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生豆とのセット販売のみで展開するパナの10万円コーヒー焙煎機
2017年1月19日 11:05
パナソニックは、iPhoneで操作する「スマートコーヒー焙煎機 AE-NR01」を4月上旬に発売する。価格は10万円(税抜)。焙煎機本体と、生豆の定期頒布のセット販売のみで、パナソニックのショッピングサイト「Panasonic Store」で購入可能。生豆パックの価格は、3種セットが月額5,500円、2種セットが月額3,800円(同)。1年間の契約コースとなり、12回に分けて定期頒布される。生豆は1袋200g入り。
コーヒー豆の焙煎具合を、iPhoneなどのiOS端末で調節する家庭用焙煎機。専用の生豆をセットして、「蒸らし/煎る/冷ます」までの工程を行なう。
スマートフォンと本体はBluetoothで連携し、アプリから操作する。生豆のパッケージに記載されているQRコードを読みとると、その豆に最適な焙煎プロファイルを表示。送信ボタンを押すと焙煎がスタートする。アプリの対応端末は、iOS搭載端末のみ。
コーヒー焙煎機とあわせて、生豆と焙煎プロファイルを定期頒布するサービス事業「The Roast(ザ・ロースト)」として展開する。生豆は、季節にあわせて世界各地の豆を厳選して届けるという。
コーヒーの味は生豆と焙煎で9割決まる
パナソニック 商品企画部 商品企画課 課長 図師 和彦氏は、コーヒーの焙煎について次のように語った。
「家庭でコーヒーを淹れる際、注目されるのは主に抽出のプロセスですが、コーヒーの美味しさは生豆と焙煎で9割決まると言われています。美味しいコーヒーの要素は7:2:1といわれていて、7割が生豆、2割が焙煎、1割が抽出です。そこで私たちは、厳選された豆を家庭で自ら焙煎するという、新しいコーヒーのライフスタイルを提案します。世界中の豆を最適な焙煎で楽しむ、自宅で究極のコーヒー体験を実現して参りたいと思います」
月に一度送られてくる生豆のセレクトは、世界各国から生豆の買い付け・輸入をしている石光商事が担当。季節ごとの4つのテーマに沿った、世界各地の豆を届け、自宅にいながら世界中のコーヒーが楽しめるという。生豆は美味しさと安全性にこだわり、スペシャルティーコーヒー協会が定めた項目において、100点満点中80点以上を獲得した豆のみを届ける。
焙煎プロファイルの作成は、2013年「World Coffee Roasting Championship」で優勝した、豆香洞コーヒー 焙煎士 後藤直紀氏が担当。それぞれの豆に応じた、最適な焙煎度が設定されている。アプリでは、焙煎プロファイルを確認して運転をスタートできるほか、豆の特徴や生産地、焙煎士のメッセージなども閲覧できる。月に一度、コーヒー豆を届けるだけでなく、その豆に込められた思いや物語も楽しんでもらいたいという。
図師氏は、「昨今は食生活において、産地や、産地とのコミュニケーションに関心を持つお客様が増えている傾向があります。これまでパナソニックは、さまざまな家電製品を生み出してきましたが、今回は我々だけでなく、パートナーの方々と一緒になって新しい体験を作ることを目指しました。産地、作り手、そしてお客さまとのつながりを通して、新しい食の楽しみや体験を作り出すことに思いを持って取り組んでいます」と述べた。
アプリでは、気に入った生豆を追加で購入することも可能。クラウド連携により、ユーザーに人気の豆の情報も集約される。
なお、焙煎プロファイルは豆ごとに最適な状態が設定されているが、好みに応じて「浅煎り/中煎り/中深煎り/深煎り」などを選択可能。自分好みの味を追求でき、多様な味に出会えるとしている。
焙煎技術は、イギリスのベンチャー企業IKAWA社と提携。熱風焙煎で、焙煎プロファイルに合わせて熱風温度や風量をきめ細やかに制御し、ムラなく焙煎するという。雑味の原因となるチャフ(生豆表面の皮)は、サイクロン技術を応用して自動で分離する。
焙煎量は50g/回。焙煎時間は約15分。
本体サイズは、130×238×342mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は4.6kg。消費電力は1,320W。カラーはシルバー。
焙煎したての新鮮豆と2カ月後の劣化豆で比較
また、コーヒー豆は、焙煎の仕方によって味が変わるだけでなく、新鮮なものと劣化したものでも風味に違いが出てくる。会場では、焙煎してから3日の新鮮豆と、焙煎から2カ月経った劣化豆で、嗅ぎ比べなどの比較が行なわれた。新鮮豆は、焙煎した直後よりも3日ほど経ったほうが最適な状態だという。
まず、嗅ぎ比べでは、劣化豆は酸味が強くコーヒーらしくなかったが、新鮮豆はきちんとコーヒーの香りがしていて深みのある印象だった。
続いて、焙煎士 後藤直紀氏によるハンドドリップの実演も行なわれた。ミルで挽いた劣化豆にお湯を注いでコーヒーを抽出すると、すぐに豆がお湯を吸ってしまいしぼんでいた。一方、新鮮豆にお湯を注ぐと、豆とお湯がしっかり混ざりあってふくらんでいる。これは、炭酸ガスの量が違うためで、新鮮な豆は炭酸ガスをしっかり含んでおり、お湯を注ぐとふくらむのだという。
後藤氏は、「コーヒーの淹れ方で味はあまり変わりませんが、豆の鮮度は味に影響を与えます。抽出したときにしっかりふくらみ、豆の香りが豊かなのが、新鮮なコーヒー豆の目安です」と話す。
同じ豆でも焙煎度によって差は歴然。好みの味を追求
このほか、飲み比べも実施。「ブラジル サントアントニオ地区」(浅煎り/深煎り)と、「エチオピア イルガチャフィ地区」(浅煎り/深煎り)の計4種類で飲み比べた。
実際に飲んでみると、ブラジル産の浅煎りは酸味が強く、深煎りはどっしりとしていて濃い味だった。エチオピア産の浅煎りはフルーティーで甘酸っぱく、深煎りは甘酸っぱさがなくなってまろやかになり飲みやすい印象。個人的には、エチオピア産の深煎りが一番好みの味に近かった。
最後に後藤氏が、会場の参加者にどの味が好きだったかアンケートを取ったところ、4つの味それぞれに票が入り、1つの味に偏ることはなかった。
「焙煎度が同じでも豆が違うと味は変わり、同じ豆でも焙煎度によって味は変わります。そして、コーヒーの良いところは、こうしてさまざまな豆、焙煎度で飲んでもらうとキレイに好みが分かれることです。色々試してみることで、自分好みの味が見つかります」(後藤氏)と述べた。