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LIXIL、複数の宅配物を受け取れ、集荷依頼もできる「IoT宅配ポスト」

 LIXILは、複数の宅配物を受け取れ、集荷依頼もできるIoT宅配ポスト「スマート宅配ポスト」を10月1日に発売する。インターホン・ポスト・フレーム、無線LAN搭載ホームユニットなどからなる"代表セット"の価格は266,000円(税抜)。

IoT宅配ポスト「スマート宅配ポスト」

宅配物増加による課題と、宅配ポストの普及率

 複数の宅配物を受け取れ、集荷依頼もできるIoT宅配ポスト。戸建て向けとしては業界初となるIoT対応の宅配ポストだという。

 戸建てに設置される郵便ポスト・機能門柱市場で、同社は34%のシェアを持ち、年間48万台を販売するが、同社 理事 LIXIL Housing Technology Japan エクステリア事業部 エクステリア事業部長・庵原 岳史氏は「宅配物の再配達が社会問題にもなっていますが、国土交通省の調査によれば、2017年の宅配便個数は42億個、そのうち約2割が再配達という状況です。さらに再配達時のトラックが排出すCO2は42万トンにもなり、環境問題としても深刻と言えると思います。

 同時に、共働き世帯やネット通販利用者の増加に伴い、宅配ボックスの需要は高まっているものの、戸建住宅用の宅配ボックス普及率は1%未満という状態です。しかしながら、宅配ボックス設置意向者の50%が1日に複数回の荷受けを経験し、32%が集荷依頼を希望していることも、調査により分かりました。

 現在、集合・戸建て住宅を合わせた宅配ボックス市場は、165億円程度ですが、2023年度には550億円に拡大が予測されています。我々は、ユーザー、EC事業者、宅配業者が抱える問題を解決し、戸建てのポストを宅配ポストに変え、普及率をアップさせるべく、この「スマート宅配ポスト」を発売します」と語った。

同社 理事 LIXIL Housing Technology Japan エクステリア事業部 エクステリア事業部長・庵原 岳史氏
2017年の宅配便個数は42億個、そのうち約2割が再配達という状況
現在、戸建住宅用の宅配ボックス普及率は1%未満
集合・戸建て住宅を合わせた宅配ボックス市場は、2023年度には550億円に拡大
郵便ポストを宅配ポストへ転換していきたいという、郵便ポスト・機能門柱市場で34%のシェアをもつ同社

「スマート宅配ポスト」の荷物受け取り・集荷の仕組み

 すでに同社が展開する、「スマートエクステリア」には、屋内外カメラ、カーゲート用通信ユニットがあり、各機器はホームユニットとDECTで接続されている。ホームユニットが2.4GHz帯でWi-Fiと接続することで、専用アプリ経由でスマートフォンなどから利用できるようになっている。

 「スマート宅配ポスト」同様の仕組みで動作し、複数の宅配物を受け取れ、集荷依頼も行なえる。ボックス部分は二重扉になっており、外扉は施錠なしで誰でも開閉が可能。

 1個目の荷物の配達時は、外扉を開けた後、操作パネルのタッチと内扉の開閉だけでOK。2個目の荷物の配達の場合は、1個目の荷物の安全を確保するために動作が異なり、配達員はインターホンで家主を呼び、スマートフォン経由で応答した家主が内扉を解錠する、という動作が必要となる。この間外扉が閉まるまでは、家主は配達員の様子をスマートフォン経由で閲覧できる仕組み。

 集荷依頼時はまず、家主がボックス解錠用のパスワードを設定して、荷物を入れて施錠する。集荷業者は、ボックスの操作パネルで、家主から伝えられたパスワード入力すると、内扉が開いて、荷物をピックアップできる。このパスワードに利用できる文字は「1~4」だけだが、6桁までをパスワードに設定可能。約4,000通りのパスワードでセキュリティ対策できるとしている。

DECT接続したホームユニットを経由してWi-Fiと接続する
本体の外扉を開けたところ
1個目の荷物が配達完了すると、スマートフォンに通知が送信される
2個目の荷物が配達されると、家主のスマートフォンに配達員の様子が動画で送信される
室内に設置する、ホームユニット
ホームユニットの側面

「スマート宅配ポスト」の仕様や今後

 展示されていた「スマート宅配ポスト」は、郵便ポスト、インターホン、カメラ、表札の機能を盛り込み、周囲をフレームで囲ったものだが、「宅配ポスト」単品を地面へ据え置きしても利用できる。

 ボックスの素材は、アルミダイカスト。外から見えるパーツ類を極小化したり、蝶番をインナー型にするなど、スッキリとしたデザインに仕上げたという。

 また通信の安定性を確保するために、ボックスの背面上部の一部を樹脂製とし、ここにアンテナ類を格納したという。ボックス搭載のカメラは従来品から70%縮小化されたもので、操作パネルも、応答性や視認性に考慮したものを採用したという。

 ボックスカラーが3色、フレームが6色、全18通りのカラー展開で、様々な環境にマッチできるデザインだとする。

 専用スマートフォンアプリは、アップデートが可能なほか、ボックス本体やホームユニット内のプログラムもアップデート可能だという。

 本機発売後は、再配達の減少による、ユーザーの利便性、宅配業者の配送効率に関する実証プロジェクトを、宅配業者、EC事業者、自治体等を協力しながら進め、宅配に関する課題を解決していきたいとしている。

外扉と宅配ボックス部の内扉をオープン
宅配ボックス上部の、郵便ポストの内扉をオープン
郵便ポスト部と、操作パネル。パネル部にもカメラを搭載する
青や赤のLEDを搭載する操作パネル
操作パネル説明
門柱部のインターホンにもカメラを搭載
カラー違いの「スマート宅配ポスト」
ポストの投函部を手でオープンしたところ
ボックス背面上部のアンテナ格納部は、樹脂製だという
発売後は、効率的な宅配に関する関する実証プロジェクトを進めていくという