長期レビュー
富士通ゼネラル「nocria(ノクリア) Xシリーズ」
富士通ゼネラル「nocria(ノクリア) Xシリーズ」 その1
~今話題の“ガンダムエアコン”実際に使ってみました!
(2013/6/13 00:00)
まず見た目が全く新しい!
夏を迎えるこの時期、家電量販店のエアコン売り場は盛況だ。様々なメーカーの製品が一同に介している訳だが、ことエアコンは家電製品の中でも違いが分かりにくい。色はどれも白で、形は長方形。見た目だけ見るとどれも同じように見える。そんなエアコン売り場で、ひときわ目立っているのが、今回紹介する富士通ゼネラルの「nocria(ノクリア) Xシリーズ」だ。
メーカー名 | 富士通ゼネラル |
---|---|
製品名 | nocria(ノクリア) Xシリーズ 18畳用「AS-X56C2」 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | ビックカメラ.com |
購入価格 | 228,000円 |
本体下に送風口が付いたいわゆる“普通のエアコン”の両サイドに小さな送風口が2つついたユニークな形。しかも、この両サイドの送風口は、本体の送風口は違う動きをするという。これまでのエアコンとは、全く違う形や機能で、一部では“ガンダムエアコン”とも呼ばれているこの製品。果たして、その実力はどうなのか!? 今回から3回に渡ってレポートする。
両サイドの送風口はサーキュレーターの役目を果たす
まずは、nocria Xシリーズ一番の特徴でもある両サイドのファンについて見ていこう。製品ページによると、この両サイドのファンは、室内の空気を循環させるために搭載したもので、通常エアコンから出される冷気/暖気ではなく送風機能だけを備えたものだという。送風専用のファンがあると何がいいのか――。
従来のエアコンの使い勝手を思い出して欲しい。夏の暑い時にエアコンをガンガンにして使う。最初は冷風が心地いいのだが、しばらく使うと足下が冷えすぎてしまっていたことはないだろうか。逆に冬の寒い時、しばらく暖房運転を続けると、頭がボーッとしてしまう、あるいは立ち上がると室内の上の空気だけが暖まっているということがなかっただろうか。
これらの現象は何も使っているエアコンが悪いというわけではなく、自然の原理として当然なものだ。つまり暖かい空気は上に、冷たい空気は下に行くという原理だ。最新のエアコンではセンサーによる温度制御や気流制御などで、この不快感を抑える努力をしているが、一番てっとり早く室内の温度差を解消する方法は、サーキュレーターや扇風機などを使って室内の空気を循環させてやることだ。空気と一緒に冷気や暖気を循環させることで、室内温度を効率よく快適にすることができる。送風することで、体感温度も変わり、節電効果も期待できるとして、ここ数年エアコンとサーキュレーター、扇風機の併用が推奨されている。
話をnocria Xシリーズに戻すと、サイドファンは、サーキュレーターや扇風機の役割を果たすために搭載されている。下に行きがちな冷気や、上に行きがちな暖気をサイドファンからの送風で部屋全体に循環させるというのだ。
これまでも、気流を効率よく循環・制御するために、送風口に大型ルーバー(風向きを制御するための板を平行に配置したもの)を備えたエアコンはあったが、それらのエアコンとnocria Xシリーズが決定的に違うのは、これまでのエアコンは冷気/暖気で気流制御していたが、nocria Xシリーズでは、暖気/冷気とは違う風でも気流を制御するということ。事実、サイドファンから出る風は、中央の送風口から出る風とは異なり、温度はコントロールされていない。あくまで「送風専用」、「気流制御専用」のファンなのだ。
しかも、サイドファンの送風は、エアコン本体の動きと連動しているため、サーキュレーターや扇風機以上の効果が期待できる。たとえば、冷房運転の場合、下に行きがちな冷気を室内全体に循環させるため、冷気は水平方向に、送風は下方向に行なう。これによって、身体に冷気が直接あたることなく、「涼しいけど寒くない」という理想的な冷房運転が実現するのだという。
従来の製品ラインナップに当てはまらない全く新しいモデル
これまでにない新しい機構を搭載した製品だけに、前置きが長くなってしまった。実際、この機構はかなり特殊で、富士通ゼネラルでも新しい試みだという。実際、今年の富士通ゼネラルのラインナップは、このXシリーズと従来からあるZシリーズという2つが「ハイエンドモデル」として位置づけられている。Xシリーズは、従来からある製品ラインナップの枠に当てはまらない、全く新しいモデルなのだ。
今回製品を設置したのは、14畳のリビング。3畳程度のキッチンとつながっているリビングダイニングなので、製品は18畳用の「AS-X56C2」を選んだ。料理をしたりして熱を出すキッチンとリビングがつながっている場合、少し容量が大きめの製品を選んだ方が良いという。
エアコン本体の両サイドに独立したサイドファンが付いているだけあって、本体サイズは大きめ。設置工事に来てくれた業者の方も「このエアコン、取り付けるの初めてなんですよ。サイドにファンが付いているので、持ち方や取付が違うのかと不安だったんですけど、大丈夫でした」と話していた。業界の中でも、話題のエアコンのようだ。
驚くほど早く快適に!
家電量販店の店頭で見た時は、確かに「ごついな」「大きいな」という印象があったが、実際部屋に設置してみると、それほど違和感は感じない。前面パネルのデザインもシンプルですっきりした印象だ。
しかし、実際使ってみると、その印象は2つの意味で裏切られた。まず1つは、その独特の動きだ。スイッチを入れるとサイドのファンが自動で「ウィーン」と動き始めて、「ガンダムエアコン」と例えられるのもわかる。これまでのエアコンにはない動きなので、運転後しばらくは、ずーっと様子を眺めてしまった。
もう1つは、快適性について。サイドファンの効果は想像以上だった。例えば、夏の暑い日、帰宅した室内に熱気が溜まっている状態。これまでのエアコンの場合、運転開始から室内が快適になるまで少なくとも10分くらいはかかっていた。それが、nocria Xシリーズの場合、つけてから5分ほどであっという間に快適さを感じられる。大げさではなく、初めて運転した時に感動してしまったほどだ。サイドファンが、勢いよく送風するため、室内の空気全体が大きく動いて、直ぐに涼しさを実感できる。これまでのエアコンとはひと味もふた味も違う快適性が実感できた。
正直最初は、その独特の形や機構が目新しくて、興味をもった製品だったが、実際使ってみると、機構に裏打ちされた確かな実力を感じられた。我が家のような共働きの家庭では、帰宅してからエアコンをつけるというのが当たり前なので、帰宅してからしばらくは昼間の熱気がこもった不快な状況に耐えなければいけない。しかし、nocria Xシリーズを導入した今年は、その不快な“耐久時間”を例年よりはかなり短くできるだろう。今から真夏が楽しみだ。
次回は、使い勝手に感動したnocriaシリーズならではのリモコンの操作性、気になる省エネ性能について紹介する。引き続きよろしくお願いします。