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ゴツい“オトコ用”ミシン誕生。デニム地も帆布も難なく縫える

TOKYO OTOKO ミシン「OM-01」

アックスヤマザキは、厚手のデニムや帆布、レザーも縫える男性向け家庭用ミシン「TOKYO OTOKO ミシン OM-01」を、11月4日に発売する。価格はオープンプライス。直販サイト(楽天市場)での価格は44,000円。

アンティークデザインの本体

職業用ミシンと同等の、90W出力のモーターを搭載し、厚手の帆布やレザーなども圧倒的な貫通力で、しっかりと縫えるとする。

レザーは1枚なら厚さ5mmまで、重ね縫いの場合は1.5mm厚なら3枚、2.5mm厚なら2枚まで対応。ヌメ革やコードバンも扱える。帆布やキャンバスは、厚さ7mmまで対応。8号帆布なら8枚、より厚手の6号なら6枚の重ね縫いが可能。デニムは、12オンスの12枚重ねに対応する。ヘビーオンスのジーンズも、自分で裾上げできる。そのほか、アウトドアアイテムなどで使われる、高耐久なターポリン生地も、8枚まで重ね縫いが可能だとする。

一方で、ジグザグ縫い機能などは非搭載。極限まで強く、美しい直線縫いを可能にする、直線縫い特化型の仕様としている。

そのため一般的な家庭用ミシンとは異なり、本体重量の軽さは追求されていない。むしろ鉄製フルモノコックボディと超硬度針板などを採用し、重量は11.6kg。

使いやすさにおいては、縫い目の長さを自由に調整できるほか、レバーを押すだけで返し縫いが行なえる。また、デザインのアクセントにもなっている、はずみ車は、手回ししやすい大きな形状としている。

縫い目の長さを自由に調整できるほか、返し縫いにも対応
手回ししやすい大きな形状の「はずみ車」

初心者でも迷わず使えるように、動画版のマニュアルを充実させたという。例えば、「ミシンの準備」や「電源の入れ方」などから、使い方を解説する動画を、きめ細かく用意している。

またミシンは初めてという人のために、素材や型紙などをワンパッケージにした専用キットを別売する。当初のラインナップは、メガネケース、コインケース、名刺ケースの3種類。専用キットの価格は2,980〜4,400円。

いずれも、柔らかさと丈夫さを兼ね備えたヌメ革に仕上げた「栃木レザー」を使用。使い込むほどに革が熟成していく、エイジングを存分に愉しめるという。

使い方を、きめ細かく動画で解説
別売の専用キット「コインケース」
同「メガネケース」

デザインは、アンティーク調を採用。ボディが鉄ということもあり、黒光りする本体が目を引く。

本体サイズは445×240×305mm(幅×奥行き×高さ)。重さは約11.6kg。針やボビン、糸立て棒、フェルト、工業用糸立て台、ドライバー、油さし、スムース押え、糸通し器、フットコントローラーなどを付属。

「ずばり、次のターゲットは男性です」

アックスヤマザキの代表取締役の山崎一史さんは、発表にあたり「ずばり、次のターゲットは男性です」と宣言した。

アックスヤマザキの代表取締役の山崎一史さん

同社は1946年に、現代表・山崎一史さんの祖父である山﨑卯一郎さんが創業した、家庭用ミシンメーカー。山崎一史さんは2005年に、ミシン業界が厳しい時代に入社。かつては家庭に一台のミシンを持っているのが普通だったが、周囲の人に聞いてもミシンを持っている人が少なく、ミシン業界がシュリンクしていく様子を実感したという。

そんな中、2015年には、ミシン業界で生き残っていくには、「社会に必要とされる製品を作っていく必要がある」と強く思いつつ、代表取締役に就任。そして2016年に、ミシン離れの状況をなんとかしようと企画したのが、「毛糸ミシンHugシリーズ」だった。

「リサーチをしていると、小学生の時にミシンを使って、苦手に感じた人が多いことがわかりました」

そこで「毛糸ミシンHugシリーズ」では、子供でも扱いやすいシンプルな仕様とした。

「同シリーズを手掛けた後に、今度はお母さん方にヒアリングを重ねていきました」

そして2020年にリリースされたのが「子育てにちょうどいいミシン」だ。あえて多機能化せずに、小型軽量化を進めながら、サッと取り出して子供のための縫い物が作れる機能に絞り込んでいる。山﨑さんが「ミシンのハードルを下げたモデル」と位置づける同機は、新型コロナ禍という特殊な状況だったこともあり、ヒット商品となった。

山崎一史さんが代表取締役になってから、「毛糸ミシンHugシリーズ」や「子育てにちょうどいいミシン」など、ターゲットを絞り込んだ製品をリリース。それぞれヒット商品となった

「毛糸ミシンHugシリーズ」と「子育てにちょうどいいミシン」で、ある程度の成功をおさめた山﨑さんは、これまで以上に「ターゲットを絞り、その方々のニーズを解決していくミシンを作っていく」考え方になっていったという。

そして3機種目のミシンが、今回の「TOKYO OTOKO ミシン」。

なぜターゲットを男性にしたかと言えば、「ミシンは女性が使うもの、楽しむものという文化がありました。これまでは、女性に偏り過ぎていたと感じたんです」

そこで今回はターゲットを男性に設定し、「男が料理するイメージ」で「男がミシンを使う」という設定で、製品を企画したという。かつては男性が厨房へ行くのは、あまり良しとしない感じだったが、今では男性も料理をするようになってきた。ミシンでも、そうしたイメージを覆したい。そんな思いを込めて、「TOKYO OTOKO ミシン」を企画したという。

「今回のミシンであれば、レザーの名刺入れやパソコン、タブレットケースなども簡単に作れます。厚手の帆布を使ったキャンプ用バッグも自分で作れるんです。ありものではないバッグが欲しいとか、ちょうど良いサイズのものが欲しいとか、そうした方にぜひ作っていただきたいです」

発表会では、山﨑さんが自ら作ったタブレットケースやサーフボードのカバーなどを見せてくれた。また着ているデニムパンツも自身で作ったものだという。

ミシンを操る山﨑さん
自身で作ったデニムパンツを着ている
タブレットケースなども自作

「正直、デニムパンツを作るのは簡単ではなかったです。でも、デニム地にこだわろうとか考えると、作る前からワクワクしました。男性って、料理もですが、素材からこだわったりしますよね。そうした楽しみ方が、このミシンを使ってできるんです」

山﨑さんは、「TOKYO OTOKO ミシン」が一気にヒットするような製品ではないとする。そうではなく、じわじわと販売実績を重ねていき、ミシンを使う男性が増えていって欲しいという。そして最後に、次のように締めくくった。

「今回のようなチャレンジを、これからも続けていきたいです。そしてミシンが一家に一台あって、ミシンを使うのが特別ではない……そんな世の中になることを目指しています」