家電製品ロングレビュー
東芝の「トルネオV」は“掃除をしたくなる掃除機”だ! [前編]
by 神原サリー(2013/11/25 00:00)
仕事柄、わが家にはかなりの数の掃除機がある。サイクロン、紙パック、スティッククリーナー、ロボット掃除機と種類も大きさも様々だ。そうした中で、日々の掃除に使う際にはどれを使うのかというと、万遍なくと言いたいところだが、実際は使いやすいもの、お気に入りのものにどうしても偏ってしまう。
その筆頭が、昨年の発売時にレビュー記事を書いたのをきっかけに使用することとなった東芝の「トルネオV」だ。レビュー時にもその使いやすさなどを紹介したが、1年間使ってみた今、後継機種となる「トルネオV VC-SG513」をあらためて使ってみて、その特徴やお気に入りポイントをお伝えしたい。
メーカー名 | 東芝ホームアプライアンス |
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製品名 | トルネオV VC-SG513 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | yodobashi.com |
参考価格 | 79,800円 |
12気筒のサイクロンでゴミを分離する“フィルターレス”の本格派
そもそも、トルネオVとはどんな掃除機なのか。
大きなゴミと空気を遠心分離して圧縮した後、ダストカップの上部に搭載された12気筒のサイクロンの強力な遠心力でミクロのゴミを99.9%分離する「バーティカルトルネードシステム」を採用する“サイクロンクリーナー”だ。“サイクロンクリーナー”とひとくくりしても、実は遠心分離をしていないもの、遠心分離はしていてもフィルターが搭載されているものなど、様々だが、トルネオVはフィルターに頼ることなく、ゴミをしっかり集じんする“本物”のサイクロンクリーナーだ。吸引力を低下させる要因となるフィルターの目詰まりを心配することもなく、フィルター清掃のための“カタカタ音”もない。
東芝のフィルターレスサイクロンの初代モデルとして「トルネオW」もあるが、こちらはパワフルなものの本体サイズが大きく、日本の家屋には取り回しがあまりよいとはいえず、特に女性には使いにくいところがあった。
一方、トルネオVは、2つのサイクロンを垂直に設計しているため、コンパクトながら強力な吸引持続力のあるサイクロンクリーナーを実現。1つ目のサイクロンでゴミを圧縮し、ゴミ捨て時にもホコリが舞い上がりにくい構造となっている。本体重量3.3㎏と軽く、大きさもぐっとコンパクトになっているところも魅力だ。
トルネオVは“掃除をしたくなる掃除機”
とはいえ、私がトルネオVに惚れ込んでいるのはフィルターレスとか、コンパクトサイズだからというところが主ではない。惚れ込んでいる理由は、掃除機としての大前提である使いやすさにある。
すき間ノズル、伸縮ロングノズル、付属品用ホース、洋服布用ブラシ、ロングブラシ、ふとん用ブラシなど6点のアタッチメントが付属しており、それを入れるための専用バッグまでついている。いざ隙間ノズルを使おうという時になって、「あれ? どこに行ったのだろう」と探し回るという経験は誰でもしているはず。けれど、このバッグのおかげで探し回る必要はない。
しかも、細かな仕切りがついているため整理しやすく、一目でどこに何が入っているかがわかる。梱包されていた段ボールには、このバッグのどこに何を収めればよいのかの説明も書かれているのだが、単に取り出しやすいようにというだけでなく、ノズルの先のブラシが寝てしまわないように、上を向けて入れられるようになど、本当に細かな点まで配慮されている。
掃除があまり好きではないほうだが、この豊富なアタッチメントがあるせいで、時間のある時には、家中、隅々まで丁寧に掃除をしたくなるから不思議だ。“掃除をしたくなる掃除機”といっても過言ではないだろう。
アタッチメントを使える場所がないか探してしまうほど、掃除が楽しい!
豊富なアタッチメントの中でも、一番のお気に入りは、「付属品用ホース+伸縮ロングノズル、ロングブラシの組み合わせ」だ。案外ホコリのたまりがちな天井や照明のスイッチカバー、洗面所やトイレの排気口など、高くて手が届きにくいところでも、本体を床に置いたまま、楽々掃除ができるのがうれしい。
付属品用ホースは、柔らかくて、伸縮性抜群なので使い勝手がよく、布団ブラシと組み合わせての布団や枕の掃除や、ソファなどの掃除にも大活躍する。洋服用ブラシを使う際にも、グイーンと伸びて使いたい場所にフィットするので洋服はもちろん、カーテンにもぴったり。“ほかにも使える場所はないか”と探してしまうほど、掃除が楽しくなる。
通常のパイプの先についている小型のブラシ(すき間ブラシ)も、ヘッドを外すだけで簡単に使えるので、廊下の幅木部分の掃除も気軽にできるのもいい。
ないと困る「ゴミ残しまセンサー」
そしてもう1つ、「これがないと困る!」というほど頼りにしているのが、掃除をしている場所のゴミの有無を赤いランプで知らせてくれる「ゴミ残しまセンサー」だ。アタッチメントを使って高いところの掃除をする際や、ベッドの下など暗くて見えにくいところでも、この赤いランプが消えたら、次に移動すればよい。
このセンサーは見えにくいところの掃除だけでなく、もともと近視で小さいものが見えにくい人や、視力の劣えを感じている年配の人にもとても役立つ機能。「ゴミ残しまセンサー」があることで、誰にでも使いやすいユニバーサル視点での掃除機ともいえると思う。
とにかく、この赤いランプに慣れてしまうと、ほかの掃除機では物足りなく感じてしまうほどなのだ。
そのほか、床材や汚れ具合に応じて吸引力を自動で調節してくれるのと「ecoモード」の使い勝手も気に入っている。「強・弱」のモードもあるが、これを使うことはほとんどなく、掃除はいつも「ecoモード」にお任せ。薄い敷物を吸い込んでしまうようなこともないため、愛犬・大和のハウス(寝床)に敷いてある布団やラグ、トイレのマットなどもストレスなく掃除できる。ヘッドの自走感についても思うことだが、吸引力や自走力のバランスがいい掃除機なのだ。
次回は最近注目を浴びている“布団掃除”に活躍する布団ブラシの機能や使い勝手のほか、本体のお手入れについて紹介するので、お楽しみに!