長期レビュー

ゼンケン「vikura マルチクッカー」 その2

~フレッシュジュースがおいしい!
by すずまり

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



vikura マルチクッカー ZJ-B2

 不思議な形の調理器具だという印象のマルチクッカー。まずは手始めにフレッシュジュース作りから始めてみることにした。

 1回目はこちらから。

にんじん・りんご・セロリジュース

 付属のレシピブックを参考に、にんじんジュースを作ってみた。用意した材料はにんじん、セロリ(茎と葉)、りんご、レモン汁の4種類。投入口のサイズにあわせ、材料は細かめにカットしたおいた。使用する器具は網付きストレーナーのみで、ノズルは使わない。

フレッシュジュース作りに使用したマルチクッカーのパーツ組み立て後のマルチクッカーにんじん、りんご、セロリを用意

 スイッチを入れてみるとスクリューが回転し始め、ブーンという低い音がする。にんじんを入れると、スクリューに巻き込まれ、メリメリと音をたてながらつぶされていく。同時に、ストレーナーの網の部分からジュースが出てきた。ゆっくりと砕きながら、押しつぶし、絞り出しているのである。続けてりんごやセロリを投入すると、どんどん勝手にスクリューに巻き込まれていく。セロリは茎だけでなく葉も難なく搾ってくれる。時々スクリューが材料をうまく巻き込めないこともあるので、そんなときは押し棒で押し込むとよい。

 ジュースが出はじめて少し後に、ドラムの先端から搾りカスが排出されてきた。材料を入れれば入れただけ出てきて、中には溜まらない。なるほど! 中に搾りカスが内部に溜まらないうえ、フィルターもないので、目詰まりによる限界を心配せずにタップリ作れるのだ。(ただし1回の稼働時間は15分以内とされている)

搾りカスが排出されている様子ジュースはドラムの途中から出てくるこし網に繊維が溜まる。使うかどうかは好みだろう

 できあがったジュースを飲んでみて驚いた。なんだかとてもフレッシュ!? ジューサーで作ったジュースにも全くひけを取らない――というより、むしろおいしい。材料の味の差というよりも、シェイクされていないからとでも言おうか。とにかくホッとする味である。

搾り出されたされたジュース完成したにんじん・りんご・セロリジュース

 排出された搾りカスは、意外とポロポロになっている。高速回転ジューサーほど細かく粉砕されていないので、その分まだわずかに絞れそうな気がしなくもないが、一度排出された搾りカスをマルチクッカーに再投入してもほとんど絞れないので、諦めるしかない。もったいないと感じる場合は、別の料理に活用して栄養を取りきってしまうのもいいだろう。

搾りカスの様子。カッターフィルター付きジューサに比べると、やや粗いドラムを分解すると、スクリューにかなりの量の搾りカスが付いていた

 フレッシュジュースといえば、轟音とともにカッターフィルターが高速で回転するイメージだ。特に材料を投入したときの音がもっともうるさい。それに比べ、マルチクッカーは遙かに静かで、時間帯や場所をあまり気にしなくていい。


マルチクッカーでジュースを作っている様子セロリの葉からもジュースが絞り出されていく

パセリ・トマト・りんごジュース

 セロリの葉から結構よく搾れたので、レシピブックを参考にパセリ30g、トマト1個、りんご1/2個を使ってパセリ入りのフレッシュジュースを作ることにした。いくらパセリが栄養豊富だと分かっていても、大量に食べるのは少々辛い。が、ジュースにしてしまえばゴクゴクと飲めてしまうだろうという目論みである。

 マルチクッカーに入れたパセリは見事に砕かれ、ジュースが搾れた。葉ものに強いというのは本当のようだ。ジュースの味としては、パセリの青臭さはあるものの、美味である。やはり鮮度が高いというか、余計なことをされていない感じがして安心できる。

 ただし、やはり搾りカスが少々粗めなので、もうちょっと搾れそうな気がしてしまうのが残念だ。どうせなら最後に思い切りプレスできるような機構があると嬉しい。

パセリ・トマト・りんごジュースの材料一緒に入れたトマトやりんごとともに、パセリもしっかり搾られていく先端からは材料の搾りカスが繊維化しつつ排出されていく
ミキサーにかけたわけでもないのに、こし網には細かい繊維がたっぷりと溜まった搾られたジュース。こし網の繊維も、もったいないので混ぜてある搾りカスの様子

レバーペースト

 次に、レシピブックを参考に、生まれて初めてレバーペーストに挑戦してみた。マルチクッカーは網なしのストレーナーを使うだけで、ノズルは使用しない。

 材料はレバー、白ワイン、ハーブ、塩、胡椒だけである。血抜きしたレバーを白ワインで煮て、ハーブ、塩、胡椒を加え、水分が少し残ったところで火から下ろし、粗熱を取る。あとはマルチクッカーに入れるだけだ。レシピでは「ハーブ香るレバーペースト」とのことだが、好みのハーブを、と言われてもレバーに合いそうなものが思いつかなかったので、ここでもベランダで育てていたパセリをメインに、ローレル、タイムなどの粉末をプラスしてみることにした。

レバーペーストを作る際に使用したのは基本パーツのみで、ノズルは使っていないレバーペーストの材料白ワインとパセリ、ハーブで煮込み終わったレバー

 レバーはゆっくり回転するスクリューに巻き込まれ、出て来たときにはもうペースト状である。ミキサーも網もヘラも必要ない。ただ、マルチクッカーに入れるだけ。煮るほうが面倒だと感じるくらいのあっけなさだ。

煮込んだレバーをマルチクッカーに通す当初、煮汁がストレーナーの隙間を伝ってこぼれ出てきてしまった。ジューサー用のものでなくても水分を受けるために容器は2個並べたほうがいい投入されたレバーはどんどんペースト状になってでてくる

 完成したレバーペーストそのものはパサつきがあるので、食べるときにバターやオリーブオイルなど、オイル系のものと合わせるとパンに塗りやすいし、食べやすくなるようだ。

完成したレバーペーストパンに塗って食べるとおいしいストレーナーの中にペースト状のレバーが溜まってしまうのが難点

レバーがペースト状になってでてくる様子

白ごまと豆乳のスコーン

 レシピによれば、マルチクッカーでスコーンも作れるという。とは言ってもマルチクッカーはオーブンではないので、作れるのは生地まで。生地をボウルの中で一旦まとめたら、1回だけマルチクッカーに通すのだ。使用するのは網なしストレーナーと、丸練り用のノズルEである。

スコーンの生地作りには、丸練り用のノズルEを使用するノズルをセットした状態レシピに紹介されていたスコーンの材料

 スコーンはマルチクッカーがなくてもできる。あえてマルチクッカーを通すメリットはなんだろうか? そんな疑問を抱いたため、同じ材料内で7個分はマルチクッカーを通し、3個分はマルチクッカーを通さずに焼くという方法をとってみた。

一旦ボウル内で生地をまとめるまとめた生地をマルチクッカーにかける練られた生地。ウネウネとすごい感じになっているが……

 焼き上がった角皿の中のスコーンをみると、その違いは明らかだった。マルチクッカーを通した7個はきめが細かく、通さなかった3個はザクザクしたワイルドな見た目をしているのだ。食べてみるときめが細かい方はなめらかで、舌触りもよい。一方、ワイルドな方は食感もワイルドでボロボロと崩れやすい。

 どちらがいいかは好みで分かれると思うが、マルチクッカーの効果はハッキリ見えた気がした。つまり、マルチクッカーを通すことで時間と力をかけずに「よく混ぜられる」のである。ちなみに、白ごまは細かく潰されてしまうかと思ったが、意外としっかり残っていた。

型抜きした生地をオーブンで焼く焼けたスコーン。左がマルチクッカー使用、右がマルチクッカー未使用スコーンを割ってみた。左がマルチクッカー未使用、右がマルチクッカー使用
使用後のマルチクッカー。ストレーナーの隙間に生地が挟まってしまった使用後のストレーナー(左)と、ホッパー(右)

うなぎの骨入りゆかりふりかけ

 レシピにはマルチクッカーで作れるオリジナルふりかけとして、「さらさらふりかけ」と「しっとりふりかけ」の2種類が紹介されている。どちらもおいしそうなのだが、たまたまうなぎの骨をいただいたので、あるものを活用! ということで、鰻の骨、桜エビ、黒ごま、梅入りのゆかり1パックを使ってふりかけ作りに挑戦してみた。

 挑戦といっても、ここまで来ればお分かりの通り、材料すべてをマルチクッカーに入れるだけなのだ。ここでもノズルは不要で、網なしストレーナーのみを使用する。

 すべての材料をマルチクッカーの中に流し込んでいく。ただ、ここで予期せぬアクシデントに見舞われた。調子に乗って大量に流し込んだため詰まってしまい、スクリューが回転しなくなったのだ。ドラムを本体から取り外そうにも動かない。このとき、逆回転スイッチが付いていたことを思い出し、すかさずON! すると詰まっていた材料がほぐれ、ドラムも本体から分離することができた。固い材料を入れるときは少しずつがいいようだ。

 できあがったふりかけは、なかなかのおいしさ! お茶漬けにしてもよさそうな味わいであった。

自家製ふりかけの材料今回は材料をひとまとめにしてから粉砕したが、考えてみたら、それぞれ別々に入れて最後に混ぜてもよかったように思う
完成した自家製ふりかけご飯にかけるととてもおいしい

自家製ふりかけ製造の様子調子にのって大量に流し込んだら詰まってしまった。スクリューを逆回転すると詰まりがやわらぐ

 ジューサーやフードプロセッサーとは違うその見た目やパーツの多さに最初はかなり戸惑ったが、実際に使ってみると音の小ささや、押しつぶしていくような独自の機構などなかなか便利に使えるということがわかった。

 最終回となる次回では、パスタ、うどん、米粉作りなどの粉もののレシピ、さらに夏に嬉しいかき氷を作る予定だ。



その1  /  その2  / その3


2010年7月9日 00:00