長期レビュー

ゼンケン「vikura マルチクッカー」

~不思議な形の調理器具がやってきたぞ
by すずまり

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)




vikura マルチクッカー ZJ-B2
 今回から、3回に渡って紹介するのは、ゼンケンの「vikura マルチクッカー ZJ-B2」だ。

 編集部のA嬢によれば「これはマルチクッカーと言って、特に葉ものに強い調理家電なんです!」とのこと。「でもそもそもマルチクッカーって、何がどうマルチなの?」と思って調べたところ、ジューサー、ミキサー、フードプロセッサーなどが1台に集約されたような製品らしいと判明。つまり、絞ったり、混ぜたり、砕いたりということのようだ。ただし、いずれも轟音とともに高速でブンブン回転するイメージの強い家電ばかり。「ゴォォォ! とうなりながら食材がモーレツに細かくなっちゃうだけ?」と、どうもそこから“マルチ”なイメージが沸きにくい。

 何がマルチなのか、一体どんな料理ができるのか、とにかく試してみることにしたのであった。


メーカーゼンケン
製品名vikura マルチクッカー
希望小売価格29,800円
購入場所直販サイト
購入価格29,800円


搾る、練る、砕く、削るが調理可能。パーツは盛りだくさん

マルチクッカーの本体
 届いたマルチクッカーをみて驚いた。実にユニークな形をしている。どこか動物を彷彿とさせるような外観で、どっしりと重い。これまでこんなデザインの調理器具は見たことがない。写真を見たときも「不思議な形だな」と思ったのだが、実際目の前にしてみると、迫力が感じられる。

 マルチクッカーは大きく分けて、モーターを内蔵した「本体」と、素材を投入する「搾り出し部」という2つで構成されている。

 まずは本体から見ていこう。サイズは 192×280×218mm(幅×奥行き×高さ)で、搾り出し部を取り付けると192×400×321mm(同)となり、設置には少々スペースが必要となる。重さは約5.2kgと重いが、搾り出し部に食材を投入し、モーターでスクリューを回して調理することを考えれば、安定感は十分にある。

右側から見たところ正面のリングに、後述するスクリューを取り付ける

背面から見たようす運転スイッチは背面部にある。スイッチ左がON、右が逆回転、中央がOFFとなっている

写真が「搾り出し部」。上部のホッパーから食材を投入し、その下のスクリューで食材を加工する
 次に「搾り出し部」だが、食材を混ぜる、こねる、つぶす、搾るなどの調理を行なう部分がここだ。具体的な料理でいえば、フレッシュジュース、ふりかけなどを作る際に使用する。この搾り出し部は、ホッパー(食材の投入口)、ドラム(投入した材料を加工するスペース)、スクリュー(モーターで回転し食材を加工するパーツ)、ストレーナー(濾し器)など、細かい部品が組み合わさっている。

 搾り出し部には、練り物うどんやパスタなどの麺を作るためのノズルも取り付けられる。6種類(A/B/C/D/E/F)あり、それぞれに穴の形状が異なっている。



網付きのストレーナーをドラムに装着したところ「搾り出し部」付属のノズル。A~Dは製麺用、E、Fは練り用

今回は別売りの「ミンチドラム」も使用する。写真はミンチドラムの構成例。左から前カバー、カッタープレートとカッター、ストレーナー、スクリュー、ドラム
 また別売の「ミンチドラム」というパーツもある。これは文字通りミンチを作るためのパーツで、砕く、削るといった調理に使用できる。具体的には、自家製の挽肉、米粉、クラッシュドアイスなどを作ることができるほか、野菜などを練り込んだ麺の生地づくりに活用できる。

 本体には、搾り出し部と丸ごと交換して取り付ける。搾り出し部同様に細かく分解でき、ミンチドラム専用のホッパーやドラムのほか、カッター、カッタープレートといった部品から構成されている。ミンチドラムにはさらに、G、H、I、J、Kという5種類のノズルも付いてくる。

 さらに付属品としては、ジュースカップが2個、こしアミ、押し棒、掃除用のブラシ1本も付属する。

「ミンチドラム」専用のノズル。G、Hは製麺、Iは粗目の粉砕や練り物、J、Kは練り物に使用するカッターとノズルの組み合わせ例「ミンチドラム」にはればーが付属するが、これは前カバーの取り外しに使用する

付属品のジュースカップ2個と、こしアミ。ジュースカップはかなり大きく、500mlは余裕で入るミンチドラムを除くパーツを並べたところ

 本製品に関わるパーツはこれですべてだが、最初はあまりの多さに、目をぱちくりさせてしまった。もちろん、すべてを同時に使用するわけではないのだが、使いこなせるかどうかプレッシャーを感じてしまった。



調理によってストレーナーとノズルを交換するだけ

 パーツが多いというだけで一瞬固まってしまったが、よくよく考えてみれば、組み立て方や構造を把握すれば、そう難しいことではないことに気付いた。

 例えば、搾り出し部の使い方は、基本的には「ドラムの中にスクリューを差し込む」→「『ストレーナー』または『ノズル』を取り付ける」→「最後に前カバーをかぶせる」のみ。要は、素材や調理内容に応じて、ストレーナーとノズルを交換すれば良いだけだ。

 ノズルを取り付けるのは、基本的に調理時のみ。ノズルのAからDは製麺用で、形の異なる穴が複数空いている。残ったノズルE、Fは生地などの練り上げ用で、練り上がった生地がそこから排出されてくるだけだ。一方のストレーナーは、網付きはジュースを搾るときのみ使用し、穴の空いていないものは、食材を粉砕する際に使用するといった感じだ。ノズルは不要となる。

 ミンチドラムも同様のパターン。スクリューを取り付けた後は、「ミンチドラム用ストレーナー」、または「ミンチドラム用ノズル」を組み合わせて使うだけだ。

 つまり、パーツは組み合わせは基本的に限られており、調理方法によってだいたいのパターンがある。決して無限にあるわけではないのだ。

パーツの多さに面食らったが、簡単に言ってしまえば、調理に応じてストレーナー(写真)とノズルを交換するだけでよいミンチドラム(左)と搾り出し部(右)。基本的には同じ構造。ミンチドラムにはカッターがある

 どんな料理でどのノズルを使うかは、付属の「vikura マルチクッカー レシピブック」に記載されている。迷った時には、これを見れば一目瞭然だろう。

取扱説明書とレシピブックが付属するレシピは料理研究家のフルタニマサエ氏が監修している


低速回転するスクリューで意外に静かな運転音

 まずは試しに、搾り出し部を取り付けてスイッチを入れてみた。すると、内部のスクリューが低く唸りながらゆっくり回転し始めた。ホッパーからドラムの中に入った食材が、中のスクリューに巻き込まれ、前に押し出される仕組みになっている。回転速度は変えられないので常に一定。操作スイッチの切り変えで、停止か逆回転が選択できる。懸念していた運転音は、「ブーン」という低い音で、創造していたよりもはるかに静かだった(使用中の動画は次回掲載)。

 このとき、実際に食材が通過するのはドラムの中だけ。ミキサーやジューサーなど、縦型で高速回転する調理器具を見慣れていると、食材がゆっくり“くの字”に移動していくという仕組みが不思議に思える。何より「これだけ? しかもこんな低速で大丈夫なのか?」とすら思えたが、結果を先に言ってしまうと、実際にはこれだけでも十分に調理できるのである。

 というわけで次回は、搾り出し部を使って、ジュースやふりかけなどの調理例をレポートする予定だ。



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2010年7月2日 00:00