長期レビュー

ゼンケン「vikura マルチクッカー」 最終回

~自家製の挽肉とうどんを使った「焼きうどん」がおいしい!
by すずまり

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



 前回、フレッシュジュースのおいしさで筆者をノックアウトしたマルチクッカー。最終回となる今回は、うどんやミンチドラムを活用したパスタ、かき氷、挽肉、米粉をお届けする。まず、驚いたのがその幅の広さ。まさにマルチな活躍をしてくれるのだ。

 1回目はこちらから。2回目はこちらから。

「手作りうどん」を堪能

 まずは、人生初の手作りうどんに挑戦である。うどんでは捏ねと製麺までをマルチクッカーで行なう。

 うどんを作るときは、強力粉、薄力粉、塩、水をボウルに入れて混ぜ、一度1つの塊にする。それをノズルのないマルチクッカーに1回通す。結構固いので手ではなかなか捏ねきれないが、マルチクッカーに通すとよく混ざった生地になった。それをビニール袋に入れて、半日冷蔵庫で寝かして準備完了だ。

うどん作りの材料ボウルでまとめた生地を、マルチクッカーに入れて捏ねる生地を入れる際は、一握り程度に分けていれるとスムーズだ
捏ねた生地はビニール袋に入れて半日寝かす。製麺にはノズルCを使う寝かした生地をマルチクッカーに入れやすい適当なサイズにカットする

 マルチクッカーに通す際、どうしても詰め込みたくなってしまうのだが、たくさん入れるとかなりの力で押し込むことになり、機械に負荷をかけてしまうので注意が必要だ。生地をぎゅうぎゅうに入れるのではなく、勝手に巻き込まれるくらいの小さな塊にちぎって入れると、効率良く絞り出せるようだ。

 寝かせておいた生地は小さめにカットし、うどん用のノズルCを取り付けたマルチクッカーにかける。すると、きしめん状の生地が絞り出されてくる。出てくる先から小麦粉をふりかけ、お互いがくっつくのを防ぐ。適度な長さでちぎりながら、出て来た麺を並べていくという作業を繰り返し、生地全体で3~4人分ほどのうどんが完成した。

ノズルCをつけたマルチクッカーでいよいよ麺作り。なかなかうどんらしい感じになっている完成した手作りうどん

捏ねと製麺の様子。捏ねの最初の頃は要領がつかめずに無理矢理押し込んでいたが、機械に負担がかかるのでよくない。製麺は1度に4本しか出ないので、かなり根気のいる作業である

だし汁とネギと七味とうがらしでシンプルに。おかわりしたくなるおいしさ

 うどんはそのまま茹でてツルツルと食べたほか、後述の自家製の挽肉を使って焼きうどんにして食べた。市販のうどんとまではいかないが、コシがあってなかなかおいしかった。手作りならではのおいしさだ。少々時間はかかるが、専用の台やカッターがなくてもうどんが作れるというのは頼もしい。穴の形に応じた麺が出てくるので、広いまな板や専用の包丁が必要ない。うどん好きにはちょっと嬉しいかもしれない。






「手作り米粉」づくりに挑戦

 マルチクッカーのミンチドラムを使うと自家製の米粉が作れる。米粉入りのパンなどは個人的にも時々作るので、好きなときに米粉が用意できるのは嬉しい! そんな気持ちでトライしたのが「手作り米粉」だ。

 お米をいきなり砕けばいいのかと思ったらそうではなかった。まず米粉にしたいお米を洗い、2時間水に漬ける。その後水から上げてよく乾燥させたものをミンチドラムのカッターセットで粉末にするのだ。

 実際の米粉作りでは、ミンチドラムとカッターセットを使用し、乾燥させた米を一握りずつ入れていく。あまり入れすぎるとふりかけ同様に回転が止まってしまうので、少しずつ、ゆっくり入れるのがポイントだ。

 すると、粉砕されたお米の粉末がでてきた! しかし、想像していたサラサラ感とはちょっと違い、固くてゴツゴツしたダマが混ざる。ダマになってしまった塊を粉砕しようと、一旦出て来た米粉を再びミンチドラムの中に入れると、今度は塊が細長い棒状になって状況は悪化の一途! 即諦めて、できた米粉をふるいにかけ、使えそうな部分だけを集めることにした。ちょっとショックだ。

米粉作りにもカッターセットを用いる水に2時間浸してから乾かしたお米マルチクッカーから出て来た米粉
固いダマが混ざってしまった米粉を再び砕くつもりが、余計長い塊に!ふるいにかけてダマと粉を分離

 これはマルチクッカーが悪いのではなく、どうもお米の乾燥不足のせいらしい。乾燥したと見せかけて、実はまだ水分を多分に含んでいたようで、それがマルチクッカーで一度砕かれ、スクリューやカッターなどが発生させる熱と圧力で、再び押し固められてしまったようなのだ。実際出て来た米粉を触ってみるとかなり温かった。2時間水に晒してから乾燥させるのは砕けやすくするためらしいが、これでは逆効果だ。

 乾燥させるときはできるだけ大きく広げて、短時間で十分乾燥させなければならない。夏ならあっと言う間だろうから、筆者のような失敗は少ないと思われる。

 なお、米粉を作ったあとのカッターセットは速やかに水につけておいたほうがいいようだ。隙間に挟まったまま乾燥すると、刃が糊のようにくっついてしまい取れなくなる。カッターセットが分離しなくなってかなり苦労した。

粉になったお米はサラサラしているカッターにこびりついた粉末状のお米こうなって乾いてしまうとなかなかとれない。くれぐれもよく乾燥させたお米を使おう

手作り米粉で「さっくり米粉クッキー」を作る

 なんとか完成した手作り米粉。使わなければ意味がない。そこでミンチドラムのレシピに載っていた型抜きの「さっくり米粉クッキー」に挑戦してみることにした。

 材料は米粉の他にバター、砂糖、ココアパウダーを使う。あいにく成功した米粉が分量に達しなかったため、ダマになった部分を更にミキサーにかけて顆粒状にして追加した

 全ての材料を混ぜ、冷蔵庫で30分寝かせてから型抜きするのだが、30分の冷蔵では生地がまだやわらかく、うまく型抜きできなかった。米粉の質のせいだろうか? そこで手で丸めてつぶし、角皿に並べてオーブンで20分焼いた。

 取り出した焼きたてのクッキーはかなり柔らかく、ホロホロと崩れやすい。味はココアの風味が利いていておいしいのだが、米粉100%なうえにつなぎの卵もないせいか、さっくりというよりはもろい仕上がりだ。米粉の粒子は細かいとはいえ、自家製パン用に売られているパウダー状の米粉に比べると粗い。この辺りが強度に影響しているのではないかと感じた。

「さっくり米粉クッキー」の材料材料を全部混ぜてみた様子。水分がないせいか、溶ける感じがない30分冷蔵した後型抜きを試みたが失敗
丸めて角皿に並べる完成した「さっくり米粉クッキー」。白い粒は砕けきれなかった米粉の塊。かなりしぶとい!

余った米粉で米粉入り食パン作り

 残ったダマ状の米粉(?)がもったいない。そこでホームベーカリーパンの材料として使ってみることにした。つまり、米粉入り食パンである。食パンなら水も使うので、固いダマも柔らかくなってくれるのではないかと考えたのだ。

 計量したところ、米粉の量は139g。ここに強力粉をプラスして所定の量にし、いつも通りの材料で焼いてみた。米粉の比率でいえば50%近い分量だ。焼き上がりが不安だったが、おいしい米粉パンが完成した! 見たはザックリしているが、ぷわぷわとした食感で柔らかく、心配していたダマ感もない。立派な食パンである。しかももちもちしていて非常に美味である。これは入れて大正解! 自家製米粉で自家製パンなんて、かなり贅沢な気分だ。

使用した米粉は139gだったいつも通りに材料をいれて、ホームベーカリーにセット焼き上がった食パン
カットして食べるより、大胆に引きちぎってかぶりつきたい仕上がり断面からもしっとりした感じが伝わってくるワイルドに見えるが、かなり柔らかい

憧れの自家製挽肉

カツにしようかと思って解凍した豚肉だったが、挽肉にしてみることにした

 普段挽肉をストックしておく習慣がないため、挽肉があったらよかったのに、と思う場面が時々ある。普通の肉ならあるんだけどな、と。マルチクッカーのミンチドラムとカッターセットがあると、その肉で挽肉ができてしまうのだ。作り方は簡単。これまで通り、マルチクッカーにカッターセットを装着したミンチドラムを取り付け、肉を入れていくだけだ。

 今回は3週間近く冷凍し続けてしまった一口カツ用の豚肉を使ってみた。解凍してみると、やはりそのまま使うのはどうかな、という状態だ。それを1枚ずつマルチクッカーに入れてみたところ、あっと言う間に挽肉の完成だ。肉の粒はやや大きめだが、脂分は市販のものに比べてはるかに少ない。


挽肉ができる様子。手動ハンドル式のミンサーもあるが、マルチクッカーは電動なので楽である

 今回は同じくマルチクッカーで作ったうどんと、チンゲン菜、キャベツ、にんにくを使って、焼きうどんにした。今回のようにヒレなど脂身の少ない部位の塊肉を使えば、低脂肪の挽肉が自宅で簡単に作れてしまう。

1切れずつ投下すると、どんどん巻き込まれて勝手に挽肉になってくれる完成した挽肉自家製うどんと合わせて焼きうどんに。流行の島ラー油を入れるとスパイシーでおいしさUP!

マルチクッカーは「かき氷」も作れる

 最後はミンチドラムに「ノズルI」取り付けて「かき氷」を作ってみた。「このノズルで本当にかき氷が!? 壊したらどうしよう……」と心配したが、杞憂に終わった。

 削られた氷はやや粒があり、冬のみぞれを思い出させるような仕上がりだ。シロップをかけて食べる、夏のあのかき氷ほど薄くはないが、歯ごたえを楽しみながらそのまま食べてもいいし、アイスドリンクに入れて飲んでもよし、お刺身の盛りつけに使ってもよしという質感である。ある意味、用途の広いかき氷ができると言えよう。

かき氷にはミンチドラムと「ノズルI」を用いるミンチドラムに「ノズルI」を取り付けた状態。これで固い氷が削れるのかと驚いた製氷皿の氷を入れると、どんどんかき氷になっていく
「ノズルI」はびくともしない!完成したかき氷ドリンクにしてみると、やや粒があるのが確認できる

かき氷ができる様子

自家製にこだわりたい方には絶対おすすめのキッチン家電!

 これまで、フレッシュジュース、レバーペースト、スコーン、ふりかけ、うどん、パスタ、米粉、挽肉、かき氷と作って来たわけだが、全てマルチクッカー1台でこなしてきた。このほかにも練り物や餃子の皮、バナナセーキにアイスクリームなども作れる。

 最初は、独特の形と機構に戸惑いを覚えたが、調べてみると、ミンサーもマルチクッカーとよく似ている。よく見れば、巷でウワサの低速回転ジューサーもやはりそっくり。どうやら筆者の経験不足だったらしい。ということは、1台でミンサーにもジューサーにも、さらには製麺マシンにもかき氷器にもなるマルチクッカーが断然便利ではないか。

 そのマルチな活躍ぶりに脱帽である。自家製にこだわりたい方、フレッシュジュースを大量に作りたい方(しかも音を控えめに!)、手軽に麺類を作りたい方にピッタリである。お借りしていた製品だったため、実に返却が惜しかった。

 ちなみにマルチと言っても苦手なものもある。バナナ、アボカド、モロヘイヤ、枝豆などの水分の少ないものや、粘り気の強いものはジュースに向かないという。また、びわ、桃、梅などの硬い種、生の米、大豆、小豆といった穀物、コショウ、山椒の実などの硬い実、桃、キウイなどの水分が少ないものも使用できないので、注意しよう。

 パーツ(ノズル)の多さを懸念していたが、実際に使用してみるとほとんど苦にならなかった。付属のレシピ集に使用するストレーナーとノズルの種類が明記されているので、使用しているうちに理解できてくるのでご安心いただきたい。

 以前こちらでレビューした同社の「スープメーカー」も、使えば使うほどその便利さにホレボレして、結局購入してしまったという経緯がある。マルチクッカーは、絞りたてのジュースを飲んだ瞬間からかなりハートをわしづかみにされており、自家製うどんと自家製挽肉のコラボレーションで物欲がMAX! 気がついたらキッチンにあった、なんてことになりそうだ。



その1 その2  /  その3


2010年7月16日 00:00