家電製品ロングレビュー

富士通ゼネラルのガンダムエアコンは暖房時こそ実力を発揮する!

「nocria(ノクリア) Xシリーズ」。設置したのは18畳用の「AS-X56C2」

 東京は二週間ほど前から急に冬になってしまった。急な冷え込みで、我が家は、アウターや布団の用意に慌てたが、唯一暖房器具だけは安心だった。そう、我が家のリビングにはガンダムエアコンこと、富士通ゼネラルの「nocria(ノクリア) Xシリーズ」が、構えているからだ。

メーカー名富士通ゼネラル
製品名nocria(ノクリア) Xシリーズ 18畳用「AS-X56C2」
希望小売価格オープンプライス
購入場所ビックカメラ.com
購入価格225,510円(2013年11月現在)

 普通のエアコンの左右に2つの送風口を装備したXシリーズは、その独特の形と機構で話題になった製品だ。今年の夏から使い始めて、半年以上経つが、冬になって改めて感じた。やっぱりこのエアコン良い!!

 暖かい空気は上に、冷たい空気は下にという自然の摂理は、実は冷房、暖房という空調においては、すごく邪魔なもの。冷房で足下が冷える、暖房で頭がボーッとするというのもこのせいだ。

 それを解決するためにサーキュレーターや、シーリングファンがある。そして、その仕組みをエアコン本体に搭載したのが、Xシリーズなのだ。

 本体左右のサイドファンで、冷房時は室内の空気を攪拌、暖房時は暖かい空気を下に押さえるようにすることで冷房、暖房にありがちな不満を解消した画期的な製品だ。

運転時には、中央の送風口とサイドファンがそれぞれ独立して動く
サイドファンは、運転状況に応じて送風する向きを変える
本体正面

冬こそ実力を発揮

 この機構の有効性は実際使ってみると、一発で実感できる。実際、本体の動きは夏に使っていた時と明らかに違う。夏は、本体中央の送風口とサイドファンがそれぞれ違う方向に送風して室内の空気を攪拌していたが、暖房時は中央の送風口から暖かい空気を、サイドファンからはその空気を下に押さえるように、下方向へ送風している。

冷房時の送風口とサイドファンの動き。サイドファンは下方向に、中央の送風口は水平方向に送風している
暖房時の送風口とサイドファンの動き。暖気を押さえるように、サイドファンも下方向に送風している

 驚いたのはキッチンにいるときの足下に暖かい風がダイレクトに届いたこと。これは、我が家のエアコンの設置場所がおおいに関係する。実は7月に引っ越しをして、エアコンの設置場所が変わったのだ。新居は、リビングとダイニング、キッチンが一間に配置されたいわゆるLDKの間取りだ。エアコンの設置場所は、オープンキッチンのちょうど真横になる。そのため、本体のスイッチを入れると、キッチンの足下に暖かい風が直接届くというわけ。

エアコンの設置場所はキッチンの真横
キッチン側から見た本体。キッチンに立って、作業していると暖かい風がダイレクトに足下に届く

 約20畳ほどのスペースを18畳用の「AS-X56C2」1台で空調しているわけだが、夏から通して使っても、パワー不足を感じたことはない。むしろ、新居に引っ越したことで、家の気密性が上がったためか、以前の家よりも実力が発揮できている印象だ。

補助暖房は必要なし! 部屋全体がしっかり暖かい

 もう1つ感心したのは、暖房運転のパワフルさ。これまでも冬の暖房の主力はエアコンだったが、足下がしっかり暖まらない、風が来ない場所がある、などの理由から小さなパネルヒーターやファンヒーターを補助暖房器具として併用していた。しかし、Xシリーズならその必要はない。「寒いな」と感じて運転を開始すると、10分も経つと部屋全体が暖かくなる。

室温18.3℃だったのが、15分後には23.4℃まで上がっている

 さらに、エアコン暖房し続けることによる不快感もない。これは、リモコンについている温度センサーで、運転をしっかり制御しているからだ。最近のエアコンは、様々なセンサーがついていて、自動で運転制御なんてもはや当たり前の機能となりつつあるが、Xシリーズでは高いところに設置されているエアコンではなく、手元のリモコンに温度センサーを搭載しているのが新しい。自分が居る場所の温度を検知してくれるので、暖めすぎ・冷えすぎを防いでくれる。

 実際、2時間程度運転し続けても、設定温度と室内温度がぴったり一致。従来のエアコンの場合、使い続けると、室温が高くなりすぎてしまったり、暖気が上に集中するためか、なんだか頭がボーっとするような不快感があったが、Xシリーズでは無縁だ。

Xシリーズのエアコン
エアコンには温度センサーが搭載されている
温度設定を22℃に設定すると、そのまま3時間運転しっぱなしでも、22℃がきちんと保たれている

やっぱりリモコンの使い勝手が良い!

大きくて見やすい液晶画面が備えられている。「お知らせ」ボタンを押すと、その日と前日の電気代、室内/室外の温度が表示される

 nocria(ノクリア) Xシリーズで最も気に入っているところといえば、なんといってもエアコンの使い勝手がいいところだ。大きな見やすい画面に、聞き取りやすい音声ガイドは一度使うとクセになる。リモコンを本体に向けなくても、操作できる電波式を採用しているため、ボタンを押せば確実に操作できるのも良い。

 また、リモコンについているUSBポートをパソコンにつなげば、電気代の一括管理もできる。もっとも、この機能に関しては個人的にはそれほど必要性を感じていない。というのも、Xシリーズでは、運転を停止するとその都度、その日使った分の電気代と、前日分の電気代が表示されるのだ。共働きの我が家の場合、自宅でエアコンを使う時間は1日多くても4時間ほど。その際にかかる電気代は、10円前後、休みの日に1日しっかり使っても30円前後だった。

 この程度……といったらなんだが、省エネ性能に優れたエアコンの節約をするよりも毎日のビールの本数を減らした方が、よっぽど効率的な節約につながるというものだ……。

リモコンにはUSBポートが備えられている
共働きの我が家では1日の電気代が5~6円程度
休日に6時間ほど使っても、電気代は33円だった

お手入れはまめにしましょう!

 暖房性能、使用感、使い勝手、全てにおいて満足度の高いXシリーズだが、弱点もある。実は最近のエアコンではもはや当たり前となっている「自動おそうじ機能」が搭載されていないのだ。そのため、2週間に一度はフィルター掃除をしなければならない。

 とはいえ、やり方は簡単。サイドファンと中央の送風口に備えられているフィルターを取り外して、掃除機でホコリを吸い取るだけ。5分もかからずに終わる。フィルターが詰まると、本来の性能を発揮できないので、とにかくマメに掃除することがポイントだ。

本体送風口のフィルター
サイドファンのフィルターを取り外す
手入れするフィルターは全部で4枚
掃除機で表面についた汚れを取り除く
サイドファン側面もホコリがたまりやすいので、ここも掃除機でホコリを取る

快適性を追求した1台

 中央の送風口に加えて、サイドファンを搭載したという従来のエアコンとは全く違う機構を搭載したXシリーズ。見た目はもちろん、操作性・快適性でも、大きな“違い”を実感できる製品だ。

 来年4月に消費増税が控えていることもあって、今年のボーナスシーズンは、例年以上に家電量販店が賑わうだろう。エアコンの買い換えを検討している人は、「エアコンを使う上で何を求めるのか」をもう一度よく考えて欲しい。外出先からエアコンを操作したいか? スマートフォンとの連携操作が欲しいか? 快適性を求めているのなら、Xシリーズがイチオシだ。

阿部 夏子