長期レビュー

東芝「トルネオV VC-SG512」 後編

~豊富なアタッチメントで家中、掃除がしたくなる!
by 神原サリー

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



 コンパクトで軽量な東芝のサイクロン掃除機「トルネオV」のレビュー記事の後編だ。前編では製品の特徴のおさらいと、各パーツの紹介や使ってみてのファーストインプレッションを紹介したが、後編では多彩なアタッチメントを使って掃除してみた様子やお手入れについて紹介していく。

前編は→コチラから

東芝サイクロンクリーナー「トルネオV VC-SG512」スタンド収納した際に背面の凹みに手を掛けると持ち運びできる。が、取扱説明書によると「収納した状態で持ち運ばないでください」とある。残念壁際にもぴたりと吸いついて、たまったホコリを吸引する

かゆいところに手が届くアタッチメントたち

 前編でもお話ししたとおり、トルネオVには「すき間ノズル」「伸縮ロングノズル」「付属品用ホース」「洋服布用ブラシ」「ロングブラシ」「ふとん用ブラシ」の6点の付属品がついており、専用の収納バッグにしまっておけるのも特徴の1つ。ざっと床だけを掃除したいという時には、わざわざバッグを持ち出す必要はないが、丁寧に掃除をしたい日にはまとめて持ってこられるので、必要に応じて取り出して付け替えることができて、とても便利だ。

 たとえば廊下の掃除をしていて、幅木の上の細いところのホコリが気になるときには、伸縮延長管の先にすき間ノズルをセットして使えばきれいになる。

 最初、ホースの先についたワンタッチ手元ブラシを回転させてセットし、幅木の上のホコリをとってみようとしたが、これだと細いところには密着しないため、ホコリをかき落とせるようでいて、実はあまりうまくいかない。ワンタッチ手元ブラシは、机や棚の上など、自分の目線の高さでのホコリを取る際に一番役に立つように感じた。ブラシも硬すぎず、弾力がある素材なので、家具に傷をつける心配もない。ただ、あまり力を入れ過ぎるのは禁物。そっとホコリを払いながら使うようにしたほうがよさそうだ。

伸縮延長管の先にすき間ノズルをつけることもできるすき間ノズルを装着したところ幅木の上にたまったホコリもすき間ノズルをぴたりと当てて使うと楽々きれいになる
ホースの先についたワンタッチ手元ブラシワンタッチ手元ブラシを回転させてセットしたところワンタッチ手元ブラシは机や棚の上など、高すぎないところの掃除に便利

 今回、アタッチメントの中で特に便利だと思ったのが、ブラシが回転して、使う場所に応じて角度が選べるロングブラシと伸縮ロングノズルの組み合わせ。リビングに置いてある大型の液晶テレビの奥にある出窓の桟の部分など、これまでだとテレビを動かすか、出窓の棚の上に乗らないと掃除ができなかった部分にもしっかり届き、しかもブラシ部分が浮いてしまうことなく密着するのが実に便利なのだ。

付属の伸縮延長管とロングブラシを組み合わせると、家具などを片づけなくても、手の届きにくいところの掃除ができる。なお、本来は伸縮ノズルと本体の間に付属品ホースを取り付けるのが正しい用法となる(以下同じ)ロングブラシは角度が選べるので、狭いすき間に差し込んで掃除をすることも可能だブラシな長めなので一度に広い部分の掃除ができて便利

 また、テレビ台のガラスの棚の部分の細いすき間にも奥までブラシが届き、角度を調整することで腰をかがめるなどの窮屈な姿勢をとらなくても、楽々きれいになる。

 高いところの掃除にも活躍する。エアコンの室内機の上にたまったホコリや、背の高いグラス収納棚の上、書棚の上のホコリなど、大掃除の時くらいしか払うことのなかったところの汚れがみるみるうちにきれいになっていって、気分まですっきり。イスなどに乗らなくても普通の姿勢のままでOKなので、次々に掃除をしてみたくなる。伸縮ロングノズルでただ“届く”だけでなく、回転部の調整で角度が変えられ、掃除したいところにぴたりと沿うのがいい。しかも手元で「ゴミ残しまセンサー」を見て、きれいになったどうかを確認できるので、本当に便利なのだ。

エアコンの上の部分も楽々掃除ができるイスに乗らないと届かない、背の高い家具の上も掃除もご覧の通り書棚の上の掃除も久しぶりにできた

 付属品用の細いホースを取り付けて、その先に洋服布用ブラシをつければ、カーテンのホコリとりや、洋服のブラシ掛けができる。片手で布地を少し引っ張るようにしながら、ブラシをかけていけば、カーテンや衣類がブラシに吸いついてしまうことなく使える。

付属品用のホースの先に洋服布用ブラシを取りつけたところカーテンなどは片手で布地を引っ張りながら、ブラシでなでるようにするとスムーズ

 我が家は、花粉などのアレルギーに悩む家族がいないこともあり、普段ほとんどすることのない「寝具の掃除」にも挑戦してみた。カーテンの掃除の際にも使った付属品用の細いホースに、ふとん用ブラシをセットして掛け布団の上を転がしてみる。細いホースがぐんと伸びるので、本体を動かさなくてもふとんの端から端までかけられる。ただし、この場合は手元で「ゴミ残しまセンサー」のランプの点灯具合を確認できないので注意が必要だ。寝具のホコリやハウスダストのとれ具合を確認しながら掃除をしたい場合は、ホースの先の手元スイッチの先に、そのままふとん用ブラシを装着して使うといいだろう。

 これまでふとんには、そんなにホコリが付いていないと思っていたが、かけ布団1枚程度でも、けっこう綿ボコリや粉状のホコリがとれていてびっくりした。ふとん乾燥機は使っているが、ふとんの掃除というのも習慣にしたほうがいいのだとあらためて認識したのだった。

付属品用のホースの先にふとん用ブラシを取りつけて、日ごろあまり掃除をしないふとんのホコリ取りにもチャレンジふとんに吸いつくことなくコロコロころがっていくので、使いやすい
付属品用の細いホースを使わずに、普通のホースの先にそのままふとん用ブラシを取りつけて使うこともできるわずかな時間しかふとんの上を転がしていないのに、びっくりするほど綿ボコリや細かなホコリがとれていてびっくり

ゴミ残しまセンサーが点灯しない! でもホコリを取れば大丈夫

 多彩な付属アタッチメントを使って、高いところからカーテン、ふとんまで、家中の掃除に励んだ翌日のことだ。いつもの床掃除をしようとトルネオVのスイッチを入れると、ちゃんとゴミは吸い込んでいるものの、「ゴミ残しまセンサー」がちっとも赤く点灯しない。どうしたのかと、取扱説明書をよく読んでみると、「センサーが汚れると正しくゴミを検知できないため、ゴミ残しまセンサーランプが点灯、または消灯しないことがあります。この場合はセンサーをお手入れしてください(→16ページ)」とある。

 半信半疑のまま、16ページを見てみると、ゴミ残しまセンサーの場所とお手入れ方法が書いてある。ゴミ残しまセンサーのランプは手元のスイッチ部分にあったが、センサーそのものの場所は、掃除機本体とホースの連結部分付近にあるようだ。

 これまでずっと本体にホース、ヘッド付きの伸縮延長管をセットしたまま、立てかけて部屋の隅に置いていたのだが、センサー部分を確認するために、本体からホースを外して中をのぞいてみた。すると、本体奥の連結部分には、かなりホコリがたまっている。外したホースの先を見てみるとこちらにも微細なホコリが白くたまっている。

 まずはホースの先のホコリを拭い取り、本体の連結部にもキッチンペーパーを丸めて差し込み、くるりと回してホコリを拭い取ってみた。すると左右2か所に小さな丸いセンサーらしきものが現れたではないか。なるほど、ここがホコリに埋もれてしまって、センサーとして働かなくなってしまったようだ。センサー部のお手入れ終了後に、再びいつものように掃除機をかけてみると、今度はゴミ残しまセンサーのランプが敏感に点滅するようになった。これで一件落着だ。

掃除機本体からホースを抜いてみたところ。連結部分に細かなホコリがたまっていた本体の連結部分。奥のほうに微細なホコリがかなり積もっているのが見える。ホコリがたまっている部分の左右2か所に「ゴミ残しまセンサー」があるキッチンペーパーでホコリを拭いとると、センサーらしきものが顔を出した

 掃除の頻度や家の汚れ具合にもよると思うが、今回センサーの感度が悪くなったのは約2週間使った後のこと。アタッチメントを使って、高いところやふとんなど、日ごろ掃除をさぼっていた場所の掃除をかなり熱心に行なったからかもしれない。通常の使い方なら、3週間~1カ月程度は大丈夫だろう。このセンサー部のお手入れを面倒と思うかどうかは、使う人次第だろう。個人的には、たまにセンサー部のホコリを拭いとるくらいなら、たいした手間ではないように思う。

 ちなみに、このゴミ残しまセンサーは、感度の設定を「ふつう」「しっかり」「おてがる」の3段階に設定変更できる。工場出荷時は「ふつう」だが、微細なホコリもしっかり取りたい、とにかく徹底的に掃除をしたいという人は、感度を上げるといいだろう。反対に、ランプが点灯し過ぎることが気になるようなら、弱めるという手もある。設定の仕方は、電源コードを引き出してプラグをコンセントに差し込んだら、手元のスイッチ部分の「ブラシ切/入」ボタンを5秒以上押すと、ゴミ残しまセンサーのランプが今の設定状況に応じて点灯、点滅(速い・遅い)するので、「ブラシ切/入」ボタンを押して選べばOK。設定は次に変更するまで記憶される仕組みだ。

ゴミ残しまセンサーの感度設定は、電源プラグをコンセントに差し込んだ後で、「ブラシ切/入」ボタンを5秒以上押して行なう工場出荷時は「ふつう」だが、「しっかり」「おてがる」の3段階に調整が可能だ

ゴミ捨ても、お手入れも簡単

 ゴミ残しまセンサーのお手入れに続いて、ダストカップなどのお手入れなどについても説明しておこう。ダストカップ内のゴミが「ゴミすてライン」に到達したら、ゴミ捨てのサイン。取り外しボタンを押して、赤いカバー部を外し、カップを逆さにしてゴミを捨てる。この際に吸込み口からゴミがこぼれないように、吸込み口の四角い穴を上にして捨てるのがポイントだ。ゴミは圧縮されているので、舞い上がることなく捨てられる。

 ダストカップ内に微細なホコリがくっついてしまうことは、あまりなかったが、気になるようなら水洗いも可能だ。分離ネットやすき間についているホコリは、ダストカップの裏についているブラシで払い落とそう。一番ホコリがたまるのは、ゴミを圧縮する部分のネット部なので、ここはゴミ捨ての際には必ずチェックして、ブラシで落とすようにしたい。

ゴミ捨ての際にはダストカップ脇の「取り外しボタン」をダストカップカバーを取り外して行なう吸込み口の四角い穴を上にして捨てるのがポイント(吸込み口からゴミがこぼれないように)ゴミは丸く圧縮されているので、ホコリが舞い散りにくい
ダストカップの裏にはお手入れ用のブラシが装着されているダストカップカバーのすき間部分や分離ネットにたまったホコリをブラシで取り除く12気筒のサイクロン部とつながるところにもけっこうホコリがたまっている

 髪の毛などが絡まりやすいブラシ部分だが、ここはヘッドの上部カバーを上から外せば、簡単に取り外せるので便利だ。回転部や車輪にゴミが絡むと、せっかくの自走式のブラシが回転しなくなるので、ここは週に1~2度、点検したほうがよさそうだ。

ヘッドの上部カバーは、上部左右にあるつまみを外側にスライドさせると外れる仕組みカバーを外すとブラシが出てくる向かって右側のベルト部分からブラシを外して、取りだす。回転ブラシ部分とカバーは水洗いも可能だ

 もう1つのお手入れポイントは、本体の背面にある排気清浄フィルターとプリーツフィルター。本体にあるメンテナンスサインが点滅したら、つまみを引っ張って取り出し、手のひらではたいてホコリなどを取り除こう。今回の約2週間程度の使用期間では、メンテナンスサインは点滅しておらず、フィルターをチェックしてみた際にも、ほとんど汚れはなかった。サイクロン部分でしっかりとゴミと空気を分離しているため、排気フィルターは汚れないということだろう。ここはかなり感心したポイントだ。

本体のメンテナンスサインが点滅したら、排気清浄フィルターとプリーツフィルターのお手入れが必要排気清浄フィルターを引き出したところ。スポンジ部分が排気清浄フィルター
排気清浄フィルターを外すとプリーツフィルターが出てくる手のひらで数回たたいてホコリを払い落とせばOK。2週間程度の使用期間ではほとんど汚れはたまっていなかったようだ

掃除好きはもちろん、掃除嫌いの人も“家中きれいにしたくなる”サイクロン

 正直に白状すると、筆者は掃除が好きな方ではない。掃除機を出してくる手間も面倒だし、アタッチメントなどはそんなに必要ないとさえ思っていたくらいだ。お掃除ロボット+手軽なスティッククリーナーの組み合わせが最強と思っていた。一方、家人はメカ好きだし、視力がいいので家の中の汚れが気になるのか、積極的に掃除をしてくれる。

 そんな掃除嫌いな私が、全く掃除を苦に思わず楽しくできる掃除機がこのトルネオVだったし、掃除好きな(だからこそ掃除機にうるさい)家人が「ようやく満足のいく掃除機に出合えた」と豪語したのがトルネオVなのだ。

 掃除をしている際の音はけっこううるさいが、掃除の後の「カタカタ音」もないし、昼間に掃除をするなら問題がないだろう。お手入れもさほど面倒でなく、コンパクトで軽い使い心地なので、女性や年配の人には本当に使いやすい掃除機だと思う。それに加えて、案外メカ好きの男性にも喜ばれるのではないだろうか。



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2012年10月9日 00:00