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アイリスオーヤマ、あえて「米をおどらせない」炊飯器

瞬熱真空釜炊飯器 RC-IF50-B

アイリスオーヤマは、米を“おどらせない”ことで粒を立たせる「瞬熱真空釜炊飯器 RC-IF50-B」を8月6日に発売する。5.5合炊きで、店頭予想価格は60,980円。同社炊飯器のフラッグシップモデルと位置づけられる。

かまど炊きの味を再現するというIHジャー炊飯器。他社では米をおどらせることで1粒1粒に熱を通す技術を特徴とする製品がある中、あえてアイリスオーヤマは“おどらせない”ことで米の粒立ちやツヤなどを追求した。2013年より精米事業にも参入している同社が、その知見も活かして開発した。

精米事業などの知見も活かした
炊き上がりのご飯

同社のLED照明で使っている熱伝導技術のヒートパイプを業界で初めて炊飯器に応用。高速な熱伝導で、より均一な加熱を行なう。これにより水の対流を抑制して米をおどらせないことで、米同士の摩擦を防ぎ、ふっくらと粒立ちがよくツヤのあるご飯に炊き上がるという。

この技術を活用するため、釜の内側と外側の間に4mmの真空空間を設け、作動液を封入。ヒーターで加熱された作動液が蒸気になって瞬時に釜の上部まで移動し放熱する。

釜の上部と下部で温度差が少なく、ご飯の炊きムラも防いでどこをとっても米粒が崩れないとしている。

瞬熱真空釜
瞬熱真空釜(右)と、従来の内釜(左)
同社が社内にかまどを作って検証したところ「実はおどっていなかった」という
ヒートパイプの仕組み
釜に作動液が入っており、熱を瞬時に伝える
釜全体へ均一に熱が入り、温度のムラを防ぐ
ヒートパイプ技術のデモ。熱湯に棒の先端を入れると、その熱が瞬時に全体へ伝わった

米の分量に合わせて最適な水量を計測できる量り炊き機能のほか、50種類に適した炊き上がりを実現する銘柄炊きに対応。よそったご飯の量からカロリー目安を算出することもできる。

炊飯容量は最大1L(5.5合)。定格消費電力は1,240W。通常の炊飯だけでなく、低糖質のご飯も最大3合炊ける。おこわや玄米、麦飯にも対応。

本体サイズは249×353×239mm(幅×奥行き×高さ)、重量は6.1kg。電源コード長は0.9m。カラーはブラックでマット仕上げ。フタは凹凸のない表面にすることで手入れもしやすくした。

RC-IF50-Bの本体と内釜
天面

お米マイスターが「甘味や粘り」とは対極の「粒立ちとツヤ」に太鼓判

BtoCメーカー事業本部 小型家電事業部の勝間浩之統括事業部長は「瞬熱真空釜炊飯器」について、在宅時間の増加に伴う内食(うちしょく)需要に合わせて顕在化した「よりおいしいご飯や料理にこだわりたい」ニーズに応えると説明。

同社調査において、従来モデルの購入者が「粒立ち」や「ツヤ」を評価する意見が多かったことから、その要素をさらに高めるために今回の“おどらせない”方式とした。

LED照明のヒートパイプ技術を応用したことについては、社内での技術交流により実現したものだという。

精米事業を手掛けるアイリスオーヤマの「米屋がつくる炊飯器」として展開

開発責任者である同社家電開発部 調理家電課の河阪雅之マネージャーは、「本物のかまど炊きに極限まで近づけるための結論」として今回の方式を採用したことを説明。同社では「極み一粒炊き」と呼んでいるとのこと。

同社の従来製品にもある「圧力IH」ではなく、今回は「IH」である点についても「よりかまどに近づけるため」に選んだことだという。

ゲストとして、五ツ星お米マイスターの西島豊造氏も登壇。これまで多くの炊飯器開発にも関わってきた西島氏は「今までは、ご飯をあまり食べない人においしいものを提供して消費を拡大するという目的から、圧力炊飯器で“もちもち”という言い方で粘りや甘味を表現してきた。今回の(アイリスオーヤマの)炊飯器は全く逆。今まではギラギラとしたツヤだったが、やさしいツヤ。ふっくらした中にある甘さもしつこくなく、噛むことによって甘さがやさしく広がる。のどごしも、するっと入っていく」と説明。「炊飯器は次のステージに来た」と高く評価した。

西島氏は、このご飯に合うおかずやおいしい食べ方として「旅館の朝ごはんなどの冷たいおかず」や「卵かけごはん」を挙げた。また、おすすめの銘柄については「粒立ちを感じるなら、つや姫が抜群。酢飯にすると最も良さが出た。それとは真逆のゆめぴりかも捨てがたい」とした。

左から、家電開発部 調理家電課の河阪雅之マネージャー、BtoCメーカー事業本部 小型家電事業部 勝間浩之統括事業部長、五ツ星お米マイスターの西島豊造氏