家電レビュー
室内干しにも冷房にも! 象印のサーキュレーターが万能だった
2026年6月12日 08:04
4月に象印マホービンから登場した「2WAY サーキュレーター RC-AA30」(直販価格は21,780円)。早速製品を借りて、試してみました。
象印の家電は炊飯器や加湿器などが人気ですが、実はサーキュレーターを製品化したのは今回が初。一見するとシンプルでふつうのサーキュレーターに見えますが、実際に試してみると、これまでのサーキュレーターとは異なるユニークな仕組みが隠されていました。
「動くルーバー」で風の出方を使い分けられる
本体サイズは26×20.5×31cm(幅×奥行き×高さ)とコンパクト。重さも約2.8kgと軽量です。
本製品の大きな特徴は、「サーキュレーター」と「扇風機」の2WAYで使えること。もっとも、最近では1台で両方を兼ねる製品自体は珍しくありません。
ただ、その多くは「風量を強くすればサーキュレーター、弱くすれば扇風機」という考え方で作られており、実際には風の強弱を切り替えているだけのケースも少なくありません。
しかし、直進性の高い風を送るサーキュレーターと、人が当たって心地よいと感じる扇風機では、本来求められる風の性質そのものが異なります。
その点、本製品は単なる風量調整ではなく、ルーバー制御によって風の広がり方まで変化させているのが特徴です。
空気を遠くまで届ける直進的な風と、広範囲を包み込むようなやわらかい風を使い分けられるため、「サーキュレーター」と「扇風機」をしっかり別物として成立させています。物理的に風の質を切り替えられることが、他製品との大きな違いです。
風の切り替えは、吹き出し口に7枚あるルーバーによって行ないます。カバーの奥側に見えるルーバーは、手動ボタンを押すとクイッと角度を変えます。
サーキュレーターモードは、ルーバーが開いて、まっすぐな風を遠くまで届けられます。部屋の空気を効率よく循環させたいときに向いています。
扇風機モードは、ルーバーが閉じることで風がワイドに広がり、やわらかな心地よい風に変化します。
扇風機としても優秀な、肌当たりのやさしい風
実際に使ってみると、風の質の違いは想像以上に明確でした。サーキュレーターモードでは風がまっすぐ遠くへ伸びる一方、扇風機モードでは風がふわっと広がり、体を包み込むような当たり方になります。
スモークを使って風の流れを確認してみると、その差はさらにわかりやすく現れました。サーキュレーターモードではスモークが一直線に流れていくのに対し、扇風機モードでは広範囲へやわらかく拡散。単に風量を変えているのではなく、ルーバー制御によって風そのものの性質を変えていることが可視化できました。
風量「10」の最強運転時の風速は、前ガードから3cmほどの場所で最大6m/秒。12畳の部屋で本製品を隅に置き、反対側に移動してみましたが、風量「5」でも風がしっかり届いており、循環している感覚がありました。
この可動式ルーバーによって、サーキュレーターらしい直進性の高い風だけでなく、やわらかく広がる心地よい風も生み出せます。実際に使ってみると、直進的な風を送り出しながらも、一般的なサーキュレーターにありがちな“風が刺さるような感覚”が抑えられており、長時間風を浴びても疲れにくい印象でした。
そのため、空気循環用としてだけでなく、扇風機として使用しても快適です。単に1台2役をうたうだけの兼用モデルではなく、「サーキュレーター」と「扇風機」という性質の異なる2つの役割をきちんと両立させていることが実感できました。
象印らしい、迷わせない操作性
操作パネルの作り込みにも、国内メーカーらしい細かな配慮が感じられました。パネルにはイラストと日本語表記が併記されており、機能が直感的に理解しやすく、初めて使う人でも迷いにくい設計です。
最近はサーキュレーターや扇風機もタッチパネル式が増えていますが、本製品はあえて物理ボタンが採用されています。実際に押してみると、カチッとした明確なクリック感があり、操作した感触がしっかり伝わります。誤操作しにくく、毎日使う家電として安心感がありました。
風量は10段階で設定可能。ランプの点灯数で現在の風量が分かる仕組みも視認性が高く、使いやすく感じます。
リモコンには風量の「-/+」ボタンが用意されているのですが、本体側にはなく、ボタンを押し続ける必要があります。例えば、風量「6」から「2」へ下げたい場合、6回ボタンを押さなければならず、少し手間に感じる場面もありました。細かな調整はリモコンの方が快適です。
首振り機能はかなり充実しています。左右は約60/120/180度から選択でき、上下も「上/中/下/全角度」と細かく設定可能です。サーキュレーターとしては可動域が広く、空気循環だけでなく、室内干し用途でも狙った場所に風を届けやすいと感じました。
ただし、左右の首振り角度は必ずボタン操作で設定する必要があり、本体を手で動かして向きを変えることはできません。そのため、急いで風向きを変えたいときには少しもどかしく感じる場面もありました。
上下方向は停止時のみ、ガード部分を持って調整可能。ですが、筆者のようにせっかちな人にとっては少々不便に感じました。
季節に合わせた「夏/冬」モードも搭載
運転モードもよく作り込まれており、季節や用途に合わせて効率的に空気を循環できるようになっています。
「標準」モードでは、まっすぐ伸びる風で天井付近の空気を動かしつつ、広がる風でテーブルやソファの裏側まで空気を循環。部屋全体の空気をムラなく動かしたいときに使いやすい設定です。
「夏」モードは、冷房と組み合わせて使うことを前提に設計されており、床付近に溜まりやすい冷気を効率よく循環させます。冷たい空気を部屋全体へ拡散しやすくなるため、エアコンの冷えムラ軽減にも役立ちそうです。
一方の「冬」モードは、暖房時に天井付近へ溜まりがちな暖気を循環。暖かい空気を下へ戻すことで、足元の寒さをやわらげる効果が期待できます。
さらに便利なのが、これらのモードではルーバーの開閉も自動制御される点です。運転モードを選ぶだけで、その季節に適した気流へ自動調整してくれるため、細かな設定を意識せずに使えます。
もちろん、自分で風向きや気流を細かく調整したい人にも配慮されています。手動モードへ切り替えれば、部屋の形状や設置場所に合わせて自由に設定できるため、自分好みの風を作り込むこともできます。
筆者は気流にこだわりがあるタイプなので、手動で使うことになりそうですが、自由度が高いため好みの環境を作ることができそうだなと感じました。
衣類もしっかり乾燥
「衣類乾燥ボタン」を押すと、ルーバーが自動で開閉しながら運転し、洗濯物に効率よく風を送ってくれます。単に風を当て続けるだけではなく、乾燥しやすいよう風向きをコントロールしている点が特徴です。
モードは「スポット/ワイド」の2種類を搭載。「スポット」は狭い範囲に集中して風を送るため、少量の洗濯物を乾かしたいときに便利です。
一方の「ワイド」は広範囲に風を届けられるので、洗濯物が多い日でもムラなく風を当てやすいと感じました。
さらに、洗濯物の位置や量に合わせて、角度を細かく調整できるのも使いやすいポイントです。実際に使用してみると、風がしっかり届くため乾きが早く、部屋干し特有の乾きにくさを軽減してくれました。
サーキュレーターとして空気循環に使うだけでなく、室内干しのサポート家電としても活躍します。
コンパクトで移動もスムーズ
後ろガードに持ち手が付いている点も、実際に使ってみると便利に感じたポイントです。手を掛けやすく、部屋間の移動もスムーズに行なえます。
サーキュレーターとして使う場合は、エアコンと組み合わせて定位置で運転することも多いと思いますが、実際には扇風機代わりに使ったり、室内干しの乾燥補助に使ったりと、設置場所を変えるシーンも少なくありません。
その点、本製品はコンパクトで扱いやすく、気軽に持ち運べるのが魅力でした。必要な場所へサッと移動できるため、1台を家中で使い回したいという家庭にも向いていると感じます。
お手入れがカンタン。後ろガードまで工具なしで外せる
お手入れのしやすさにも、しっかり配慮されていました。工具を使わずに前後ガードやファンまで簡単に取り外すことができ、分解の手順もわかりやすく、日常的な掃除のハードルがかなり低く感じました。
さらに、前ガード、ファン、後ろガード、後ろキャップは、汚れが気になるときは水洗いも可能です。
サーキュレーターは長時間運転することが多く、どうしてもホコリが溜まりやすい家電です。しかし、他社製品では工具が必要だったり、ファンや後ろガードが取り外せなかったりして、掃除が面倒に感じるモデルも少なくありません。
その点、本製品は「きちんと掃除しながら長く使う」ことを前提に設計されている印象でした。使い勝手だけでなく、メンテナンス性まで丁寧に考えられており、国内メーカーらしい細かな配慮が感じられます。
象印マホービンの「2WAY サーキュレーター RC-AA30」は、風の質の高さと使い勝手のよさがしっかり両立されており、欲しくなりました。機能も豊富で、季節を問わずあらゆるシーンで活躍するでしょう。1年を通して、頼もしい相棒になってくれそうです。
















