるかは単純に消費電力の問題。仮に停電時での利用を想定した動作時間も記しておく。
扇風機:約7時間
電気毛布:約5時間
冷蔵庫:約7時間
テレビ:約3時間
炊飯器:約1時間
電子レンジ:約1時間
実際の動作時間は各家電の動作モードなどによって変わってくるので、大まかな目安として考えていただきたい。小さくてもさすが1,000Whで、電力復旧するぐらいまでにはどうにか持ちそうな動作時間である。
一方で1000 Miniは、多彩な電源入力に対してダイレクトに対応しているのも特徴だ。電源入力端子としてはACと上記のUSB Type-Cのほか、独自のSDC端子がある。
ソーラーパネルからの充電は、従来機では別途「ソーラーパネル アダプターモジュール」(9,680円)が必要だった。これはXT60端子3つをSDC端子に変換して入力するためのモジュールだ。
一方1000 Miniは、このモジュールなしでソーラーパネルの直接接続に対応した。モジュールの機能を内蔵したわけだ。「DJI Power MC4ソーラー充電ケーブル」(4,950円)を使って、ソーラーパネルのMC4端子を直接接続できる。
今回はIBCPOWER製のソーラーパネル「PT100」(18,205円)を2台接続してみる。PT100は100W出力のパネルだが、中身は8つのセルに分かれており、折りたたむとA4ぐらいのサイズになる。スタンドも2つ付属しており、角度を付けて地面に設置できる。
MC4ソーラー充電ケーブルは1系統しか接続できないが、ここに接続する前に2系統をマージするY字ケーブルを2つ使用して、2系統分の出力を合わせる。
テストしたのは晴天の13時頃だが、2枚合わせて180W発電できている。ただしソーラーパネルはおろしたてなのでかなり出力が出るが、経年変化でだんだん出力が下がってくるので、2枚で120〜130Wぐらいと考えた方がいいだろう。
バッテリー残量約35%でフル充電まで3時間半と出ている。発電量は太陽の角度に応じて変化するので、概ね5時間ぐらいあれば65%を充電できるだろう。SDCコネクタ自体は最大400Wまで入力できる仕様になっている。
もう一つ、自動車のバッテリーからの充電もテストしてみる。一般的に車からの充電といえば、シガーソケットからの充電を想像するだろうが、現在車中泊ユーザーを中心に、オルタネーターチャージャーが普及している。
これは自動車のバッテリーに並列つなぎで接続することで、自動車の発電機(オルタネーター)から直接充電できるため、かなりの電力が得られるのが特徴だ。平均的には500W前後のチャージャーが主流だが、DJIは過去1,000Wのチャージャー「DJI Power 1kW車内超急速充電器」(55,000円)を製品化したことがあり、以前もテストしている。
オルタネーターチャージャーは、車載バッテリーに接続するためのケーブルと、ボックス状の本体から成る。ボックスは車内のどこかに固定する必要がある。
一方1000 Miniは、このオルタネーターチャージャーなしで、専用ケーブル「DJI Power 車内バッテリー充電ケーブル」(4,950円)のみで直接接続に対応した。オルタネーターチャージャー機能も内蔵したというわけである。ケーブル中央部には交換可能なヒューズがあるのみで、ボックスは不要だ。
ケーブルの引き込みには車体に手を入れる必要があるが、今回は停車した状態でバッテリーに仮接続し、アイドリング状態での充電テストを行なった。
仕様としては入力で最大400Wとなっているが、アイドリング状態でも400W弱で充電できることを確認した。スペック通りの性能が出ている。
アプリ上では残り65%を充電するまで約1時間35分となっているが、車のバッテリーからの充電にはほぼムラがないので、実際にこの時間でフル充電されるはず。単純計算では、残量ゼロの状態からフル充電まで、概ね2時間半ぐらいだと思われる。
小型で扱いやすい設計、初めて買う人にも
DJI Power 1000 Miniは、サイズを大幅に小さくしながらも1,000Whの容量を確保した。DJI Power 500とだいたい同サイズなので、2年で容量が倍になったわけである。
加えて以前はオプションが必要だったソーラーパネル入力や、カーバッテリーからの入力にも対応した。特にオルタネーターチャージャーなしで直接接続できるのは大きい。ケーブルさえあれば直接接続できるので、トータルでのコストも安く抑えられる。
重量は約11kgあるのでまあまあずっしりしているが、男性なら片手で持てるだろう。元々ハンドルも1つしかないので、片手で持つことが想定されている。
DJI Power 1000 V2と同容量だが場所を取らないので、大量に備蓄しておく必要がある自治体の防災対策用品としても活用できる。なお1000 Miniは日本防災協会の認定を受けている。
アプリの機能も防災向けになっており、バッテリー残量低下アラームやAC出力自動復旧、AC充電ケーブル安全確認といった機能は、従来のPowerシリーズにはなかった機能だ。かなり安全運用の方に倒した設計ということだろう。
また、以前のモデルでは、満充電になると保護回路が働いてバッテリーが再起動するために、AC出力が停止するという問題があった。だが日本向けに出荷される1000 Miniはハードウェア的な改修が行なわれたため、このような問題は起こらないという。
ポータブル電源は競合他社も多く、DJIはなかなか存在感が示せなかった。だがPower 1000 Miniは、サイズ感と容量、仕様のバランスを日本向けに設計したことで、存在感を示せるモデルとなった。価格も最初からこなれており、初めて買うポータブル電源としても良い選択肢といえるだろう。







