家電製品ミニレビュー

ゼンケン「vikura浄水器」

~簡単に取り付けられるスタイリッシュな浄水器
by 西村 敦子
ゼンケン「vikura浄水器」

水道水の「塩素臭さ」が気になる

 毎日使う水の問題は、地味ですが常に重要な課題です。私の場合、以前住んでいた築30年のアパートは赤さびの水が絶えず出て……水以外の問題はなく気に入って住んでいたのですが、飲み水として使えないのはもちろん、肌荒れがひどくなって結局耐えきれなくなって引っ越しました。

 引っ越した後は新築だったということもあって、キッチンの浄水器はビルトインタイプ。飲み水に関してはウォーターサーバーを常用するようになっていたので、もう水で悩むことはないと安心していましたが、浄水器がついていない部分の臭いが気になるようになってしまいました。

 十数年前の“エビアン”のブームあたりから、飲み水を買うようになった方も多いと思います。かくいう私も子どものときには気にしていなかったのに、いい水を飲み慣れてしまったことで、以前よりずっとキレイになったと言われている水道水にも、敏感に臭いを感じてしまうようになってしまったのかもしれません。

 お風呂の水は、少々塩素の臭いがしても入浴剤を入れてしまえばわからないのですが、問題は洗面台。ここ数年、朝起きたときの洗顔は、皮脂を落としすぎないように水やお湯だけで洗顔するという「水洗顔」が流行っています。私も1年ぐらいこれをやっているのですが、やりはじめてからあらためて、水道水が「塩素臭い」ことに気がついてしまいました。石鹸の香りがないぶん、水道水の臭いがダイレクトに感じられ、なんとなく水が痛い(というか硬い)感じもします。アトピー持ちとしては切実に対策を考えてしまいます。

 いっそ、洗面台にも浄水器を取り付けようといろいろ探してみました。が、いざ探してみると洗面台に取り付けられる浄水器は案外少ないもの。一般的な蛇口の先に取り付けるカセットタイプは、本体が大きいためキッチンと違って蛇口下にスペースがなく取り付けられません。かといってそのためだけに工事をするのも大がかり。そんなとき知ったのがコンパクトなサイズのvikura(以下、ビクラ)の浄水器です。


メーカーvikura
製品名vikura浄水器
希望小売価格19,980円
購入場所直販サイト
購入価格同額


毎分3Lのパワフルな流量で使い勝手がいい

 ビクラ浄水器は筒状の本体と切り換えコックが別れており、据え置き型でありながら、蛇口に直結できるという構造です。機能性を追及したシンプルな浄水器が多いなか、デザイン性も高く、色のバリエーションもグリーン、ブルー、ピンク、オレンジ、イエローの5色が揃っているため、設置する場所に合わせて好きな色が選べます。

箱から出した状態で、すでにこのようにセットされているので、あとは蛇口につけるだけフロスト状のフタは本体下部とカートリッジの上にかぶせてあるだけで、固定はされていませんかなり大型の浄水フィルター。毎分3Lと、据え置きサイズならではのパワフルな浄水機能です

 フロスト調で透明感ある本体はとてもさわやかで、まるで浄水器に見えませんが、機能は本格的。本体のサイズは直径14cm、高さ23.3cmで、印象では500mlのペットボトル3本分ぐらいの大きさ。重量は約1.4kg(満水時2.3kg)です。洗面台の鏡面の下のスペースにもすっきり収まるほどなので、キッチンでも邪魔になりにくいでしょう。

 下に向かってシェイプされている印象的なカバーを外すと、なかには大型のカートリッジがセットされていて、これが毎日20L浄水しても1年はもつという頼りがいのあるフィルター。交換のときもカバーを外してフィルターを回すだけで簡単に取り替えられますし、年1回であれば、カセット型のように常に替えのフィルターを用意しておく必要もないので安心して使えます。

切替コックはカセットタイプに比べるとぐっと小型。右側の切替レバーで原水・シャワー・浄水を切り替えます切替コックの下部。原水も浄水も中央の口から出てきます。右側の2つの蛇口は高温時や空気抜きのための安全弁で、普段使うことはありません

 また、カセットタイプだと3カ月程度しかもたないことが多いのですが、それでもフィルターは3,000円~5,000円程度が主流。ビクラ浄水器のフィルターが1年使えて税込7,890円であることを考えると、メンテナンスのラクさももちろん、コスト面でも経済的です。20Lというとかなりの量なので、キッチンに設置して使う場合でも、まったく問題ないでしょう。

 適切な流量は毎分3L。これは200mlのコップが4秒でいっぱいになる量で、カセット型の浄水器でありがちな、出る量が少なすぎてイライラするようなこともありません。実際使ってみると、カートリッジが大きく違和感なく使える量が常に出るという点もとても重要で、据え置き型のパワフルさを実感しました。

 付属のホースは実測で90cm以上あり、長すぎるときはハサミでカットして使えます。また、「白」「グレイ」と結束部分に識別札が付いていて、外しても管自体がその通り色分けされています。ホースをつなげるときに間違えないよう、細かい配慮がされていて、製品作りの丁寧さを垣間見ました。

 このホースも消耗品ですが、3年は使えるのでそれほど意識する必要はなさそうです。蛇口に付ける部分の切り換えコックは、実測で幅9cm、高さ5cm程度。奥行きはホース固定ナットまで含めて6cm程度とごくコンパクト。切り換えコック右側の切替レバーで、原水の「ストレート」と「シャワー」、そして「浄水」を切り替えられます。

ホースには、浄水と原水の供給を間違えないように根元と先端にタグが付いています本体ベース裏面。構造がシンプルなのでホースを交換するときなどメンテナンスもラクです切替コックとホースは、ねじ式の固定ナットでつなげられているので、取り外しはかんたんです

工具なしで簡単に取り付け可能

 実際の蛇口への取り付け方法は、付属する各種の金具を使って締めていくだけで、ごく簡単。切り換えコックのアダプターは「Aセット(先のふくらんだ丸形蛇口)」、「Bセット(泡沫水栓 外ネジ)」、「Cセット(泡沫水栓 内ネジ)」の3種類が用意されており、Aセットは蛇口のサイズに合わせてリングを選び、B・Cセットは水栓に付属するネジを外してリングを取り替えます。このリングもコインなどを使ってしっかり締め付けられるため、工具なしで作業でき、取り付け作業は思った以上に簡単でした。ちなみに先がストレートのタイプは付属のキットでは取り付けられませんが、オプションのビス止め用リングを利用すれば利用できます。

 蛇口のサイズが大きいタイプや、シャワーノズル付きのタイプ、センサー付きの自動水栓など取り付けられないタイプの水栓もありますが、一般的な水栓にはこのAセットからCセットまでで広く対応しているようです。

 蛇口に固定できたら、カートリッジを何度か振ってエアー抜きを行ない、通水して設置完了です。説明書を読んでから一気に行なったら、5分程度でできてしまうのではないでしょうか。

ホースが長すぎるときはハサミでカットして長さを調整できます外ネジ・内ネジ式の蛇口の場合、先端に取り付けられている泡沫水栓を取り外します切替コックに取り付けられているリングネジを外し、適合するネジをはめて泡沫水栓の代わりにねじ込みます
リングネジは、専用の器具を使わなくても、コインを利用して簡単に取り付けられるようきりかきが作られています蛇口に設置した状態洗面台の狭いボールでも切替コックが邪魔になりません

塩素臭さが消え、やわらかい水に

 設置したビクラ浄水器を通した水を飲んでみると、気になっていた塩素臭さがすべて消え、すっかり飲んでもおいしい水に。料理で使うと塩素がビタミンを壊すとも言われていますから、お米を炊く時の水はもちろん、野菜を洗ったり、キャベツやレタスなどをシャキッとさせる目的で使ったりするときにもなるべく浄水を使いたいもの。ビクラ浄水器の場合、前述したようにパワフルな水量があるので、さまざまな用途に自然に取り入れられます。

 我が家の場合のように洗面台に設置するという方法はわがままかもしれませんが、アトピーを持つ身としては本気で便利で、すっかりなじんでしまいました。ビクラ浄水器を通した水で洗顔すると肌にもとても柔らかく感じますし、もちっとした洗い上がりの違いが感じられて、もちろん塩素の臭いもまったくありません。

コンパクトなので端にすっきりおさまります。カラーも選べるので、周囲の色と合わせればさらに馴染みます蛇口の左右どちらにでも設置可能。長すぎればホースは短くカットもできます

 期待どおり毎朝快適に水洗顔ができるようになりました。さらに、毎日の歯磨きやうがいのときも浄水が使えますし、浄水器があればお風呂上がりにもキッチンまで戻らず水道の水で抵抗感なく水分補給できるなど、思った以上に活躍しているのが現状で、実際に使ってみると、案外どなたにもおすすめできるのではないかと思いました。

 ちなみに、手元に「DPD希釈粉末(有利残留塩素測定試薬)」があったので原水と浄水でチェックしてみると、びっくりするほどの違いが出て、自分が感じていた塩素臭さが本当に臭っていたんだと実感。新築だからある程度大丈夫だろうと思っていた甘さをすっかり認識させられました。

「DPD希釈粉末」は100ml程度の水に3~5回振り入れて使用します。反応の色をチェックシートと比べて、残留塩素濃度の濃さをある程度はかれますDPD希釈粉末を使って調べた残留塩素。左が原水で右がビクラ浄水器を通した浄水。浄水のほうはまったく反応せず効果がはっきりわかります濃度はチェックシートでめやすがわかります。残留塩素はある程度ないと水道管で雑菌が繁殖するため原水には必ず含まれるものですが、目の当たりにするとやはり浄水したほうがいいと強く思えます

 浄水場から家庭に届くまで、水道管のなかで細菌などが繁殖しないようにするには、塩素がある程度必要だと言われていますから、安全性という意味では必要なものだとわかっていても、やはり気になるものです。

 また、塩素の臭いだけなら数時間置いておいたり、沸騰させることで消すことができますが、トリハロメタンや鉛などの有害な残留物はやはり浄水器を通さないと除去できません。赤さびの水が気になるような環境ならもちろん、新築でも思った以上に水の浄水は大切。

 ビクラ浄水器は、デザイン面だけでなく、大がかりな工事が必要なく、蛇口に取り付けられる手軽さ、そして据え置き型ならではのパワフルに使える性能からも、広くおすすめできる製品です。





2009年7月28日 00:00